米5kgあたりの値段が3,000円を下回っている。2026年10月2日に農水省が発表したデータでは、9月21〜27日に全国約1,000店舗のスーパーで売れた米の平均価格は、5kgあたり税込2,926円だった。前年の同時期4,211円と比べると、1,285円安くなり、30.5%安くなった。
9月7〜13日の週に3,000円を下回ってから、3週続けての2,000円台となった。
新米が店頭に並んでいる今、安いうちにまとめて買うか、もう少し値下がりを待ってからにするか。
実際の数字を読み解きながら、米の買い方を見直す材料にしてもらいたい。
■スーパーでの販売数量・価格の推移

スーパーのレジで記録された販売データ(POSデータ)を集計したものなので、新米だけを取り出した価格ではなく、産出年や銘柄の異なる米が含まれている。新米なら、どの店でも5kgを3,000円以内で買えるという意味ではない。
銘柄米も値下がりし、5kgの平均価格は3,000円を下回った
農水省資料では、銘柄米とブレンド米等と分けて説明されており、下表のとおりの価格差となっている。
銘柄米も買いやすい価格になった。
銘柄米は「新潟県産コシヒカリ」など、特定の産地・品種を銘柄として販売する米で、ブレンド米は、産地・品種・産年などが異なる米を組み合わせたもの。味や粘りを調整し、食味を安定させたり、料理に合う食感を生み出したりする目的でもブレンドされる。
参考:https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/okome_summary/01/type03.html
政府の備蓄米も、ブレンド米の原料になることがあるので、備蓄米の放出は、ブレンド米等の価格を押し下げる要因になり得る。
実際に、内閣府の日本経済レポートでは、“2025年6月頃から、随意契約による政府備蓄米の売渡しの効果が表れ、ブレンド米等を中心に価格が顕著に下落した”と分析している。
■2025年度 日本経済レポート

2026年10月現在では、新米の出回りなどを背景に、スーパーでの販売数量も堅調だ。ただし、農水省が新米の出回りと結び付けて説明しているのは販売数量で、米全体の平均価格は今年1月以降、下落基調にある。秋の新米が出回る前から下がっており、値下がりの理由の全ての説明を新米で語ることは難しい。
その背景を読み解くため、次に民間在庫と今年の生産・需要の見通しを見ておこう。
民間在庫が増え、今年の生産量も需要を上回る見通し
農水省の基本指針では、2026年6月末の民間在庫は、玄米ベースの速報値で243万トン。前年の155万トンから88万トン増えている。この在庫量には、一定規模以上の事業者が持つ在庫に加え、生産者の在庫の推計も含まれている。
■2025年の“米騒動”の原因は、結局何だったのか?
農水省の白書では、生産量が需要量を下回っていたことを、米の価格高騰の主な要因として挙げている。155万トンという数字は、その前年の153万トンとともに、ここ10年で最も少ない水準だった。
2025年当時、“問屋(卸売業者)が在庫を抱え込み、値上がりを待っているのではないか”という見方も広がった。2025年の初めに、農協などの集荷業者に集まった米が前の年より約21万トン少ないと分かり、米はあるのにどこかで止まっていると、社会に受け止められたからだ。
米が不足した背景には、実際の需要が当初の見通しを上回ったことがある。下図のとおり、2024年7月〜2025年6月の需要実績は713万トンで、見通しの674万トンを39万トン上回った。
インバウンド需要や家庭の購入量が増えたことに加え、高温の影響で精米歩留まりも低下した。同じ量の白米を供給するために、より多くの玄米が必要になっていた。
在庫が減るにつれ、流通の現場では、米が足りなくなるという不安が強まり、集荷の競争が起きた。農協などの集荷業者への出荷は前年産より34万トン減った一方、生産者の直接販売などは48万8千トン増えていた(2025年6月の緊急調査)。米がどこかで止まっていたというより、そもそも足りていなかったことが、高騰の主な原因だったといえる。
