今年もiPhoneの最新モデルが発売された。例年は標準モデルを含む4モデルが発売されるのに対し、今年はiPhone 18 Pro/18 Pro Maxの2機種が9月発売、折りたたみモデルのiPhone Duoが10月発売と、イレギュラーなスケジュールになっている。
執筆時点で発売されているのが、Proモデルの2機種となる。今年は前モデルから見た目の変化がほぼない上に、販売価格が高騰していることもあり、機種変更をためらっている人もいるだろう。Apple Storeでの販売は終了しているが、新機種発売に合わせ、中古端末が市場に出回るであろう、昨年モデルの購入を視野に入れてもおかしくはない。
ここでは、筆者が1年間愛用してきたiPhone 17 Proと最新機種の比較を行なっていく。なお、前モデルはiPhone 17 Proなのに対し、レビュー機はiPhone 18 Pro Maxとなっているため、純粋な横並び比較ではない点はご容赦いただきたい。
最大の変化はメインカメラのアップデート

iPhone 18 Pro Maxにおける、前機種から最大のアップデートは、メインカメラの性能だろう。従来のProモデル同様に、広角、超広角、望遠の3眼構成となる。また、解像度はいずれも48MPとなっており、数字上はiPhone 17 Proシリーズと共通している。
最も顕著な違いは、可変絞りの採用だ。iPhone 18 Pro Maxにはメインカメラに物理的な絞りが搭載されており、f/1.48、f/1.8、f/1.28、f/4.0の4段階で切り替えができる。これにより、光芒を綺麗に撮影するなど、表現の幅が広がっているのが特徴だ。

絞り値は、被写体に合わせて自動設定されるが、効果的に使用するためには、手動で設定する方が賢明。自動設定のみで使っていると、変化がなかなかわかりにくいというのも事実だ。




手動で絞り値を設定すれば、確かに表現の幅は広がる。特に料理のような写真を撮影する場合、従来はピントが一部分にのみ合ってしまい、全体像がボケてしまうことがあったが、手元の設定でこれを解消できる。料理の写真をよく撮影する人には、確かに嬉しいアップデートかもしれない。
ただ、個人的に手元で試している感触としては、表現の幅が「多少」増えた程度だと感じている。本格的なカメラと違い、スマホカメラは構造上、そこまで大きなセンサーを搭載できないため、可変絞りの効果も現れにくく、f/1.48〜f/4.0の幅では、効果的だと思えるシーンが多くない印象だ。
ただし、ソフトウエア面でのアップデートにて、4段階の絞り値設定でも、よりはっきりとした違いを体感できるようになっていく可能性はある。可変絞りが採用されたのは、iPhoneシリーズでは初めてであることからも、これから洗練されていく期待をしたい。

また、絞り値を手動で設定する動作は、スマホカメラならではの、サクッといつでも写真を撮影したいというニーズには合わないように感じている。Proシリーズは、プロ機材として使われることも多く、可変絞りも、写真撮影にある程度造詣の深いユーザーが、しっかりと腰を据えて写真を撮影する際に活きるものだろう。筆者はレビューのためということもあり、設定を色々と触りながら試しているが、年単位でiPhone 18 Pro Maxを使用するユーザーが、どこまで頻繁に絞り値を設定するかという視点で見ると、若干疑わしいと感じてしまっている。
そのため、発売時点の価格で見ると4万円超、価格改定後で見ても2.5万円の値上げが行われている前機種と比べ、価格相応の違いを感じられる人は少ないだろう。SoC由来の処理能力に違いはあるが、ハードウエア的に、超広角、望遠カメラに進化が見られないことも、前機種比較という観点では不利に働く部分だ。ただし、数世代ぶりの機種変更であれば、しっかりと違いは感じられるだろう。
一方で、可変絞りの有無に関わらず、メインカメラの撮れ味にはかなり変化が見られる。非公表ではあるが、メインカメラはセンサー自体が変わっているのに加え、処理能力の向上によって、写真の解像感や、被写体の認識力は向上している印象だ。また、従来のiPhoneシリーズは、写真の仕上がりが暖色系に寄ることが多かったが、iPhone 18 Pro Maxは寒色系の表現が強くなり、今まで以上に自然な色味で撮影できる。ただし、数世代に渡って課題とされている、暗所でのゴーストは改善されていない。








