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人は1日何時間座っているのか?活動量計による身体活動の実態調査で明らかに

2026.10.23

私たちはどれくらい身体を動かし、どれくらい座っているのだろうか。これまで全国規模で客観的に把握されてきた身体活動指標は歩数が中心で、実際に国民がどの程度身体を動かしているのかは十分に明らかになっていなかった。

そこで明治安田厚生事業団と笹川スポーツ財団はこのほど、共同研究「活動量計による身体活動・スポーツの実態把握調査2025」を実施し、その結果を発表した。

本調査は、身体活動に費やす時間や活動強度、座位時間を詳細に測定できる「活動量計」を用い、身体活動の実態を客観的に把握したもの。2024年度・2025年度に全国47都道府県を対象に調査を実施し、2,459名(2024年度1,105名、2025年度1,354名)の活動量計データをもとに、身体活動量の全国代表値を国内で初めて提示した。

1日あたりの身体活動時間・歩数・座位行動時間(全体、成人・高齢者別、成人・高齢者×性別)

解析対象者における1日あたりの低強度身体活動(LPA)時間、中高強度身体活動(MVPA)時間、座位行動時間、歩数の中央値を示した。

成人(20~64歳)では、LPA時間333.2分、MVPA時間56.2分であった。男女別にみると、LPA時間は男性297.4分、女性376.4分と、女性が約80分長かった。一方、MVPA時間は男性56.6分、女性55.7分とほぼ同等であった。座位行動時間は男性が540.5分、女性は523.9分、歩数は男性が7,317歩、女性が6,619歩で、いずれも男性が上回った。

高齢者(65歳以上)でも同様に、LPA時間は男性294.2分、女性381.5分と、女性が約90分長かった一方、MVPA時間は男女とも約43分であった。座位行動時間は男性537.5分、女性490.8分、歩数は男性5,719歩、女性5,163歩で、いずれも男性が上回った。

1日あたりの身体活動時間・歩数・座位行動時間(性別×年代別)

年代別にみると、低強度身体活動時間はすべての年代で女性が男性より長かった。中高強度身体活動時間は、男女ともに20~60歳代では50分台であったが、70歳代では40分未満と短かった。座位行動時間は男女ともに20歳代が最も長く、約560分(9.3時間)で、すべての年代で男性が女性より長かった。

厚労省の推奨身体活動量の達成率

厚労省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」において、中高強度身体活動を、成人では1日60分以上、高齢者では1日40分以上行うことを推奨している。

● 成人(20~64歳):1日60分以上(1日約8,000歩以上、週23メッツ・時以上に相当)
● 高齢者(65歳以上):1日40分以上(1日約6,000歩以上、週15メッツ・時以上に相当)

本調査における1日あたりの推奨身体活動量を満たす者の割合(達成率)は全体で47.7%であった。成人・高齢者別では、成人45.1%、高齢者55.0%で、高齢者が成人より9.9ポイント高かった。さらに男女別にみると、成人男性46.0%、成人女性44.1%、高齢者男性53.3%、高齢者女性56.6%であった。成人では男性、高齢者では女性の達成率がやや高かったものの、男女差はいずれも小さかった。

運動・スポーツ実施の有無による身体活動状況

活動量計装着中の運動・スポーツ実施の有無による1日あたりの身体活動状況をみる。推奨量の達成率は、全体では運動・スポーツ実施者58.6%、非実施者40.2%で、実施者が18.4ポイント高かった。成人でも推奨量の達成率は実施者56.7%、非実施者38.4%と実施者で高かったものの、運動・スポーツ実施者の43.3%は推奨量を満たしていなかった。

居住周辺環境・自動車なしで生活することが難しい地域における身体活動状況

居住周辺環境について、「自動車なしで生活することが難しい地域か」による身体活動状況をみる。推奨量の達成率は、全体では自動車なしで生活することが難しい地域(あてはまる群)44.3%、難しくない地域(あてはまらない群)52.4%で、難しい地域では達成率が8.1ポイント低かった。特に成人では、難しい地域の達成率は41.6%にとどまった。

