■連載/阿部純子のトレンド探検隊
エコ建材や都市緑化の開発といった“グリーンインフラ”を推進している「東邦レオ」は、「緑化単体では価値や対価に結びつきにくい」という課題と、昨今の集中豪雨や猛暑への対策として、雨水の一時貯留技術や遮熱、保水舗装を組み合わせた高付加価値な空間ソリューションを展開している。
同社が推進する、都市の豪雨対策と暑さ対策を同時に解決する「Beat the Heat」プロジェクトは、「色の反射」「水分と気化熱」「健全な植物」の3つの要素を組み合わせ、地表温度を最大約20℃低減する独自の地表涼化システム。
10月に東京・神田で開催された地域共創イベント「KANDAフェス2026」では、1時間100mmの豪雨を再現した雨水貯留デモや、白色系マルチングの上を裸足で歩く「ひんやり」体験といった、豪雨にも猛暑にも強い都市の地面を体感できるイベントを実施した。
近年増加する都市型集中豪雨に対応するグリーンインフラ
近年では当たり前となってしまった猛暑に加え、今年は1時間あたり100mm規模の豪雨が頻発し、地下街や駅への浸水、アンダーバス冠水、都市部の内水氾濫と、都市の大雨被害が浮き彫りになっている。
都市の暑さを地表から変える「Beat the Heat」プロジェクトは、降った雨を地中の基盤材に貯め、晴れた日にはその水の気化熱で地表を冷やす、“雨を味方にする”仕組みで、都市の集中豪雨対策と暑さ対策の両立を目指している。
イベントでの雨水貯留デモでは、簡易的な人工降雨機で1時間あたり100mmの豪雨を再現し、東邦レオの基盤材「J・ミックス」に降らせて、断面から雨水がJ・ミックスのすき間に貯まっていく様子を公開した。
通常の雨水処理では、雨が降ると雨水は側溝に流れ、そのまま下水管へと排水される。しかし近年増加している集中豪雨に対して、地面が舗装で覆われた都市では、雨が地表にしみ込まず一気に低い場所へ流れ込むため地下街や駅への浸水が起こり、下水道や側溝などの排水能力が追いつかず、地面に雨水が溢れて浸水してしまう内水氾濫も起こっている。
この課題への対処方法として、グリーンインフラが注目されている。グリーンインフラでは、雨水が浸透側溝や保水性舗装からも地中に貯留浸透することにより、都市型水害を軽減することができる。
水が染み込む保水性のある舗装を行い(下記画像)、その下に雨水貯留浸透基盤材「J・ミックス」を敷いて雨水を貯留・浸透させる。
「J-ミックス」は単粒度のコンクリート再生砕石(他のリサイクル骨材を含む)に腐植をコーティングしたグリーンインフラ用の雨水貯留浸透基盤材。骨材の空隙に雨水を貯留、浸透させるが、単粒度砕石4号と比較して、この基盤材は空気率41%とより多くの水を貯留浸透できる。
また、「フミン酸」「フルボ酸」といった腐植酸で被覆する「腐植コーティング」をすることで砕石の目詰まりを抑制し、根の伸長を促す効果もある。
夏の強い日差しを受けた地表は高温になり、地面に近いほど暑さは厳しくなるが、グリーンインフラで地中に貯めた水は、晴れた日に蒸発する際の気化熱で地表を冷やすため、背の低い子どもやベビーカーの乳幼児、熱中症リスクの高い高齢者、直接地面に触れるペットへの負担を軽減する。
「グリーンインフラの技術自体は20年ほどから前からあったもので、横浜市みなとみらい21地区にある『グランモール公園』には2014年に導入されています。
しかし一般にはあまり知られておらず、昨今の集中豪雨・猛暑緩和のインフラとしての役割をお伝えしたく、神田での体験イベントを開催しました。
雨水貯留のメカニズム、白色系マルチングの遮熱効果を直感的にお伝えすることで、安全かつ快適な空間としての認知を広げ、街やオフィス、商業施設選定の新基準を創出できるのではないかと考えています。
また、ビルのすき間、屋上、店舗前など民有地への導入で、ビルオーナーへの不動産価値向上の提案にもつなげていきたいと思っています」(東邦レオ株式会社 サステナブル ソリューション事業 田中克奉氏)
【AJの読み】雨水を味方にして緑豊かで、涼しいまちを実現するグリーンインフラ
自然の水循環を生かした新しいまちづくりとして注目されているのがグリーンインフラ。神田のイベントではグリーンインフラが取り入れられている横浜市のグランモール公園の施工例について紹介する映像が放映されていた。
グランモール公園では今後、グリーンインフラを拡張して、地下に700mの水脈を確保する予定とのこと。
東邦レオは、2027年3月19日から9月26日まで大阪で開催される「GREEN×EXPO 2027」(2027年国際園芸博覧会)の出展を予定しており、1990年の大阪「国際花と緑の博覧会」以来37年ぶりとなる国際園芸博への出展となる。
都市型の集中豪雨に対応でき、緑豊かで、涼しい、安全なまちづくりをかなえるグリーンインフラは今後ますます注目されそうだ。
東邦レオBeat the Heatプロジェクト
https://greeninfrastructure.jp/solution/flood/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000083.000003706.html
https://voyage-media.com/news/beat-the-heat-toho-leo/
取材・文/阿部純子




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