しかし、流通業者の在庫を広く調べた調査は回答率が約2割にとどまった。このため、流通業者に国への在庫量などの定期的な報告を義務づける改正食糧法が、2026年7月に成立している(施行は公布から1年以内)。
尚、同省が9月2日に示した2026年産の主食用米等の生産量は、735万〜754万トンの見通しとなった。
■2026年7月〜2027年6月の需要量の見通し
2026年7月から2027年6月までの需要量は693万〜711万トンと見込まれており、生産量が需要量を上回る計算になった。
2027年6月末の民間在庫も、政府による21万トンの買い戻しを織り込んだうえで、246万〜283万トンになると見込まれている。2026年6月末よりもさらに在庫が増える見通しというわけだ。
作り手には厳しい価格でもある。簗農相は9月29日の会見で、生産コストを反映した価格形成が重要で、生産者と消費者の双方が受け入れられる水準に落ち着くことが大切だと、述べていた。
なお、この数字は、国全体の需給なので、特定の産地や銘柄が、どの店にも十分に並ぶとは言い切れないし、在庫の見通しは、今後の産地の気象状況や政策などによって変わる可能性もある。
結局、いつ買うのがよいか。この先、値下がりが続くとは言い切れない?
供給の余裕があるので、今買いだめするのは損なのだろうか。
直近の週次データでは、全体の平均価格は9月14〜20日の2,934円から、翌週には2,926円へ下がった。が、値下がり幅は8円で、その前週の37円より小さい。
先ほどの表で示したように、同じ週でも銘柄米は下がり、ブレンド米等は上がっている。つまり、全体の平均価格が下がっていても、いつも買っている米が同じように値下がりするとは限らない。
今後、確認したいのは、実際の収穫量と政府の備蓄米の買い戻しである。需給から考えれば、生産量が想定を下回ったり、政府が市場から買い入れる量が増えたりすれば、価格は下支えされていく。
ちなみに、米騒動のときは家庭の買い置きも需要を押し上げた。二人以上の世帯が買った米は、2024年7月〜25年6月の1年間で60.2kgと、前の年の57.2kgから増えた。この増分は、全国では、玄米で約11万トン分の需要増にあたる。農水省は、米不足への不安や消費者心理が影響した可能性を挙げていた。
9月18日には、2025年産米21万トンの買い戻しが全量成約(https://www.maff.go.jp/j/seisan/syoryu/kaiire/attach/pdf/index-92.pdf)した。この21万トンの買い戻しは、先ほど説明した在庫見通しに織り込み済みとなっている。この先、新たな買い戻しが決まった場合には、価格の底打ちや上昇に転じる局面もあるといえる。
したがって、これ以上価格が下がり続けるとはいいづらい。全国の需給の動向を参考にしつつも、見立て的には2026年10月・11月あたりが底値ではないか?との仮説を持っておき、安値だと感じたら1カ月分ほどは買いだめておくのが合理的だ。
買う量は1カ月ほどで食べ切れる分を目安にし、保存にも気を配りたい
同資料では、“精米して時間がたつほど味がおちるので、1か月くらいで食べきれる量を目安に”と述べている。安い日にまとめて買う場合、1か月で食べ切れるかを考えてから買うようにすると、いつでも美味しく食べられる。
また、保存は、低温で湿気が少なく、直射日光が当たらない場所に置くこと。意外に思うかもしれないが、冷蔵庫が理想的な保存場所とされている。庫内の乾燥にも配慮して、ペットボトルなどに入れる方法や野菜室での保存を案内してくれている。
食べる量と保存場所が決まれば、特売の大袋を買うか、新米を少量ずつ試してみるかも決めやすい。
@DIME読者の皆さんも、次の買い物の前に、米びつに残っている量と袋に表示された精米時期を確かめてみて欲しい。
実際に1カ月で食べる量を知ることが、値下がりの恩恵を無駄なく受けられる買い物の仕方だといえる。
文/久我吉史
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