ゴルゴ13は、なぜ数々の危機を切り抜け、生き残ってきたのか。その強さを支えるのは、卓越した技術だけではない。起こり得る危険を想定し、周囲の異変を察知し、最悪の事態に備えておく徹底した危機管理にある。大地震や噴火などの自然災害はもちろん、犯罪、あおり運転、熊との遭遇、SNSを巡るトラブルまで、現代の日常には予期せぬリスクが潜んでいる。必要なのは、危機に直面してから慌てるのではなく、その兆候を捉え、備え、状況に応じて判断する力だ。ゴルゴ13の思考と行動をヒントに、リアルとデジタルの両面から、今を生き抜くための「危機管理術」を身につけよう。
ゴルゴ13に学ぶ大災害サバイバルコミック

『ゴルゴ13 THE サバイバル 〜大地震、その時!〜』
原作/さいとう・たかを 作・画/深山雪男
1760円(小学館)
さいとう・プロ公認の『ゴルゴ13』スピンオフ第3弾。大災害や日常の危機に直面するゴルゴ13を完全描き下ろしで描き、その判断や対処法を解説。漫画を楽しみながら、防災・防犯の実践知識を身につけられる。本特集は同書の内容を参考に展開している。
南海トラフ地震、首都直下地震、富士山噴火
南海トラフ地震、首都直下地震、富士山噴火……。日本で現実味を増す3つの巨大災害は、発生すれば命だけでなく、仕事や通勤、通信、物流といった、私たちの日常や経済活動を大きく揺るがしてしまう。では、その時、私たちは何を知り、どう動くべきか。まずは3大自然災害の実像と、想定される影響を押さえておこう。
広域を一挙に襲う「超巨大地震」の脅威
南海トラフ地震
被害想定
死者数 29万8000人
被害総額 292兆2000億円
30年以内の発生確率 60〜90%程度以上
南海トラフ地震は、駿河湾から紀伊半島沖、四国沖、日向灘沖にかけてのプレート境界で発生する巨大地震だ。歴史上、おおむね100~200年程度の間隔で繰り返されてきたが、発生パターンは一様ではない。震源域のほぼ全体が一度に動くこともあれば、東側と西側で時間を置いて大地震が続くこともある。政府が想定する最大クラスでは、静岡県から宮崎県にかけての一部で震度7、地域によっては20mを超える津波が想定される。厄介なのは、被害が太平洋沿岸の広範囲に及ぶこと。道路や鉄道、港湾、工場などが同時に被災すれば、救助や物資輸送、復旧が難航し、その影響は被災地だけでは収まらない。時間差で別の大地震が続く可能性も想定し、日頃から備えておきたい。
最大震度7の揺れが広域に!

政府が想定する最大クラスの地震では、静岡県から宮崎県にかけての一部で震度7が想定される。周辺の広い地域でも、震度6弱~6強の強い揺れが襲う。
発生したらどうなる?
会社・仕事
太平洋沿岸の工場・港湾・取引先が広域で被害を受ける。被災地外の企業でも、生産・営業・調達活動が長期間にわたって止まる。
通勤・移動
新幹線・鉄道・高速道路・空港・港湾が広域で寸断される。出張・通勤・配送に支障が出て、人やモノの移動が長期間滞る。
スマホ・通信
広域にわたって停電や基地局の被災が長期化。家族や友人との連絡に加え、支社・取引先との業務上の通信確保も困難になる。
物流・買い物
港湾・道路・工場の停止が同時多発的に発生する。部品・原材料・燃料・食品などが全国規模で不足する可能性がある。

巨大都市の機能を麻痺させる直下地震
首都直下地震
被害想定
死者数 1万8000人
被害総額 83兆円
30年以内の発生確率 70%程度
首都直下地震は、南関東地域の直下で発生するM7クラスの地震だ。国の被害想定では、代表的なケースの「都心南部直下地震」で最大震度7に達し、建物倒壊に加え、木造住宅密集地域では同時多発する火災や延焼も大きな脅威となる。一方、現代の首都圏ならではのリスクも。建物やインフラの耐震化が進む半面、電力、通信、交通などへの依存度は高まる。停電や通信障害が重なれば、建物の被害が少なくても、鉄道や物流、企業活動、生活サービスが広範囲で停滞する可能性がある。「建物が無事なら大丈夫」とは限らないのが、巨大都市を直撃する地震の怖さなのだ。
一部で震度7、広域で強い揺れ

都心南部直下地震では都心・東京湾岸などで震度6強以上が想定され、一部では震度7、1都4県の広い範囲で震度6弱以上となる。
発生したらどうなる?
会社・仕事
オフィス被災や停電、出社困難で、首都圏の業務や意思決定が止まる可能性あり。
通勤・移動
鉄道や道路が一斉に止まり、大量の帰宅困難者が発生。
スマホ・通信
通信集中と停電で電話やネットがつながりにくくなり、安否確認や業務連絡が混乱。
物流・買い物
都市部への配送が滞り、コンビニやスーパーで商品が急速に品薄になることも。

首都圏に及ぶ広域降灰のリスク
富士山噴火
被害想定
条件によっては噴火から3時間で首都圏に灰が到達
約4.9億立方メートルの灰処理が必要
富士山は、1707年の宝永噴火から300年以上噴火していない活火山。古文書などの歴史資料では、781年以降に10回の噴火が確認されている。将来再び噴火する可能性はあるが、地震のように「30年以内に○%」といった発生確率は公表されておらず、いつ噴火するかを正確に予測することは難しい。山麓では溶岩流や火砕流、大きな噴石が脅威となる一方、首都圏で警戒したいのは広域降灰だ。風向きなどの条件によっては、火山灰は東京や千葉方面まで達し、鉄道、道路、航空、電力、通信、物流に連鎖的な影響を及ぼす。富士山噴火は、山の近くだけの災害ではないのだ。

宝永噴火級の大規模噴火を想定した降灰シミュレーション。風向きなどの条件によっては、火山灰が首都圏まで広がり、交通、電力、通信、物流など都市機能に影響を及ぼす。
発生したらどうなる?
会社・仕事
降灰による交通停止や設備障害で、首都圏の業務が数日以上停滞する可能性あり。
通勤・移動
鉄道・道路・空港が降灰の影響を受け、移動手段が段階的に失われる。
スマホ・通信
降灰による停電や設備障害で、通信障害が長引く可能性が考えられる。
物流・買い物
車両や航空便、物流拠点が降灰の影響を受け、宅配や商品供給が停滞。

取材・文/佐々木正孝(キッズファクトリー) 作・画/深山雪男 編集/原口りう子
©さいとう・たかを さいとう・プロ 2026 ©深山雪男 2026
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大地震や噴火などの自然災害はもちろん、犯罪、あおり運転、熊との遭遇、SNSを巡るトラブルまで、現代の日常には予期せぬリスクが潜んでいる。必要なのは、危機に直面してから慌てるのではなく、その兆候を捉え、備え、状況に応じて判断する力だ。
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