ウルトラマンシリーズを語るうえで欠かせないのが、毎回登場する〝怪獣〟の存在だ。個性豊かな能力やデザイン、ドラマ性のある背景で物語を彩るその魅力を、怪獣好きで知られる辻本監督と怪獣マエストロの品田さんに聞いた。
※本稿はDIME (ダイム) 2026年 12月号に掲載の「僕らに宿るウルトラマンの遺伝子」より一部を抜粋・再編したものです
DIME最新号は「ウルトラマンシリーズ」の大特集、超ワイドな折りたたみクリアファイル付き!!
エンタメの原点にして最先端。 今月のDIMEは「ウルトラマンシリーズ」60周年記念の大特集。円谷プロの協力のもと、制作の舞台裏から世界での躍進の秘密、企業コラボ…
現在の怪獣にも息づく初代ウルトラマンの遺伝子

(右)『ウルトラマンテオ』特技監督・辻本貴則監督/2011年、『ウルトラゾーン』で円谷プロダクション作品に初参加。24年、『ウルトラマンアーク』で初メイン監督を務め、最新作『ウルトラマンテオ』ではメイン特技監督として参加。
(左)怪獣造形師・品田冬樹さん/1994年、Vi-SHOPを設立して『ガメラ2 レギオン襲来』などに参加。2009年、円谷プロダクションに入社し、現在は製作本部製作部LSSチームのチーフクリエイターを務める。
『ウルトラマン』などの初期作でヒーローや怪獣のデザインを手がけた成田亨さん。彼の影響は60年経った今も強いという。
辻本 番組に新しい怪獣を出せるとなった時、最初の選択肢として成田亨さんのデザインについて議論するんです。ウルトラ怪獣っぽく見えない場合は、「この辺を蛇腹にして、もうちょっと〝成田味〟を足してほしい」とよく言っています(笑)。
品田 我々が作っているのはウルトラですからね。
辻本 模倣するのは申し訳ない……という気持ちもあるのですが、やはりウルトラ怪獣の原点なので。オマージュってことで。
品田 成田亨さんは怪獣に無機質な人工物のようなデザインを取り入れて、ゴジラなど東宝の怪獣とは違う新しさが生まれました。蛇腹のデザインもそのひとつ。ケムラーやゼットンなど、怪獣の要所要所で使っていますよね。
辻本 レッドキングもね。あとゼットンのようにブロック状のデザインを入れるのも斬新ですよね。
品田 四角い目のデザインなんて、動物の体に付いていたら奇妙なので普通は思いつきませんが、それを入れてくるのが大胆ですよね。今も成田さんの試行錯誤の末に生まれた〝名怪獣〟の影響下にある気がします。

辻本 宇宙人もそう。怪獣よりも絶妙に違和感を抱くデザインになっているんだけれど、ちゃんと同じ世界観にいるように見えることもすごいと思いますね。
品田 大胆といえば、『ウルトラマンA』や『ウルトラマンタロウ』で怪獣のデザインを手がけた鈴木儀雄さんも! 彼は怪獣のタテガミやエラといった「垂れ物」を怪獣デザインに盛り込みます。これも大胆な発想だと思いますよ(笑)。
辻本 僕は「改造怪獣」(※既存の怪獣のスーツを改造し、新怪獣にすること)もやらせてもらうんですけど、その時は垂れ物をつけて〝鈴木味〟を入れないと改造した感じが出ないです(笑)。
品田 垂れ物があると顔の印象が大きく変わるので、改造怪獣には欠かせませんよね。
――何度も改造を重ねた怪獣がいるという話もありますよね?
辻本 『ウルトラQ』のパゴスが、その代表ですね。東宝から借りてきたバラゴンから始まり、パゴス→ネロンガ→マグラー→ガボラと、ツノやエリを追加するなどして改造されまくりました。最新作の『ウルトラマンテオ』でも、ガボラのスーツを改造した新怪獣・ネボラが登場しています。『ウルトラマンオメガ』でオメガにエリを切られたガボラを撮ったときに、千切れた首の部分に新たに皮を作れば通用すると思ったんです。僕はその見た目から「素うどん」と呼んでいるんですけど。
品田 ネギすら入っていないような感じの?(笑)。
辻本 そう(笑)。名前もネロンガとガボラから取って、ネボラになりました。バラゴンから始まる改造怪獣の流れにネボラが入るのは、歴史を塗り替えた感じがしてうれしいですね。


