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【昆虫博士・牧田習が解説】外来種は海外からだけじゃない!意外と多い〝国内外来種〟とは?

2026.10.17

「外来種」と聞くと、海外から日本にやってきた生き物を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、外来種の中には、日本国内にいる生き物が別の国内の地域へ持ち込まれた「国内外来種」も存在しています。特に昆虫は、ペットとして本来生息している地域外に持ち込まれることも多いため、国内外来種として問題になることがあります。そこで今回は、日本国内で発生している国内外来種の具体例、なぜ国内外来種が発生することがよくないのか、国内外来種を生み出さないために私たちができることについて解説いたします。

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大人気の“あの昆虫”も国内外来種!?

昆虫界の人気者・カブトムシ。夏に樹液に集まる姿は、自然なものだと考える方が多いでしょう。しかし、日本国内でも、本来、カブトムシが生息していないのにも関わらず、国内外来種として定着している地域があります。それは北海道です。カブトムシは元々、寒い北海道には分布していなかったのですが、1970年代以降、ペットとして持ち込まれた個体などが自然に住み着いてしまい、現在では多くの地域で定着してしまいました。

僕も北海道に住んでいたことがあるのですが、札幌周辺だけではなく、知床や稚内周辺などでもカブトムシが街灯に飛んでくる様子を見かけたことがあります。

また、東京都内でも国内外来種のコガネムシが確認されています。リュウキュウツヤハナムグリ奄美亜種という奄美諸島原産のコガネムシが、人間の物流によって2010年前後から沿岸部を中心に姿を現すようになり、最近では内陸部でも見られるようになってきました。

東京都大田区産リュウキュウツヤハナムグリ

さらに、チョウでも国内外来種の事例は発生しています。僕は現在、鹿児島県奄美大島で2017年からいきなり見られるようになったフタオチョウというチョウに着目しています。フタオチョウは本来、国内では沖縄本島周辺でしか見られない種類でした。奄美大島で確認されているフタオチョウの形態や遺伝子を調べてみると、沖縄本島の個体群と一致しており、人間が持ち込んだ可能性が高いと考えています。

なぜ「同じ日本の種類」でもだめなの?

「日本に昔からいる種類なら、海外から来た外来種のような問題は起きないのではないか?」と思う方もいるかもしれません。しかし、大切なのは国内であっても、それぞれの地域に固有の生態系が存在していることです。地域の生態系は、長い時間をかけて形成されています。そこに、それまでいなかった種類が入ってくると、元々いた在来種との間で餌や生息場所をめぐる競争が起こったり、在来種を捕食したり、近縁種と交雑してしまったりする可能性があります。

先ほど紹介した北海道のカブトムシも、元々北海道にいたクワガタムシやコガネムシなどとエサ場などを奪い合う可能性が指摘されています。自然界のあらゆる資源には限りがあるため、新しく入ってきた外来種がバランスを崩してしまう可能性があるのです。

ここまで聞くと、「その種類が元々いる地域なら他の地域から持ち込んでも問題にならないのではないか?」と思う方もいるかもしれません。しかし、生き物には地域レベルで固有の特徴があります。特に、遺伝子の特徴などは気づきづらいことが多く、他の地域の個体を混ぜてしまうことで、その地域の個体群の特性が失われてしまう可能性があります。

国内外来種を生み出さないためには?

では、国内外来種の拡大を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。まず、最も分かりやすいのは、ペットをはじめ、他の地域から連れてきた生き物を野外に放さないということです。昆虫を飼育していて、「もう飼えないから自然に返そう」と考える人もいるかもしれません。しかし、飼育している場所と本来の生息地が異なる場合、その行為が国内外来種を生み出すきっかけになる可能性があります。同じ種類の昆虫でも、産地が違えば遺伝的な特徴が異なるため、野外で逃がさないようにしましょう。

また、土砂や植物などを移動させる際に、昆虫が紛れて移動してしまうことがあります。国内外問わず、このような生息環境をまるごと移動させたことで、発生した外来種は多いです。知らないうちに、将来、深刻な問題を引き起こす外来種を発生させてしまう可能性があるため、土砂や植物を移動させる際はよく注意するようにしましょう。

地域の生態系は絶妙なバランスのもとで成立しています。他の地域から生き物を持ち込んでしまうことで、その地域のバランスを崩壊させてしまう可能性があるため、それぞれの地域の生態系の「個性」を考えながら、自然に接するようにしましょう。

昆虫ハンター・牧田習
博士(農学)。1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学し、2025年3月に同大学院博士課程を修了。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発見している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「趣味の園芸 やさいの時間 里山菜園 有機のチカラ」(NHK)、「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。
著書:「昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本」(小学館)、「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)、「春夏秋冬いつでも楽しめる昆虫探し」(PARCO出版)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my

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文/牧田習

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