個人的に気に入っているのは、「プロレベルのコントロール」と呼ばれる新デザイン。カメラアプリの上部に、ホワイトバランスや露出、絞り値といった細かな設定のショートカットがまとめて表示でき、手動で微調整ができるようになっている。

これも一般的なスマホカメラの使い方というよりは、ある程度カメラの知識がある人に向けた機能ではあるが、iPhoneのカメラでも色々な表現がしたいというニーズには応えられる要素。ただ、可変絞りの追加に合わせ、今回はよりプロニーズに振ったアップデートとなるため、どこまで親しまれるかが注目となる。
体感できるのは処理能力よりも冷却性能
SoCには、A20 Proが採用された。前モデルに搭載されているA19 Proから、順当な後継モデルと捉えていいだろう。今回は2ナノメートルテクノロジーにて設計されており、チップ全体の性能が底上げされている。


ベンチマークスコアを計測すれば、性能の向上ははっきりと表れる。これからより高度なAIをスマホ上で動かしていく時代と考えれば、歓迎すべきアップデートである。
一方で、現時点で性能の向上が体験できるコンテンツは、そこまで多くない。10月に日本語対応が予定されている、Siri AIの処理スピードに違いが現れる可能性はあるが、そもそもA19 Proでも十分な高性能であることからも、どこまで差が出てくるかは未知数だ。
今すぐに体感できる前モデルとの違いが、冷却性能だ。ベイパーチャンバーが3倍のサイズに大型化しているだけでなく、SoCと直接取り付けられていることで、排熱効率が改善されている。
そのため、ヘビーなゲームアプリなどを長時間プレイしていても、本体が全体的にほんのりと温かくなる程度に収まる。この「全体的に」温かくなることこそ、排熱機構がしっかりと活きている証拠だ。
A19 Proでも、快適にプレイできないアプリはほとんどないが、長時間続けていると、本体の発熱に伴い、動きが鈍くなったり、バッテリーの消耗が激しくなったりする。A20 Proを搭載するiPhone 18 Pro Maxでは、こうしたシーンも見られず、安定して長時間動作するのが特徴だ。
冷却性能に加え、バッテリーも大型化していることから、バッテリー持続時間も伸びている。前機種でのビデオ再生時間は、iPhone 17 Proが最大33時間、iPhone 17 Pro Maxが最大39時間だったのに対し、新モデルはiPhone 18 Proが最大36時間、iPhone 18 Pro Maxが最大45時間となっている。
筆者がiPhone 17 ProとiPhone 18 Pro Maxを使い比べているため、より顕著に違いを感じている部分はあるが、Pro Max同士で比べても、ビデオ再生6時間の差は大きいだろう。iPhone 17 Pro時点で、1日のうちに電池切れが心配になることはほぼなかったが、これだけバッテリー持続時間が改善されると、動画撮影などを頻繁に行う層にも心強い。
驚異的な技術でDynamic Islandを小型化
ディスプレイ側では、上部に搭載されるDynamic Islandが小型化された。見比べれば、確かに小さくなっていることが確認できる。これは、Face ID用の赤外線センサーをDynamic Island外の、ディスプレイ左上に埋め込むことで実現している。よく見れば、円形のセンサー部分が視認できるが、使っていて違和感はない。

Face IDの精度を損なわないよう、円形に切り抜かれているセンサー部分のディスプレイは、ピクセル密度をあえて低くし、センサーが透過しやすくなっている。ただ、見え方が変わらないよう、この部分だけ画面輝度を上げることで、違和感ない表示になっている。

