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どっちを選ぶ? VW「ゴルフ」の最強モデル「GTI」と「R」をサーキット試乗で乗り比べ!

2026.10.24

今回、フォルクスワーゲンのスポーティーモデル、ゴルフGTIとRを富士スピードウェイのショートコースで試乗する機会を得た。フォルクスワーゲンが、ゴルフが誇る高性能モデルだけに、一般道では体験できない走りをサーキットで存分に堪能してほしいというフォルクスワーゲンジャパンからのお誘いである。

フォルクスワーゲンのスポーツモデルに富士スピードウェイのショートコースで激試乗

フォルクスワーゲンと言えばゴルフ。その初代は1974年に誕生し、その2年後、1976年にはコンパクトで実用的なハッチバックに胸を高鳴らせる走りを掛け合わせ、モータースポーツを意識して開発された高性能モデル、”ホットハッチ”の原点であるゴルフGTIが登場した。GTIとは「Gran Turismo Injection」の略で、市販車ながらレース参戦を前提としたDNAを持ち、発売前からニュルブルクリンクのレースでプロトタイプがペースカーを務めた経緯があるほどの1台だった。

そして世界で46万台ものGTIが販売される大ヒット作となった背景には、モータースポーツ界での活躍はもちろん、「運転の楽しさと日常性の融合」を掲げた高性能スポーティーモデルを誰もが楽しめる存在にした先駆者としての魅力があったのだ。

8.5世代のGTIは伝統と最新技術を融合した前輪駆動のホットハッチ・スポーティモデル

現行型ゴルフGTIはアイコニックなフロントマスクのレッドライン、チェック柄のシートを継承しつつ8.5世代となり、伝統と最新技術を融合。シャープで先進的なデザイン、機能を備え、大型ディスプレーと最新のコネクティッド機能により、デジタル時代のユーザー体験をもたらすGTIへと進化。電子制御システムとシャシー性能の磨き上げで、GTIならではの俊敏なハンドリング、高い安定性、さらに前輪駆動のスポーツモデルとして類まれな快適性まで手に入れることとなった。ボディサイズ全長4295×全幅1790×全高1465mm。ホイールベース2620mm。パワーユニットは2L TSIターボエンジンと7速DSGの組み合わせで265ps、37.7kg-mを発揮。0-100km/h加速5.9秒の俊足だ。タイヤは225/40R18サイズを基本とし、オプションのDCCパッケージ付きでは235/35R19サイズへとグレードアップされ、電子制御式ディファレンシャルロック”XDS” 、アダプティブシャシーコントロール”DCC” なども用意されている。2026年はGTI誕生50周年の記念すべき年になる。GTI 50th特別仕様車の発売もニュースになっている。

フォルクスワーゲンの究極のスポーツモデルが4MOTIONのゴルフR

ゴルフのプレミアムパフォーマンスを発揮する、フォルクスワーゲンのエンジニアリングを注ぎ込み、さらなる次元へ到達したもう1台のスポーツモデルが最新のゴルフRである。その歴史は2002年登場のゴルフⅣのR32に始まり、R32は3.2L 狭角V6エンジン、241psのパワーユニットとハルデックスカップリングを用いた4WDシステム「4MOTION」を採用。OZ製18インチホイールにレムス製のマフラー、ケーニッヒ製のスポーツシートなど、高性能車を示す装備にも抜かりなしだった。

最新のゴルフ8.5世代のゴルフRはハッチバックとロングホイールベース化されたワゴンのヴァリアントが用意され、ハイチューンされた2Lターボエンジンは2024年のMCで歴代最強の333ps、42.8kg-mを発揮。Rパフォーマンストルクベクタリング、“XDS”や“DCC”などの電子制御システムと4MOTIONと高度に連携させたビークル ダイナミクス マネージャーなどを搭載。本気のスポーツモデルとして、サーキットで威力を発揮する「レースモード」を備えているのも大きな特徴となる。そのパフォーマンスの凄さは0-100km/h加速がスポーツカー並みの4.6秒(ヴァリアントは4.8秒)からも伺えるというものだ。

公道でもそのスポーツフィールが堪能できるGTIとサーキットでも威力を発揮するプレミアムスポーツのR

どちらも公道での試乗経験があるのだが、GTIは走り出しからノーマルゴルフとは別格の265ps、37.7kg-mのパワー、トルクを即、実感でき、とにかく出足から素晴らしくトルキー。ステンレス製アクセルペダルに軽く足を乗せるだけでウルトラスムーズに加速を開始し、ノーマルゴルフとは異なるローダウンされたGTI専用スポーツサスペンションと、標準型ゴルフに対して低めにセットされているはずの専用シートによる低重心感覚、スポーツモデル、ホットハッチならではの低音が響く排気音による勇ましさを日常域でも体感できるのだ。

一方、ゴルフRは主にヴァリアントでの試乗だったが、フォルクスワーゲンの超高性能なハイエンドスポーツモデルでありながら、その動力性能の凄み、刺激性ある排気音とともに、プレミアムカーを思わせる乗り心地の良さ、ロングツーリングでの快適性の高さ、そしてもちろん実用性の高さに驚かされたものだった。ホイールベースがハッチバックのRより50mm長いことも、切れ味鋭いコーナリング性能と高速巡航性能のハイレベルな両立に拍車をかけているようだった。

