■連載/阿部純子のトレンド探検隊
大型テレビやRGB技術で高いシェアを誇る「ハイセンス」だが、昨年は日本法人創業10年となり、テレビ事業にとどまらず白物家電事業にも注力していくことを宣言した。
今年は日本市場における冷蔵庫事業の新たな展開としてフラッグシップモデルを発表。洗濯機は中型からコンパクトサイズまでドラム式洗濯機ラインナップを拡充している。
6ドアの大型冷蔵庫に本格参入、ドラム式乾燥洗濯機はコンパクトサイズをリリース
昨年は初めて450L 5ドアの冷蔵庫、ヒートポンプ式のドラム型洗濯機を導入。ドラム式洗濯機は高評価を得て展示店舗が拡大、セルアウトも伸長している。
「今年はドラム式のヒーター式乾燥モデルを8kg/9kg/10kgで展開しまして、2024年の売上を起点とすると今年は約160%の見込みとなっており、来年は2024年の2倍になると想定しています。
全自動洗濯機はインバーター化、自動投入の全モデル搭載を推進していきます。縦型洗濯機は静音、省エネ、能力、デザインを強化しラインナップ拡充します。
冷蔵庫に関しては、日本市場においては単身者向け、ミドルクラスの製品を中心とした展開をしてきましたが、今年は501L 6ドア新たにを投入し、日本メーカーの主力製品と同じ市場で競うことを見据えた大型モデルを導入いたします。野菜の保鮮やコンパクト性、機能性で国内の激戦地帯に対し競争力を確保していきたいと考えています」(ハイセンスジャパン株式会社 副社長 山本一人氏)
〇ハイセンス初となる大容量501L 6ドア冷蔵庫(HR-FH50S)
国内市場最大容量となる501Lのフレンチドア冷蔵庫を市場投入し、ファミリー層、まとめ買い需要の獲得に攻勢をかける。
大型になるほど「幅」「奥行き」「扉」が設置の制約になり、大きい冷蔵庫が欲しいが置きにくいというユーザーの悩みも多い。こうした声に応えるべく、海外展開のビルトイン冷蔵庫技術を転用し、放熱機構を最適化することで、501Lでありながら、幅65cm、奥行65cmという日本のキッチンに置きやすいサイズを実現した。
さらに日本の住宅事情を考慮し、設置するときに必要な「すき間」まで小さくする、側面3mm、背面0mmの「ぴたよせ設計」を採用している。
ドアは最大150°まで開き、壁際に設置した場合でも、90°開くだけで引き出しをしっかり引き出せて、棚板の取り外しや組み替えも支障なくできる導線設計を採用している。
野菜室と冷凍室には耐荷重ベアリング式レールを搭載。「10万回開閉試験」をクリアし、奥の食材まで引き出せる耐久性と利便性を両立している。
おいしさを持続させる根幹技術が「おいしさW冷却」。冷蔵室と冷凍室には、個別の冷却器を配置しそれぞれを最適に制御する。「おいしさW冷却」により冷蔵室全体をチルド室として使うことができ、冷蔵室内を約2℃、湿度約85%に保ち、作り置き料理のラップなし保存に対応できる。
まとめ買いした野菜をおいしく最後まで使い切ることができるのが野菜室の「キープフレッシュ14days」。野菜を劣化させるエチレンガスを分解し、野菜室を適切な湿度にコントロールできる新開発の「とれたてWフィルター」を採用。
これにより野菜のみずみずしさをキープでき、14日間保存後の小松菜の水分残存率は、従来品の80%から94%へ向上している。
下記画像は野菜室に8日間保管した際の比較。左が既存製品、右が新製品。
「微氷結」と「チルド」を切り替えできる冷蔵室最下段のセレクトチルド室には、凍結肉を約60分で微氷結状態にする「解凍モード」を新設。解凍スペースとしても活用でき、凍った魚や肉が約60分で、包丁で切れる状態になる。
冷凍室にはマイナス約30℃の冷気で15mmの厚さの肉を約25分で冷凍する、急速「旬」冷凍と、霜付き抑制機能を実装している。
「501Lフレンチドア冷凍冷蔵庫 HR-FH50S」は、2026年10月下旬発売、市場想定価格259,600円。カラーはシルクホワイト、ブラストグレー、サテンブラック。
