マヨネーズは「マヨラー」というファンもいるほど人気の調味料。一方で、嗜好の多様化を背景に「酸味が強すぎるのはイヤ」「甘みや塩味とのバランスがいまいち」など、満足していない傾向もあるといわれる。
そんな日本のマヨネーズの常識に挑んだのが、今年8月に『ピュアセレクト® マヨネーズ ふわあま』を世に送り出した味の素だ。嗜好の多様化の現状や市場ニーズ、なぜ〝ふわっと甘い〟やさしい味わいを選んだのかなどの開発秘話を担当者に聞いた。
マヨネーズの嗜好の多様化とニーズとは?
近年のマヨネーズ市場にはどんなニーズがあるのか。新製品を開発した同社の天津氏は次のように話す。
「近年のマヨネーズ市場には、カロリーやコレステロールに配慮した健康価値を重視する層、平飼い卵や国産原料など、素材へのこだわりを重視する層、ヴィーガンや卵不使用といった食生活・ライフスタイルに合った製品を求める層が存在し、嗜好の多様化が進んでいます。
加えて、味わいに対するニーズも細分化しています。従来のしっかりとした酸味やコクを好む層がいる一方で、よりまろやかでやさしい味わいを求める層も見られます」
マヨネーズに求められること
消費者の嗜好の多様化を背景に、今、マヨネーズ製品には何が求められるか。
「これまで、マヨネーズの進化は健康価値や原料価値が中心で、味わいそのものについては比較的似た方向性の製品が多かったように思います。
一方で、人の味覚や食の好みは年齢やライフスタイル、食経験の変化によって多様化しています。
そんな時代だからこそ、マヨネーズにも『自分に合った味を選ぶ』という発想があってよいのではないかと考えました。今後は機能や素材だけでなく、味わいそのものの選択肢を広げることも、マヨネーズ市場の新たな成長につながると考えています」
新マヨネーズの開発背景とこだわり
同社のマヨネーズブランド『ピュアセレクト®』は1996年に誕生し、30年に渡って親しまれてきた。その30年目の節目に、新たな味の提案に挑んだのが、『ピュアセレクト® マヨネーズ ふわあま』だ。
特徴は、産卵から3日以内の国産卵の新鮮さと、はちみつのコクを隠し味に加えたまろやかな味わい、そしてふわっとした口あたり。やさしい味わいは、食材の素材の味を引き立てる。
ところで、なぜマヨネーズ特有の酸味を抑え、ふんわり優しい、まろやかでコクのある味わいを選んだのか。また開発の苦労話やこだわり、これまでの製品との違いについても聞いた。
●なぜ「ふんわり優しい、まろやかでコクのある味わい」に?
「生活者調査を進める中で、年齢を問わずマヨネーズ特有の酸味や塩味に少し強さを感じていたり、もっとまろやかでやさしい味わいを求めていたりする方が一定数、存在することが分かりました。
また、普段からマヨネーズを使っている方の中にも、他の調味料と混ぜて使うことで好みの味に調整している方が見られました。
そこで私たちは、従来のマヨネーズとは異なる味覚価値に着目し、酸味を抑えながらもマヨネーズらしいコクと満足感を持つ製品を開発しました」
●開発において苦労した点とこだわった点は?
「最も苦労したのは、『まろやかでやさしい味わい』と『マヨネーズらしい満足感』を両立させることでした。
単純に甘みを強くするとマヨネーズらしさが失われてしまいますし、酸味を残しすぎると目指す味わいにはなりません。
そのため、酸味・塩味・甘み・コクのバランスを何度も見直しながら最適な味を追求しました。
また、開発した味を安定して再現できるよう、乳化条件など生産面の検討にも時間をかけ、おいしさと品質の両立に徹底してこだわりました」
●これまでのマヨネーズとの違いは?
「従来のマヨネーズはしっかりとした味で食材を引き立てる魅力がありますが、『ふわあま』は素材のおいしさにやさしく寄り添うことを目指しました。
特に生野菜や温野菜にかけていただくと違いを感じていただきやすく、野菜本来の甘みやみずみずしさを引き立てながら楽しむことができます。
また、口の中で重たく残らず、すっと消えていくような〝くちどけ〟の良さもぜひ体感していただきたいポイントです」
消費者の反応「野菜がおいしく感じる」「飲めるくらい軽やか」
「試食いただいた方からは、『今まで食べたことのないマヨネーズ』『酸味が控えめなのに、きちんとマヨネーズらしいおいしさがある』といった声をいただいています。
また、『野菜がおいしく食べられる』『まろやかで食べやすい』といった評価も多く寄せられています。SNS上でも、『マヨネーズの新しい扉を開いた』『これは飲めるくらい軽やか』といったコメントが見られ、従来のマヨネーズのイメージとの違いに驚かれている反応をいただいています。
新しい味わいの選択肢として、多くの方に興味を持っていただいていると感じています」
筆者も新製品説明会で試食してみたところ、口に入れた瞬間に、その名の通り〝ふわっと甘い〝感覚を味わえた。その後、従来品のピュアセレクトを試食したところ、酸味や塩味をはっきりと感じ、その違いが明確にわかった。
また筆者はトマト独特の酸味があまり得意ではないのだが、ふわあまをつけると、それが緩和されたのか、いつもより食べやすく感じた。このふわあまマジックは、ぜひ体験してほしい。
チューブから絞るだけでパスタやスープ、煮込み料理がおいしくなる『TASTY PASTY』や、累計2400万食売り上げている『Cook Do®』のプレミアムライン、極シリーズから新たに『Cook Do® 極(プレミアム)華辣麻婆豆腐用』が登場するなど、おいしさが追求された新製品が複数紹介された。
新しいマヨネーズの味わいへの挑戦は、まだ始まったばかり。今後、これまでのマヨネーズの定義が変わっていくかもしれない。新しいマヨネーズとしてはもちろん、新種の調味料としても、親しんでみるのは良いのではないだろうか。
取材・文/石原亜香利
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