■連載/阿部純子のトレンド探検隊
山梨県笛吹市に本社を置く「モンデ酒造」は、北杜市モンデファームなど4カ所の自社圃場を持ち、ぶどう栽培から醸造まで一貫してワイン造りを行っている。2008年には国内に先駆けてボトル缶ワインを発売。2011年にはワイナリー初の缶・ビン併用の充填ラインを導入した。
同社は現在、国内初となる「缶内二次発酵」技術を採用したボトル缶スパークリングワインを開発中で、2027年1月の発売予定の新製品に先駆け、メディア向けの試飲会が行われた。(※下記画像はテスト製品の暫定的なパッケージ)
飲むタイミングで熟成度が変化し、好みの味を選べる
「缶内二次発酵」とは、缶の保存性や密閉性といった特性を活かして、独自の製造プロセスを確立させた技術。約30日で、一般的な瓶内二次発酵の約100日分に相当する熟成を実現する。モンデ酒造株式会社 製造部 部長、醸造責任者の水上 東氏に製品の特長について解説してもらった。
「ワイン市場の停滞と品質志向の高まりを受け、缶ワインの安価なイメージを払拭する本格スパークリングの開発に挑戦することになりました。原料には山梨県の自社畑で育ったぶどうのみを使用し、缶内二次発酵技術により、瓶に負けない品質と手に取りやすい価格を両立させました。
瓶と比べて3.3倍の加速熟成、クリーンな澱(おり)、飲み手が熟成段階を選択できるという3点が、新製品の大きなポイントになります。
シャンパーニュやスパークリングワインは半年から1年半の熟成期間がありますが、我々は独自の技術によって、熟成が早い段階から飲める缶内二次発酵技術のスパークリングワインを造ることに成功しました。
缶の特性を活かしたクリーンな二次発酵を行うことで、雑味の原因となるオフフレーバー(欠陥臭)の発生を抑制し、澱までもおいしいスパークリングワインを実現しています。
従来のスパークリングワインは熟成が完成したら出荷しますが、新製品では我々作り手が今まで味わっていた発酵が終わってすぐの段階、40~50日後、そこから熟成段階に入る半年後、そういった各ステージにおいてワインを楽しむことができる、熟成段階の選択が大きな特長となっています」(水上氏)
瓶内で二次発酵させるスパークリングワインの「トラディショナル方式」では、ベースワイン(一次発酵)の醸造、瓶詰をして二次発酵、澱抜き、貯蔵して熟成といった過程を経るが、
新製品は二次発酵の段階でキャッピングを行い提供する。
また、同社の既存のスパークリング缶ワインは、冷却したワインへガス注入する炭酸飲料の製法に近い方法だったが、新製品は新技術である缶内での二次発酵により、泡のきめ細かさや酵母由来の旨味、本格感が向上している。
【AJの読み】濁りのある「澱も混ぜた」状態も味わい深い
飲み手が好みに応じて熟成を選べることや、注ぎ始め、中間、底の部分とひとつの缶で3つの味わいも楽しめるのが新製品の魅力。
テスト製品は270mlの飲みきりサイズで、アルコール度数は12度。注ぎ始め(ファースト)は泡を楽しめる部分で、ガス圧は3.3~3.6と発泡感は十分。中間(セカンド)は果実味や発酵感が感じられる部分、底に近いところ(サード)は酵母由来の旨味を感じる層になっていて、飲み比べてみると違いを感じる。段階ごとにグラスに注いて味わうと新製品の特長がより楽しめる。
(※下記画像は左から、ファースト、セカンド、サード)
また、缶を振って全体を混ぜてから注ぐと少し白濁した状態になり、発砲を感じながらもコクや果実感のある、瓶のスパークリングとは異なる味わいも楽しめる。澱由来の濁りは従来ネガティブとされがちだが、缶内二次発酵技術による「クリーンな澱」は旨味やコクを生み出す。
充填後1ヶ月でクリーンかつ果実を感じるステージ、その後半年でコクが出る熟成ステージへ変わるなど、熟成の期間によって味の変化も楽しめるので、複数購入して家庭内で熟成して飲む比べするのも面白い。1本でも、時期を分けても味わいが変化する、多様な楽しみ方を提供するスパークリング缶ワインとなっている。
発売は2027年1月の予定(価格、販売チャネルについては未定)だが発売に先駆け、「缶内二次醗酵ワイン」を先行体験できるテスト販売イベントが東京ミッドタウン日比谷3F「HIBIYA CENTRAL MARKET/一角」にて開催される。
2026年10月10日(土)~12日(月)の期間限定で、約400本限定販売、価格は990円(グラス提供)。いち早く「缶内二次醗酵スパークリングワイン」を確かめたいという人はぜひ。
取材・文/阿部純子




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