東海道ルミエールエクスプレス
国内の交通網、観光業が抱える課題を解決するかもしれない。そんな可能性を秘めた列車が8月8日の夜に運転された。
東京を22時に出発したのは「東海道ルミエールエクスプレス」。終点の新大阪には9時間後の翌朝6時59分に到着する。
列車の運行背景には、働き方改革やインバウンドで表面化した社会問題がある。JR東海・新幹線鉄道事業本部 運輸営業部の小川陽久氏に聞いた。
「観光客増加による宿泊価格の高騰などから高まる東京・大阪間を夜間に移動する手段の需要に応えるべく、翌朝到着の新幹線を設定しました」
お盆休みの始まるタイミングで運転されたこの新幹線は、発売開始から2日で満席に。東京から大阪へ向けて現在運行される夜行は高速バスのみ。渋滞の心配なく翌朝新大阪に到着するのも、すぐに完売となった理由のひとつだろう。

今回は初の試みということで、実験的な要素が多く取り込まれた。
「座席の販売を窓側席のみにしました。また、夜行バスのニーズを参考に女性専用車両を多めに設定しました。結果、乗車された方の4割が女性となりました」
新幹線は騒音問題や保線作業時間の確保の観点から0時から6時の間は運転を行なわない。そのため、岐阜羽島で23時43分から朝6時16分まで停車する。
「就寝される想定の時間帯は駅で停車しているため、揺れがありません。この点がルミエールエクスプレスの優位性と感じています」
今回の運行が好評だったことからシルバーウイークの9月22日に第2弾の運行が決定。今度は新大阪を22時3分に出発し、東京に翌朝6時54分に到着するというスケジュールで運行される。
8月の運行では500人ほどが乗車したこの列車。夜行バスは多いもので定員50人ほど、東京都の各ホテルの平均部屋数が150室ほどなので、一度にこれだけの数を輸送できる夜の移動手段は観光立国を目指す日本に大きなインパクトを与える存在となるだろう。
DIMEの読み
長岡の花火大会の帰宅時に満員で最終の新幹線に乗車できなかった人たちが話題となった。来年は花火大会の日に途中駅で一夜を過ごす上越新幹線の車両が登場する可能性もありそうだ。
長時間停車する岐阜羽島駅では、アイスクリームの自動販売機に長い列が
提供:JR東海

岐阜羽島駅では深夜と朝に30分ずつ、ドアが開きホームや駅の喫煙所を開放。一般的な夜行列車の場合、夜通し車内に居続けなければならないので、それと比較すると開放感が。
窓側席のみの販売で、中には向かい合わせで会話を楽しむ人も
提供:JR東海

8月の運行では普通車、グリーン車ともに窓側のみを販売。9月の運行では普通車は3列席の通路側も販売する。どちらの運行でも隣の席に人がいないのはありがたい。
取材・文/渡辺雅史 編集/轡田緒早




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