〇初めての人向けのコンパクトな9kg/5kg ドラム式洗濯乾燥機(HWF-B90SS-W)
若年ファミリーから単身者まで、初めてドラム式を選ぶ人を想定した、限られた設置スペースにも置きやすいコンパクトさを追求した、洗濯9kg/乾燥5kgドラム式洗濯乾燥機。高さ1007mm、奥行は576mmと、9kgクラスでは業界トップクラスの薄型の奥行で、置きやすさを重視した。
コンパクトなドラム式が誕生した背景には、開発を担当している研究開発センターの今井俊次氏の単身赴任中の体験がきっかけだった。
「昨年造ったドラム式洗濯機が、私の家には入れなかったんです。一生懸命造った製品なのにさすがにまずいと、日本の限られた住空間にも置けるドラム式を目指し、少なくとも私の家に置けるようなサイズを念頭において開発しました。
前面は奥行きを抑え、限られた防水パンにも収まりやすくし、背面は給水口まわりを斜めにカットし、蛇口や給水弁との干渉に配慮しました。側面に関しても、排水口まわりにスペースを設け、排水ホースの取り回しにも配慮しています」(今井氏)
しっかり洗うことにこだわった「浸透泡ベール洗浄」は、「洗剤+水+空気」で高濃度の洗浄液を生成し、高濃度の洗浄液を放射状に噴きかけることで衣類に素早く浸透させる。用途に合わせて、20℃、40℃、60℃と温度も選べる。
乾燥機能については、低温風でやさしく乾燥させるPTCヒーターを搭載。5kgまで対応し、5kgを150分で乾燥させる。
大量の洗濯物を速く乾かすのではなく、毎日の少量の洗濯物を、洗って乾かすところまで短時間で済ませられるという生活ベネフィットを重視し、約2kgの少量を最短約60分で乾燥させる。
ドラム式洗濯乾燥機の新製品はヒーター式を採用しているが、開発者の今井氏は今回ヒーター式を採用した理由として、7年間使用した場合のトータルコストを挙げた。
「家電量販店に行くと、水や電気の使用料や価格が表示されて、1回の使用料を比べてこちらがお得と書かれていますが、私たちはその考え方に少し疑問を持っていまして、生活パターンに応じて最適なものを選べる選択肢を提供したいと考えています。
1回の使用で言うと、ヒートポンプ式は1回の使用で約45円、ヒーター式は約70円とヒートポンプ式の方が安くなります。しかし7年使った場合のトータルコスパを私たちは考えています。
毎日、洗濯乾燥をする家庭ではヒートポンプ式の方がお得になりますが、新製品のターゲット層である単身者や、外干しをしている家庭で、3日に1回程度の乾燥使用であれば、7年間の価格差が41,000円となり、断然ヒーター式がお得になります」(今井氏)
単身者のユーザーも考慮して、パネルは直感で操作できるように工夫されている。設定に関しては縦に配置して選びやすくし、洗濯の進行が一目瞭然となるように表示する。
また、コンパクトな本体ではありながら、ドラムの直径は530mm、投入口は360mmと大きく飛来で出し入れしやすい。
手入れが面倒で、汚れが気になるドアパッキン部分、乾燥フィルター、排水フィルターも抗菌仕様を採用しているのもうれしいところ。
「9kg/5kg ドラム式洗濯乾燥機 HWF-B90SS-W」は、2026年11月下旬発売、市場想定価格110,000円。
【AJの読み】テレビの次は白物家電でも攻勢をかけるハイセンス
ハイセンスといえばテレビを思い浮かべる人も多い。テレビ市場では存在感のあるハイセンスだが、昨年から日本の大型白物家電市場に本格参入した。
冷蔵庫については、昨年は単身者向け、ミドルクラスの製品を中心だったが、今回はこれまでのラインアップとは一線を画す、日本メーカーの主力製品と同じ市場で競うことを見据えた大型モデルを発表した。
一方のドラム式洗濯乾燥機は、大きさや価格がネックだと感じていたユーザー層に訴求する、初めてドラム式を使う若年世帯や単身者をターゲットにしたコンパクトさを前面に出した製品を展開する。
取材・文/阿部純子
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