相次ぐ地震に激甚化する風水害、さらには大規模な林野火災など、近年は「避難」が必要となる自然災害が全国各地で多数発生している。
こうした中、いざという時の避難行動への「備え」に自信がある人はいったい、どれくらいいるのだろうか?
日本赤十字社はこのほど、全国に居住する男女1440人を対象に「災害時の避難に関する意識・実態調査」を実施し、その結果を発表した。
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1.避難行動をとったことがない人が72%以上、避難所への避難経験は10%未満に留まる
災害を理由とした避難行動の経験について聞いたところ、「避難経験はない」人が全体の72.3%を占める結果となった。また、これまでに何らかの避難行動をとったことがある人の中でも、「避難所へ避難した」経験がある人は、全体のわずか8.5%に留まっている。
多くの人が実際の避難経験を持たないことから、平時から避難の流れや避難先など、災害時の避難について具体的にイメージできるよう備えておくことの重要性がうかがえる。
2. 半数以上が避難行動に「自信がない」、女性は男性より20ポイント以上高い結果に
災害時に自ら必要な情報を収集し、避難行動をとることができると思うか尋ねたところ、「あまり自信がない」「できないと思う」と答えた人が53.2%と半数以上を占める結果となった。
性別で見ると、「自信がない・できない」と回答した男性は43.2%だったのに対し、女性は63.4%にのぼり、20ポイント以上高い結果となっており、女性の方が男性よりも避難行動について自信を持てていない現状が明らかになった。
3. 避難判断で重視されるのは「公的機関からの情報」
災害時において信頼する情報源について、「地方自治体」と回答した人が最も多く、避難を判断する際に重視するものとしては「避難指示の発令状況」が最多となった。そのほか、「国の機関」を信頼するという回答や、「気象警報や津波・火山・地震に関する特別警報などの発表状況」を重視するという回答も上位にあがっており、災害時や避難時には、公的機関による情報を重視する人が半数近くにのぼる結果となった。
公的機関から発信される正確な情報が、避難行動を支える重要な判断材料となっていることがうかがえる。
4.「避難指示が出たら避難する」が最多、一方で”避難のタイミングが分からない”ことが最大の壁に
避難を開始するタイミングについて、「気象庁や自治体など、公的機関が避難を呼びかけたとき」と回答した人が最多となった一方で、避難をためらう理由として「避難のタイミングが分からない」と回答する人が最多となった。避難の呼びかけがあれば行動しようという意識はあるものの、実際にはその適切なタイミングを判断できず、避難をためらってしまう実態がうかがえる。
また、「今いる場所を離れることへの不安」や「避難先の環境に対する不安」、「避難中の移動環境への不安」も上位にあがっており、避難の意思決定だけでなく、避難中・避難先での環境に対する不安も、避難をためらわせる要因となっていることが明らかになった。
加えて、「要配慮者が家族にいる」、「自身に障がいがある」という声や、「プライバシーや、衛生環境、防犯面が気になる」などを理由に避難をためらう声もあがっており、避難情報の見方や避難開始の目安を平時から理解しておくだけでなく、さまざまな立場や事情を抱える人が安心して避難生活を送ることができるように配慮された避難環境の整備が重要であることが示唆される。
5.避難所に「安心できる」と感じる人は4人に1人未満
避難所に関するイメージを聞いたところ、「安心できる」と回答した人はすべての項目で4分の1に満たない結果となった。中でも「居住性・快適性」に安心を感じる人が最も少ない結果となっている。また、すべての項目において「やや不安である」もしくは「非常に不安である」と回答した割合の合計は、女性が男性よりも10ポイント以上高い結果となった。
避難所生活においては、衛生環境や設備といった物理的な課題だけでなく、共同生活による心理的負担も、避難をためらわせる大きな要因となっている実態がうかがえる。
6. 水・食料より「プライバシー確保」のニーズが高く、デジタルインフラを重要視する声も
避難所で特に重要だと思うものについては、「トイレ・入浴環境の提供」が1位に。次いで、「プライバシー確保」が2位となり、「水・食料の提供」を上回った。
現在行っている避難準備としては、飲料水や非常食の備蓄、ハザードマップの確認が上位にランクインしている。なお、全体では「モバイルバッテリー」が7位となったのに対し、10代の回答においては、「ハザードマップの確認」「避難先の確認」に次いで3番目に多く、飲料水や非常食の備蓄を上回る結果となった。
こうした結果から、避難所では物資の確保だけでなくプライバシーへの配慮が求められているほか、特に若年層においては、災害時でも外部とのつながりを維持できる情報インフラの整備などに一定のニーズがあることがうかがえる。
<調査概要>
調査名 災害時の避難に関する意識・実態調査
調査対象 全国に居住する男女1440人 ※10~60代以上の男女各720人
調査方法 ネットリサーチ
調査機関 株式会社ネオマーケティング(調査委託)
調査期間 2026年7月
※本調査は「令和8年熊本地震」の発生前に実施したものであり、今回の地震を受けた回答ではない。
出典元:2026年日本赤十字社調べ
構成/こじへい
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