今年も我々日本人及び日本在住者は、「災害の脅威」というものを目の当たりにした。
地震、台風、水害等、2026年もあらゆる自然災害が列島を揺るがした。この時、当然ながら公共交通機関はストップする。仮にJR静岡駅からJR新大阪駅へ行こうとしていた最中、天災で東海道新幹線が運休してしまった。その際、JRグループは状況に応じて当日臨時列車というものを編成するのだが、問題は当日臨時列車は全席自由席という点だ。
長時間駅で待たされたのに、新幹線で座れない。これは利用者にとっては小さくない負担である。が、そんな煩わしさを解消する施策を、JR東海が先日発表した。

当日臨時列車は「全席自由席」だが…
9月25日、JR東海代表取締役の丹羽俊介氏がこのような発表を行った。
ネット予約・チケットレスサービス『EXサービス』のサービス向上に関する事柄である。
東海道・山陽・九州新幹線のネット予約&チケットレス乗車サービス「EXサービス」は、ビジネス・観光を問わず多くのシーンでご利用いただいています。
この度、列車運行に乱れが生じている際にも、便利に安心してご旅行いただけるよう、「EXサービス」のサービス向上を行います。また、夜間時間帯の提供サービスを見直し、シートマップでの座席選択等、夜間時間帯もより便利にご利用いただけるようにします。
(輸送障害時や夜間時間帯における「EXサービス」のサービス向上について JR東海)
2028年春からのサービス提供を予定しているこの新機能は、それまで課題だった当日臨時列車の「座れない」問題に決着をつけるものだ。
上述した通り、当日臨時列車には原則として指定席が設けられない。全席自由席である。ということは、運が悪いと席に座れず、目的の駅まで立脚を余儀なくされるのだ。
こうしたことがあるから、当日臨時列車ではなくダイヤ通りの列車が来るまで利用者は出発駅での「待ちぼうけ」を余儀なくされる。若ければ当日臨時列車での移動を体力で乗り切ることも可能だが、そうでなければ出発駅周辺のビジネスホテルに1泊……という選択肢も浮上するだろう。当日臨時列車に乗る人々は、ほぼ例外なく疲労しているということを思い返す必要がある
それが2028年からは大きく変わる、というわけだ。
・天災等に伴う列車の遅れや運休が多数生じた場合等、お客様に駅で長時間お待ちいただく場合があります。このような場合、臨時列車を追加で運行することがありますが、これまでは当日急きょ運行する臨時列車についてはシステムの制約により指定席を発売することができず、普通車全車自由席として運行していました。このため、事前に座席を確保いただけず、お客様にご不便をおかけする状況が生じていました。
・今回、「EXサービス」のシステム改修によって、当日急きょ運行する臨時列車にも指定席を設定し、これを発売することが可能となり、お客様には事前に座席を確保いただくことで、これまでよりも安心してご利用いただけるようになります。
(同上)
夜間利用時間帯の変更も
なお、この当日臨時列車の指定席はオンライン限定で、駅窓口での購入の場合は引き続き自由席のみとなる。
が、いずれにせよ新幹線の利便性に新たなエッセンスを加える新サービスであることは間違いない。
また、JR東海は全く同じタイミングでエクスプレス予約とスマートEXの「夜間時間帯のサービス内容・提供時間の変更」についても発表している。
・現在、「エクスプレス予約」「スマートEX」において、夜間の一部時間帯(23:30~5:30)では、シートマップのご利用(お座席の指定)ができず、また、予約人数に制限がありますが、ご利用状況を踏まえて夜間時間帯のサービス内容を見直し、ご予約受付時間およびシートマップ等のご利用可能時間を変更します。
(同上)
こちらも地味ではあるが、プレスリリースに目を通すとなかなか興味深い内容である。2027年秋を目途に、上記の夜間一部時間帯での機能制限が改められ、代わりに23:45~翌0:05、翌1:50~翌4:40までの予約サービス停止時間が設けられるという施策だ。
疎結合の中の密着
このように、新幹線予約・チケットレスサービスはその姿を大きく変えようとしている。
9月25日のJR東海の発表は、プレスリリースではJR東海、JR西日本、JR九州の3社連名になっている。JRグループは「共和制」をも思わせる緩やかな連携を形作っているが、それ故に各社は独自色を有している。
ただし、それはシームレスな連携を望めない場合もあることを意味する。代表例が交通系ICカードの「境界線」問題だ。
とはいっても、JRグループが問題に対して何もしていないというわけではもちろんない。今回の事例は、言わば「疎結合の中の密着」とも形容すべき取り組みである。JR各社が独自性を保ちつつ、利便性解消へ向けたアクションへ本格的に足を踏み入れようとしている。2030年代に向けて、こうした取り組みはさらに活発になり、さらに複合的な計画として実施されるはずだ。
参考
輸送障害時や夜間時間帯における「EXサービス」のサービス向上について JR東海
文/澤田真一
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