ご当地店だと思っていた新興激安スーパーは、実は大手チェーンの新業態かもしれない。日本の小売業界で〝ステルス型ディスカウントストア(DS)〟の存在感が高まっている。いわゆる激安スーパーだが、大手チェーンがあえて屋号を下げて展開した点が新しい。なぜ屋号を隠すのか? 「既存店のイメージに縛られず、安さのための構造改革を徹底できるからです」と語るのは、大手チェーン・ベイシアの広報担当。同社は今年6月に1号店『劇安ワンダーランド ココトク! ふかや花園店』(埼玉県深谷市)を開店。「物価上昇の中で変化する買い物ニーズに対して、安さと体験価値を両立した新しい選択肢を提供したい」と続ける。
先駆者である『生鮮市場TOP!』は、〝料理好きが週1度は通いたくなるスーパー〟をうたう食の専門店。物価高に悩む国民が求める〝圧倒的な値頃感〟と〝妥協のない品質〟を両立させたことで、単店舗の売り上げを従来の約1.5倍へ急拡大。全体の売上高も約1.6倍の2000億円規模へ押し上げる原動力となった。この成功を支える専門部署の知見は、さらに価格特化を進めた『マミープラス』へと継承。来年以降も毎年10店舗前後のペースでの拡大を見据える。
ベイシア『ココトク!』のコア戦略は、〝構造として安い仕組み作り〟だ。商品数を約8500種に厳選し、飲料の冷蔵管理やポイントサービス、ラッピングまで未対応にすることで、既存店比1~2割安の構造的低価格を形作った。一方、ドン・キホーテを擁するPPIHは今年4月『ロビン・フッド』を開業し、〝非食品の利益還元〟で個性を放つ。小中学生のドンキ・プチデビューの場と位置付け、売場の約40%を利益率の高いコスメや雑貨で構成。その利益を低価格な食品価格へと還元している。タイパ重視のPBで共働き世帯を狙い、2035年までに300店舗を目指す考えだ。
大手の調達力、編集力、構造改革のどれが主導権を握るかが、今後の流通勢力図を大きく左右しそうだ。
生鮮市場TOP!

母体はマミーマート
仕入れのスケールで安さを追求
関東を中心に90店舗以上のスーパーを構える同社のスケールメリットを生かした、低価格と高鮮度な食材を提供。「お弁当・お惣菜大賞2026」で3品が全国1位を受賞するなど、高い惣菜開発力、輸入菓子の豊富な品揃えも人気の理由。

DATA
開業年/2019年 店舗数/42店舗(2026年8月13日現在) 展開エリア/埼玉、千葉、東京、群馬、栃木、茨城 品揃え/生鮮、惣菜、冷凍食品、PBなど
劇安ワンダーランド ココトク!ふかや花園店

母体はベイシア
〝構造として安い〟仕組みを構築
売り場や商品構成の見直し、ベイシアのポイントサービス未対応などで低価格化を加速。まとめ買いを意識した約8500商品が並ぶ。タコス専門コーナーの導入など、買い物を楽しませる体験価値にも注力する。

DATA
開業年/2026年 店舗数/1店舗(2026年7月末現在) 展開エリア/埼玉 品揃え/生鮮、惣菜、加工食品、冷凍食品など
驚楽(きょうらく)の殿堂 ロビン・フッド

母体はPPIH
コスメなどの利益を食品へ還元
傘下ユニーの生鮮調達力とドン・キホーテのトレンド嗅覚を融合。プチプラコスメや衣料品も取り扱う。手頃な価格帯の惣菜やPB食品に加え、「うどんバイキング」などエンタメ性を備えた売り場も特徴的。

DATA
開業年/2026年 店舗数/5店舗(2026年7月末現在) 展開エリア/愛知、岐阜、静岡、三重 品揃え/食品、日用品、家電、玩具、PBなど
取材・文・編集/渡辺和博




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