<活動量計>
本調査では、三軸加速度センサーを搭載した活動量計を使用し、身体活動を客観的に測定した。腰に装着することで、身体活動データを10秒ごとに記録し、身体活動量や歩数を測定できる。

研究担当者コメント/川上 諒子氏 明治安田厚生事業団 体力医学研究所 副主任研究員

これまで、日本人が日常生活の中でどれくらい身体を動かし、どれくらい座っているのかを、客観的かつ全国規模で捉えたデータは見当たりませんでした。今回、長年にわたり大規模な全国調査を手掛けてきた笹川スポーツ財団と、活動量計を用いた身体活動研究に取り組んできた体力医学研究所が協力することで、全国47都道府県を対象に活動量計を用いた調査を実施し、日本人の身体活動量の全国代表値を初めて示すことができました。

本調査から、中高強度身体活動時間には男女で大きな差がない一方、低強度身体活動時間は女性が男性よりも1日約80分長いことが分かりました。特に女性では、歩数には表れにくい低強度の身体活動を長時間行っている傾向が示され、歩数だけでは把握できない実態を捉えることができました。今後は、今回得られたデータの解析をさらに進め、日本人の身体活動の実態をより詳細に明らかにするとともに、国民の健康増進に役立つ知見を発信していきたいと考えています。最後に、本調査にご協力いただいた全国の皆さまに、心より御礼申し上げます。

研究担当者コメント/松下 由季氏 笹川スポーツ財団 シニア政策オフィサー

2年にわたり活動量計を用いた郵送法による全国調査を実施し、多くの方々のご協力により国内で初めて身体活動量の全国代表値を示すことができました。分析の結果、運動・スポーツ実施者は非実施者より身体活動量が多いものの、厚労省の推奨身体活動量を満たしていない人や座位行動時間の長い人も一定数みられました。一方で、運動・スポーツ非実施者でも約4割が推奨身体活動量を満たしており、運動・スポーツ以外の日常生活における身体活動も重要な要素であることが示されました。

活動量計を用いた身体活動量の測定により、スポーツ政策の評価指標の中心である「スポーツ実施率」では捉えきれなかった新たな課題もみえてきました。今後のスポーツ政策においては、実施率のみならず身体活動量にも着目し、日常生活の中で身体を動かし、座りすぎを減らせる機会や環境を整えていくことが重要だと考えます。

<調査概要>

【調査対象】
層化二段無作為抽出法を用いて全国47都道府県から年度ごとに抽出された200地点における満20歳以上80歳未満の男女(2024年度5,400名、2025年度6,000名)

【調査方法】
対象者に土・日曜日を含めた合計7日間にわたり活動量計の装着を依頼し、測定を行った。期間中の運動・スポーツ実施状況や生活習慣等に関しては、質問票により回答を得た。

【調査時期】
2024年11月および2025年11月

【主な調査項目】
1) 活動量計による測定:身体活動量(低強度・中高強度)、歩数、座位行動時間など
2) 質問票による調査:運動・スポーツ実施状況、運動・スポーツ活動歴、健康認識、生活習慣、周辺環境、基本属性など

【解析対象者】
2,459名(2024年度1,105名、2025年度1,354名)

【集計方法】
国勢調査の人口構成に基づき、性別・年代・都市区分による重みづけを行った。

【研究責任者】
公益財団法人 明治安田厚生事業団体力医学研究所 甲斐 裕子 副所長/上席研究員
公益財団法人 笹川スポーツ財団 吉田 智彦 シニア政策ディレクター

【研究主担当】
公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所 川上 諒子 副主任研究員
公益財団法人 笹川スポーツ財団 松下 由季 シニア政策オフィサー

【研究担当者】
・公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所
北濃 成樹 副主任研究員
藤井 悠也 研究員
山口 大輔 研究技術員

・公益財団法人 笹川スポーツ財団
宮本 幸子 シニア政策ディレクター
水野 陽介 シニア政策オフィサー
郡山 さくら 政策オフィサー

出典元:公益財団法人 明治安田厚生事業団、公益財団法人 笹川スポーツ財団

構成/こじへい

Author
1986年、神奈川県生まれ。ライター歴は15年目で、現在は主にPR、芸能、YouTube関連の記事を執筆しています。

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