サーキットでも本領を発揮する軽快で安定感抜群かつ快音に酔える「GTI」

さて、富士スピードウェイのショートコースでまず走らせたのはGTIだ。その車重は1430kgと、ゴルフRより80~90kg軽量で、とにかく走り出しからエンジン、フットワークともに軽快そのもの。コーナーではプログレッシブステアリングの応答性の良さもあってノーズが狙い通りに入り、文句なしの安定感とともに正確にラインをトレースする。

特筆すべきはコーナリング中のマナーで、コーナー内側のタイヤの空転を検知すると、ディファレンシャル内部のクラッチを締結し駆動トルクを内側から外側へ再分配する電子制御油圧式フロントディファレンシャルロックによって外側に膨らむことなくトラクション性能を発揮。2L TSIターボエンジン+7速DSGのレスポンスの良さも合いまって、ハードブレーキングからもグイグイと加速。前輪駆動でありながら、すべてのコーナーを通じたスポーツフィール、ドライバーを不安にさせない鉄壁の安定感の高さも文句なしだった。そして公道では躊躇する速度、走り方をサーキットで存分に堪能して改めて感じたのは、クルマ好きならそれだけでも幸せになれる!?GTIエンジンの快音でもあった。

圧巻のパフォーマンスとジェントルなハンドリング性能が際立つ「R」

つぎに走らせたのはゴルフR Advanceだ。Rは4MOTIONと呼ばれる4WDの組み合わせだが、最新モデルには車速、エンジン出力、ステアリング角度、横加速度、ヨーレートなどの情報をもとに、2つのマルチプレートクラッチが後輪左右のトルク配分を最適にコントロールするRパフォーマンストルクベクタリングを搭載しているのが特徴だ。

ピットレーンを静々と走らせてまず感動できたのが、歴代最強の333ps、42.8kg-mを発揮するターボエンジンの緻密でいて恐ろしくスムーズかつ軽やかに回る極上のエンジンフィールだった。そしてフル加速を試みた時の豪然たる加速力の凄みだ。コーナーに進入した時のハンドリング、フットワークは、意外にも”軽快感”あるGTIに対して落ち着き払ったもので、ある意味、持てるパワー、トルクの発揮しやすさが実感できる。とはいえ、コーナーリングスピードは明らかに速く、クルマの向きの変えやすさ、自在感も一枚上手。このあたりはリヤも駆動する4MOTION、Rパフォーマンストルクベクタリングによるトラクション性能、旋回アシストの面目躍如、曲がりやすさだろうか。

2台目、2回目のコースインということもあり、GTIよりさらにペースアップが可能になったのは、”コース慣れ”ではなく、そうしたRならではのハイパワーの引き出しやすさがあると言っていい。ちなみにUターンに近い、速度をグッと落とす最終コーナーからの短いストレート、最初のコーナーに入るブレーキングポイントまでの最高速度はGTIより10km/h程度速かった。

ハッチバックのみの「GTI」とハッチバックとヴァリアントが選べる「R」の選択が悩ましい

こうして富士スピードウェイのショートコースで最新のゴルフGTIとRを走らせたのだが、両車の価格はGTIが557.9万円。Rが714.9~722.9万円(後者がヴァリアント)。ハッチバック同士の価格差は157万円だ。公道でスポーティーな走りを楽しみたいのであればGTIのパフォーマンス、軽快感、エンジンの快音で十分すぎる。世界のホットハッチの元祖であるGTIのオーナーである誇りも持てるに違いない。が、とくにステーションワゴンの4WDスポーツモデルという、実用×ハイパフォーマンスな走りの両立を求めるなら、プレミアム感がより強まる素晴らしい至高のエンジンと日常の乗り心地の良さまで備えたRのヴァリアントで決まりだろう。GTIのポジションにヴァリアントがないからでもある。

私事ながら、筆者はここ12年、ゴルフヴァリアントのハイライン(7→7.5世代マイスター)に乗り継いでいるが、GTIのポジションのヴァリアントをないものねだりする一方、愛犬を含む家族の大荷物でのドライブ旅行、アウトドアライフの機会が多いため、たっぷりとした荷室を備えたRヴァリアントが、我が家での究極の選択だと常々思っているところだ。

文/青山尚暉
写真/フォルクスワーゲン 青山尚暉

プロミュージシャンからいきなり自動車専門誌の編集者を経験した後、モータージャーナリストに。新車試乗記や自動車関連コラム、防災記事などを幅広い媒体で執筆。クルマのパッケージング、洗車”オタク”でもある。また、ドッグライフプロデューサーとしても活動。愛犬とのドライブ術、ペットと泊まれる宿厳選紹介、ドッグフレンドリーカー選びについて多方面で情報発信中。著書に「ぼくたちの外車獲得宣言」(リヨン社刊)、「すごい海外旅行術」(講談社刊)、「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)など。輸入車の純正ペットアクセサリーの開発にも携わっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(1994年~。現在は小学館DIME推薦)。

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