レジェンド怪獣の復活と制作費の微妙な関係





――辻本監督は怪獣のデザインを手がけることも。『ウルトラマンブレーザー』で初登場したモグージョンはそのひとつだ。
辻本 僕は怪獣の三面図をしっかり描けないんだけれど、どんなデザインの怪獣も、円谷造形部さんが絶妙なアレンジを加えて、最終的には立派なウルトラ怪獣にしてくれる。だから初めてデザインから手がけたモグージョンの造形を品田さんがやってくださると聞いた時、本当に安心しました。
品田 あんまり自分が作った怪獣は贔屓しないほうなんですが、モグージョンと『ウルトラマンアーク』のシャゴンは、何か可愛くて好きなんですよね。
辻本 それはうれしい!
品田 実は辻本監督と私は縁が深くて、自分が作った怪獣を辻本監督が撮ることが多いんです。
辻本 品田さんたちはテレビ撮影とは別に、イベント用などにレジェンド怪獣を新しく作っていますよね。どの怪獣を製作中か、その噂が現場に流れてくるんですよ。だから「それ、撮影で使っていい?」と交渉しています。
品田 『ウルトラマンZ』のバラバもそうだったかな。
辻本 バラバは違いますよ、先輩! 新しく超獣を作りたかったんですが、シンプルなデザインでコストを低く抑えられるカメレキングかギロン人ならOKと言われていたんです。なのに、ある日「バラバでもいいですか?」と逆に連絡が来て(笑)。僕は品田さんが「作りたい」と言っていると聞いたんですけど……。
品田 いや、あれは同じLSSチームの福井(康之)さんが作りたかったんだと思う。
辻本 『Z』のバラバは『ウルトラマンA』のスーツではなく、デザイン画に寄せてますよね。
品田 そうなんですよ。『A』のバラバはスッポンみたいな顔をしていたから、リメイク版は元のデザインに寄せて、より凶悪な顔なのに、どこか笑っているようにしたんです。レジェンド怪獣をリメイクするとき、スーツを見て作ると「コピーのコピー」になってしまい、デザインの意図がぼやけてしまうんです。だから、必ずデザイン画を見直していますね。
辻本 デザイン的なボリュームのある新怪獣を作るには予算がかかるので、レジェンド怪獣祭りにして盛り上げておいて、満を持してド派手な新怪獣を出すことも。そういう意味では『ウルトラマンデッカー』の地底怪獣を4体も出した回が思い出深いです。
品田 パゴス、テレスドン、グドン、そして大群のツインテールが出てくる回だよね。
辻本 実はツインテールのスーツがなかったんです。そこで「暗闇でよくわからないから大丈夫だ」
と、グリーンバックの前でフィギュアを動かして、あたかもいるように見せました(笑)
品田 そんな裏技を使ったんだっけ。苦労してるね〜(笑)。


歴史に名を残す怪獣のポイントとは?
――長年シリーズに携わる2人に、今も語り継がれるレジェンド怪獣と、その他のウルトラ怪獣の違いはどこにあるのでしょうか?
品田 個人的に『ウルトラマン』全39話の中で、一番マイナーな怪獣はゴルドンだと思っているんです。なぜかと言うと、大村千吉さんが演じる山本の絶叫が強烈で、物語の大筋に絡んでいないから。
辻本 確かに、金を食べるだけですからね。やっぱり物語での扱いや活躍度合いによる気がします。一方、歩くだけで周囲を火の海にするザンボラーとか交通事故で亡くなった少年の霊が乗り移ってクルマを襲ったヒドラは、物語性があるので人気が高いのはわかります。ましてやゼットンは〝ウルトラマンを倒した怪獣〟なので、メチャクチャ記憶に残りますよね。
品田 でもドラコの人気が高いのが謎ですよね。サブタイトルにある怪彗星ツイフォンと絡んでいたわりには、すぐレッドキングとギガスにボコボコにされて出番が終わりなのに(笑)
辻本 そうなんですよね。デザイン性が良いからなのかな?
品田 『ウルトラマンティガ』に登場するナターン星人も、正体を現して1分ちょっとでやられちゃうのに、逆に覚えるんですよ(笑)
辻本 パッと見は人気出そうなデザインですからね。結局のところ、デザイン性と物語の中の活躍度合いが上手く合致したら、人気が出るんじゃないかな。
辻本監督が撮りたい〝推し怪獣〟



品田さんが作りたい〝推し怪獣〟



好評発売中のDIME最新号は「ウルトラマンシリーズ」の大特集、超ワイドなクリアファイルの付録つき!!
エンタメの原点にして最先端。
今月のDIMEは「ウルトラマンシリーズ」60周年記念の大特集。円谷プロの協力のもと、制作の舞台裏から世界での躍進の秘密、企業コラボ、クリエイターに与えた影響まで約40ページのボリュームで徹底取材。さらにDIMEが制作したスペシャルコラボアイテムも大公開します! ファンだけでなく、マーケターやクリエイターも必見の特集です。
さらに第2特集では2026年を彩ったヒット商品を総まとめ。一足早く1年を振り返りつつ、激変する時代のヒットの方程式を紐解きます。
ファン必見の表紙、付録違いの増刊も同時発売! ぜひ、お早めにご購入ください。
DIME 12月号
2026年10月16日発売
特別価格1300円(税込)
DIME12月号増刊
2026年10月16日発売
価格1300円(税込)
【特別付録】
ウルトラマン超ワイドクリアファイル
2ポケット仕様のB5サイズで開くと54cmの大迫力! 通常版と増刊版で図柄違いとなりますのでご注意ください。
※表紙と付録以外は同じ内容ですのでご注意ください。
取材・文/佐久間翔大 撮影/川上裕生(怪獣)、江藤大作(人物) 編集/寺田剛治




DIME MAGAZINE

















