LINEヤフーは、LINEのコミュニケーションから生まれる予定を俯瞰して整理し、個人の予定も安全管理できる単独アプリ「LINEカレンダー」の正式提供を開始した。
3月にLINEアプリ内のカレンダー機能として提供を始めて以来、グローバルで約4900万MAUを獲得しており、単独アプリ化やウィジェット、ホーム画面からのすばやいアクセスを求める声に応えた形となる。本アプリはYahoo!カレンダーアプリのアップデートとして提供され、執筆時点で配信済みのアプリとなっている。
トークから予定投稿への一気通貫体験と充実の基本機能
LINEヤフー株式会社 コンテンツ&メンバーシップドメイン ID会員サービスSBUの山本佐恵氏は、3月にLINEアプリ内で提供を開始したカレンダー機能が、グローバルで約4900万MAUを獲得したことを受け、単独アプリやウィジェットを望む声が多く寄せられたと、提供の背景を説明している。
単独のLINEカレンダーアプリでは、LINEのトークからそのまま予定を投稿する従来の機能に加え、複数のグループの予定をまとめて確認でき、自分だけの予定も管理できる。友達に共有されるのは、その相手との予定のみであり、共有の便利さとプライバシーを両立させたUI/UXに注力しているという。
LINEアプリ内のカレンダー機能、LINEカレンダーアプリの予定データは共通で参照され、LINEで登録した予定は単独アプリでも、単独アプリで登録した予定はLINE内でも確認可能である。リマインドも、LINEメッセージとアプリのプッシュ通知の双方で受け取れる。
機能面では、今日の予定と月全体の予定を同時に把握できるほか、要望の多かったウィジェットでホーム画面から予定をさっと確認できる。Yahoo!カレンダーから引き続き「予定スタンプ」を提供し、大切な予定を一目で判別しやすくした。
iOSやAndroidの端末カレンダーを読み込めるほか、iOS標準カレンダーに他のカレンダーを連携している場合は、その予定も自動反映される。山本氏は、従来のカレンダーアプリでは予定の調整と登録が分断されがちだったのに対し、LINEで会話しながら日程を調整し、そのまま投稿・管理できる一気通貫の体験が利用者に選ばれる大きな理由になると強調した。本アプリはヤフーカレンダーアプリのアップデートとして提供され、LINEアカウントとYahoo !JAPAN IDを連携すれば従来のYahoo!カレンダーの予定を確認できる。
10月以降に予定転送や表示切り替え、AI支援を段階的に追加
今後の計画について、今年10月には、QRコードなどでLINEでつながっていない相手とも予定を共有できる転送機能を提供すると述べている。11月には予定スタンプの検索・履歴機能を追加し、スタンプ選びと投稿をより迅速にし、12月には、日程が記載されたポスターや予定画面のスクリーンショットなどの画像をAIが自動解析し、未登録の予定を検知して登録を提案する機能の提供を予定。手入力の手間を減らす狙いである。
来年1月、2月にはデイビュー、ウィークビュー、リストビューなどの表示切り替えや、地図・場所との連携も加わる。LINE内カレンダーではすでに日程調整エージェントをリリース済みであり、作成時にAIが最適な候補日を提示し、回答時には既存予定を踏まえて丸・三角・バツでの回答を提案するほか、リマインドや回答後の個別調整も支援する。今後はLINE内カレンダーとの連携を強化し、双方でAIサポートを充実させていく方針が明かされている。
データ共通、プライバシー、収益化はどう確保するのか
質疑応答では、予定データの共有について、LINE内カレンダーと単独アプリは同じデータを参照しており、どちらから登録した予定も双方で確認できることが確認された。一方、予定スタンプは現時点でLINE内では利用できず、LINEのスタンプとの連携も含めて今後検討される。UI/UXは完全一致ではないものの、利用者が困らないよう親和性を持たせているという。
Yahoo!カレンダーからの移行については、本アプリはヤフーカレンダーアプリのアップデートとして提供されるため、自動アップデートを有効にしている利用者は自動的にLINEカレンダーアプリへ切り替わる。既にWeb版のYahoo!カレンダーは昨年9月に終了しているが、Yahoo!カレンダーの予定はYahoo!JAPANアプリやYahoo!メールから閲覧・投稿が可能である。
なお、すでに多くのユーザーがいるYahoo!カレンダーサービスやブランドの扱いは、慎重に検討が続けられるとのこと。LINEからYahoo!カレンダーへの予定コピー機能は今後追加される予定で、それを待たずに編集・削除したい場合はYahoo!JAPANアプリやYahoo!メールの利用が案内されている。
AI機能については、画像から予定を読み取ることへのプライバシー上の懸念が複数の角度から示されている。AIに読み取られたくない情報の選択権や、保護策をどう設計するかが問われたのに対し、山本氏は利用者が気にする点と認識した上で、機能とプライバシー対応の双方を開発・検討中と回答している。あわせて、情報漏洩や不正アクセスが相次ぐ状況を踏まえ、ベンダーではなく自社で100%開発していることが明かされた。
提供時期と体験の狙いについては、単独アプリの提供が報道では7月とされていたものが10月にずれた理由として、社内での試用と改善を重ねたことが挙げられた。特に単独アプリでは、LINEアプリ内のフローと異なり、先にグループを選んで予定を投稿する流れであるため、誤投稿を防ぎ、投稿先を分かりやすくする改善に時間をかけたという。
PC版LINEでのカレンダー提供や、単独PC版アプリは引き続き検討中とされている。OS標準を含む既存カレンダーが普及する中で選ばれる理由については、予定の調整と登録が分断されない、一気通貫の体験が最大のポイントだと強調された。収益化については、当面は広告なしでの提供とし、アップデート直後の成長フェーズでは利用者拡大を最優先し、広告を含む他の収益化手段は今後検討する方針が示された。
取材・文/佐藤文彦
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