秋は暑さが和らぎ、夏ほど汗をかかずにバーベキューや焚き火などを楽しめるため、秋キャンプを計画している人も多いのではないでしょうか。秋は気温が下がってくるため、蚊などは減ってきますが、スズメバチや毛虫、マダニなどの危険な虫の被害に遭うリスクはあります。ただ、キャンプでは、普段の生活よりも自然の中で過ごす時間が長くなるため、テントを張る場所や薪を拾うとき、草むらを歩くときなど、知らないうちに危険な虫と接触する可能性もあります。そこで、今回は、秋キャンプで特に気をつけたい代表的な3つの虫と、知っておきたい対策について解説いたします。
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1年のうちで最も数が増えるスズメバチ
まず、秋のアウトドアで特に警戒したい虫はスズメバチです。スズメバチの仲間は春から活動を始め、夏から秋にかけて巣が大きくなります。そして、秋には、個体数がピークに達します。1つの巣で、1000頭以上にもなることがあるほどです。そして、次世代の新女王やオスバチが巣の中で育ち始める時期でもあるため、警戒心も高まります。林の中や木の根元、茂みなどに作られる巣に注意するのはもちろん、普通にキャンプしているだけでも、見かける機会が出てくるはずです。
スズメバチを見かけたときにやってはいけないのが、手で追い払ったり、走って逃げたりすること。急な動きはハチを刺激する可能性があります。もし近くを飛んでいるだけなら、姿勢を低くして、できるだけ刺激しないようにゆっくりとその場から離れましょう。また、黒などの濃い色の衣服や香水などの強い香りに反応することがあるといわれています。秋キャンプでは、長袖・長ズボンを着用し、肌の露出をできるだけ減らしておくと安心です。
キャンプサイトを設営するときには、スズメバチが頻繁に飛び回っていないか、近くの木の洞や茂みなどに巣がないかを確認しておくことも大切です。もし、刺されてしまったら、ポイズンリムーバーで毒を吸い出す応急処置を行い、なるべく早く医療機関を受診してください。
毒を持つ毛虫にも要注意
キャンプでは、木の近くや草むらの中にテントを張ったりすることもあるため、毛虫にも注意が必要です。毛虫の中には、ごく一部に毒を持つ種類がいます。代表的なのはドクガ類やイラガ類の幼虫で、これらは春から夏にかけても発生しますが、秋にもピークがやってきます。イラガは触れると、ヒリっとした痛みが走ることがあります。一方で、ドクガは触れた直後は無症状のこともありますが、数時間から数日後にかゆみを伴う腫れが出ることがあります。また、毛虫に直接触れたつもりがなくても、風などで抜け落ちた毒針毛が皮膚に付着することで、強いかゆみや赤いブツブツなどの皮膚症状が出ることがあります。
そこで、注意したいのが、キャンプ場で木の枝や葉をむやみに触れること。木陰は過ごしやすいため、テントを設営する場所として選びたくなりますが、木の種類や周辺の状態を確認してから設営するようにしましょう。
もし、毛虫に触れた可能性があり、皮膚にかゆみや痛みを感じたら、こすらないことがポイントです。こすると毒を含む毛がさらに広がる可能性があります。症状が強い場合や広い範囲に発疹が出た場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
感染症を媒介する恐ろしいマダニ
最後に、秋のアウトドアで忘れてはいけないのがマダニです。マダニは森林や草むら、やぶなどに生息しており、人や動物が通りかかると衣服などに付着して吸血し、重症熱性血小板減少症候群などの感染症を媒介することもあります。キャンプでは、草の多い場所を歩いたり、地面に座ったりする機会が多いため、接触するリスクがあります。マダニのやっかいなところは、刺された直後に気づかないことがある点です。吸血すると皮膚にしっかりと食いつくため、帰宅後に入浴や着替えをした際に初めて発見するケースもあります。
対策としては、長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を減らすこと。ズボンの裾を靴下に入れるなど、マダニが衣服の内側に入り込みにくい服装にするのも有効です。また、もしマダニが皮膚に食いついているのを見つけても、無理に引き抜くのは避けましょう。口器の一部が皮膚に残ったり、マダニの体液が逆流したりする可能性があります。マダニに刺されてしまったら、万が一のことも考えて、医療機関に相談するのがおすすめです。
さて、今回は秋キャンプで気をつけたい危険な虫について解説してきましたが、基本的な対策はもちろん、マダニが迫ってきたり、毒を持つ毛虫の毛があるかもしれないなど、気づきづらい危険にも注意が必要です。「秋は涼しくなって、夏より危ない虫も減ったはず」と油断せずに、秋キャンプを楽しむようにしましょう。
昆虫ハンター・牧田習
博士(農学)。1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学し、2025年3月に同大学院博士課程を修了。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発見している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「趣味の園芸 やさいの時間 里山菜園 有機のチカラ」(NHK)、「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。
著書:「昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本」(小学館)、「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)、「春夏秋冬いつでも楽しめる昆虫探し」(PARCO出版)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my
文/牧田習
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