自然災害への不安や保険に対する意識は、この5年間でどのように変化したのだろうか?
ジェイアイ傷害火災保険はこのほど、全国の20代~60代の各年代200名・合計1000名を対象に「災害不安」に関するアンケート調査を実施し、その結果を2022年から2026年までの調査結果の比較とともに公開した。
災害に対する不安について(設問Q1)
災害に対する不安の度合いについて調べたところ、「とても」「やや」を合算すると、64.4%が災害に不安を感じていることがわかった。
2022年から2026年7月までは災害を不安に感じる人の割合が50%後半から60%前後で推移していたが、2026年8月に取得したアンケート結果では、これまでで最も高い数値となった。
背景には、2026年7月から8月にかけて発生した令和8年熊本地震や千葉県での豪雨等の自然災害の影響があるものと考えられる。実際、災害発生前の7月調査では56.6%だった不安割合が、発生後の8月には64.4%へと約8ポイント上昇しており、災害の多発が人々の不安に影響を与えたことがうかがえる。
不安に思う災害について(設問Q2)
不安に思う災害について尋ねたところ、「地震」(86.3%)が最多となり、以下「風災」(45.8%)、「水災」(40.1%)と続いた。
注目すべきは、地震と水災で不安の動き方が対照的だった点だ。地震は毎年80%台後半で高止まりし、熊本地震後の8月でも86.3%と大きな変化はなかった。これは、もともと不安が飽和状態にあるためと考えられる。一方、水災は2026年7月の調査で32.7%まで低下していたが、千葉県での豪雨を経た2026年8月の調査では40.1%へと急上昇した。
今回の調査では、地震や水災の発生時期とアンケート実施時期が近接していたことが、これらの災害に対する不安割合の変化に影響した可能性が考えられる。 このことから、災害の発生からアンケート実施までの時間的な近さが、当該災害への不安割合に反映されやすい傾向が読み取れる。
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災害によって失うことに不安を感じるものについて(設問Q3)
災害によって失うことに不安を感じるものについて尋ねたところ、1位「自身の生命や健康」に続き、僅差で2位「家・家財・車などの財産」、3位「家族・知人の生命や健康」となり、昨年から順位に動きはなかった。
生命・健康と並んで”財産”を失う不安がほぼ同水準で高い結果となり、住まいや家財、車などの財産に対する不安を挙げた人が同程度の割合にのぼった。このことから住まいや家財、車などの財産に対する備えへの関心がうかがえる。
既に行っている防災の取り組み・今後行いたい防災の取り組みについて(設問Q4)
「既に行っている防災の取り組み」と「今後行いたい防災の取り組み」について質問したところ、最も多かったのはいずれも「非常用食料や飲料水などの備蓄」となった。
「既に行っている防災の取り組み」ではスマートフォン設定や家庭・職場での話し合いが、「今後行いたい防災の取り組み」では貴重品や生活必需品などの非常持ち出し品の準備やスマートフォン設定が上位に入った。
自然災害はいつどこで発生するか予測できないため、万が一に備えて普段から積極的に取り組んでおくことが大切だ。
災害に関して入手したい情報について(設問Q5)
災害前に入手したい情報は「備蓄量の目安」(27.0%)が1位となった。5年間の推移をみると、当初は「災害危険箇所や被害想定を示した地図(ハザードマップなど)」が最多だったが、2024年以降「備蓄量の目安」が「ハザードマップ」を上回るようになり、2026年8月には2022年から開始した調査の中で過去最高水準となった。
もっとも、逆転後は「災害危険箇所や被害想定を示した地図(ハザードマップなど)」も「備蓄量の目安」と同様に上昇しており、両者はともに関心が高まっている。災害に関して求められる情報が、「ハザードマップ」など”危険を知る”ための情報から、「備蓄量の目安」など”具体的な備え”に関する情報へと移りつつあることがうかがえる。
災害時に入手したい情報では、「安否確認方法」(26.5%)が1位となっていた。災害用伝言ダイヤル(171)・災害用伝言板(web171)、LINEの「安否確認」機能や「Yahoo!防災速報」といったサービス・アプリがあるので、平時のうちに家族でどれを使うか相談しておくことをおすすめする。
防災の実施状況について(設問Q6)