これがDynamic Islandを小型化するための技術だとすれば、恐ろしい熱量である。ただ、将来的にインカメラを含む全てを埋め込み式にするための前段階だと解釈すれば、納得感もある。
ただ、いくら小型化されたとはいえ、Dynamic Island自体は相変わらず存在感が強い。ライブアクティビティを表示する機能は、ユニークで便利なのだが、動画視聴、ゲームプレイ時などには、どうしても邪魔に感じることが多い。
本体の重さはかなりストレス
iPhone 18 Pro Maxを使っていて、最もストレスに感じるのが、249g の重さだ。iPhone 17 Proと比べているため、質量差は43gと大きいためでもある。とはいえ、iPhone 17 Pro Maxが233gだったことを踏まえても、同じサイズで16gアップは相当な違いである。
サイズ的にも片手で操作をするのは苦しい端末だが、重さにより、長時間動画視聴を続けるといったシーンでは、手首の疲れを如実に感じる。冷却性能の向上により、長時間でも安定した動作ができるようになったことを鑑みても、質量の増加はもったいなさを感じる。
また、Proモデルよりも大きく、握った際に手からはみ出る部分が広いPro Maxでは、手首にかかるストレスが非常に大きいことも気になる。多様化するコンテンツをより楽しむため、次は大画面モデルに機種変更をしようと検討している人は、あらかじめ実機を触り、本当に重さに耐えられるのかを確認するべきだろう。
進化は「プロ向け」に振れた、買い替えは用途次第
iPhone 18 Pro Maxを使い込んで感じたのは、前モデルからの進化が「派手さはないが、確実に積み上がっている」ということだ。可変絞りやDynamic Islandの小型化といった話題性の高い変更はあるものの、日常使いでその恩恵を強く実感できるシーンは限られる。むしろ、冷却性能とバッテリーの改善のように、地味だが確実に体験を底上げする部分にこそ、今回の真価があるように思う。
カメラについては、可変絞りがiPhoneシリーズ初の試みとして注目に値する。料理など近接撮影では絞り込むことで被写界深度をコントロールでき、表現の幅は確かに広がる。ただ、F/1.48〜F/4.0という範囲では効果を実感できるシーンは多くなく、自動設定に任せるとデフォルトのF/1.8で撮影されるケースが大半だ。手動で設定を触る手間を考えれば、一般ユーザーが恩恵を受ける機会は限られるだろう。一方で、可変絞りの有無にかかわらず、メインカメラの撮れ味自体は着実に向上している。寒色寄りの自然な色味と解像感の改善は、前モデルと撮り比べればはっきりと分かる。
処理能力では、A20 Proの性能向上そのものよりも、3倍に大型化したベイパーチャンバーによる冷却性能の改善が体感しやすい。ヘビーなゲームを長時間プレイしても本体はほんのり温かくなる程度で、動きの鈍化やバッテリーの急減が起きにくい。ビデオ再生時間も最大45時間と、前モデルの39時間から6時間伸びており、動画撮影やゲームを長時間楽しむ人ほど、その差を強く感じるはずだ。
一方で、最大の不満は249gという重量だ。iPhone 17 Pro Maxから16g増えただけに見えても、実際に長時間使うと手首への負担は無視できない。大画面と引き換えの重さであり、購入前には必ず実機を手に取り、耐えられるかを確認してほしい。
iPhone 17 Proからの買い替えであれば、価格上昇も相まって、恩恵を明確に感じられる人は限られる。カメラの表現力や処理速度に強いこだわりがなければ、急いで乗り換える必要性は薄いだろう。一方で、iPhone 14や15など数世代前からの買い替えを検討している人、動画撮影やゲームをヘビーに楽しむ人にとっては、冷却性能とバッテリーの進化は大きな魅力となる。今回のアップデートは、間違いなく「プロ向け」に振れている。自分の用途と照らし合わせ、必要な機能にコストを払う価値があるかを見極めたい。なお、折りたたみのiPhone Duoの登場を待ってから判断するのも、今年ならではの選択肢だろう。
取材・文/佐藤文彦
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