防災の実施状況について尋ねたところ、「全く」「あまり」を合わせ「取り組めていない」と回答した人が76.2%となった。自身の防災の取り組みが十分に進んでいないと感じている回答者が全体的に多く、取組状況に対する自己評価は低い傾向がうかがえる。また、過去5年間での推移でも76%~80%で推移しており、取り組み状況に対する自己評価が低い状況は過去から継続している。
さらに、Q1の5年間の推移と照らし合わせると、2026年8月では災害に対する不安が上昇しているにもかかわらず、防災への取り組み状況には大きな変化がないため、災害に対する不安が防災への取り組みにはつながっていないことがわかる。
防災について取り組みが難しい点について(設問Q7)
防災について取り組みが難しい点として最も多かったのは「災害がいつ来るかわからないので、緊張感を保てない」(29.9%)で、次いで「費用がかかる」(28.0%)となった。
「緊張感を保てない」と回答した割合は、2022年の37.1%から2025年にかけて減少傾向にあったが、2026年の調査では再び増加に転じた。2025年まで減少傾向にあった要因としては、自然災害が多発している状況で災害を身近に感じるようになった可能性が考えられる。
建物や家財を補償する保険への加入状況について(設問Q8)
建物や家財を補償する保険への加入状況について調べたところ、何らかの保険に加入されている人が64.7%という結果となった。内訳では「地震保険と火災保険の両方に加入している」と回答した人が28.6%で最も多く、次いで「火災保険のみ加入」と回答した人が21.8%となっていた。
Q2との照合では、地震保険で補償される地震・津波を不安に思う人でも、「地震」「津波」を原因とする損害を補償する保険に加入されている人は3割程度にとどまる結果となった。
さらに5年間の推移をみると、地震を不安に思う人の未加入割合はむしろ増加傾向にある。地震への不安が高止まりする一方、地震を不安に思う人の保険の加入割合が増加していない状況がみられる。
建物や家財を補償する保険に対する不安について(設問Q9)
建物や家財を補償する保険に対する不安について聞いたところ、「特に不安はない」との回答が33.4%となり、残る66.6%(複数回答)が、保険に対して何らかの不安を感じていることがわかった。
Q8の結果と照らし合わせると、建物や家財を補償する何らかの保険に加入されている人が、補償内容や保険金に関して不安を感じていた。
また、5年間の推移を見ると、保険に対する不安として挙げられた項目は軒並み回答割合が減少している一方、「保険料(掛け金)が高額化している」のみ、回答割合が増加している。2024年以降に各保険会社で実施された保険料率の改定により、保険料負担が増していることが影響している可能性が考えられる。
なお、2024年以降の火災保険の保険料率改定では、水災の料率が従来の全国一律から、市区町村ごとの水災リスクに応じて5段階に細分化された。これにより、水災リスクが高いとされる地域では保険料が上昇する場合があり、こうした改定も「保険料の高額化」に対する不安が高まった一因となっている可能性が考えられる。
地震に関する保険について知っている内容について(設問Q10)
地震に関する保険について知っている内容について聞いたところ、「特に知っている内容はない」が最も高く、57.5%を占めていた。
Q8 の結果と照らし合わせると、何らかの保険に加入している人でも、火災保険では地震リスクが補償されないことを知っている人は高くても30%程度にとどまっている。
災害への不安が高まるなか、保険加入者においても地震保険への理解が必ずしも十分とはいえない実態が明らかとなった。適切な備えにつなげるためには、地震保険の役割や補償範囲に関する情報発信の充実が求められる。
<調査概要>
サンプル数:1,000名
対象:20代~60代 各200名を以下の全国10地域において人口比で設定
北海道、東北、北関東・甲信、南関東、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄
方法:インターネット調査
期間: 2026年7月15日~7月16日、2026年8月25日~8月26日
設問:10問(上位表示の項目に回答が偏らないよう質問時に項目をランダムに表示)
構成/こじへい
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