2011年3月11日の東日本大震災では路上に帰宅困難者があふれ、今年8月の千葉豪雨や9月の愛知豪雨では道路が冠水し、床上・床下浸水や車両水没の被害なども多く見られた。
地震や台風、大雨・洪水など、いつ何時、災害に巻き込まれるか分からない。日頃から防災意識を持ち、備えることが重要になってくる。
文具のキングジムが手掛ける「特別感のない」防災ブランド
オフィスのファイル用品や電子文具「テプラ」、家庭用の文房具などで有名なキングジムだが、実は、「KOKOBO(ココボ)」という防災ブランドを立ち上げ、防災アイテムも製造販売している。
例えば、災害対策セットシリーズは、A4またはA5ファイルサイズのコンパクトなパッケージに必要なものが入っており、職場のデスクの引き出しやロッカーなどに分散備蓄できる備蓄セット。
日頃から持ち歩くための0次防災ポーチ「災害常備ポーチ」など、必要なシーンに応じてセレクトできるアイテムが揃う。
避難所での寒さと睡眠不足を解消|機能性と快適性を追求した革新的な防災ギアの実力
そんなキングジムの「KOKOBO」から9月18日にリニューアル発売となった防災グッズが、『着る布団&エアーマット』だ。その名の通り、着たまま動いたり寝たりすることができる“人型形状の寝袋”だ。
今回、「着る布団&エアーマット」を手掛けるキングジムの開発本部・防災課チームリーダーの柘植史織さんに、キングジムの防災用品や同商品の特徴を聞いた。
“特別感のない防災”をコンセプトにした「KOKOBO」
キングジムが防災用品を初めて販売したのは、東日本大震災よりも前の2008年のこと。
柘植さんによると、2007年に既存の販売ルートを活用した新しい取り組みを模索する中で、当時すでに関心が高まっていた防災用品に着目。
キングジムがこれまで担ってきた「オフィスの課題解決」と掛け合わせ、オフィスに常備できる防災用品の商品化に至った。
また、ペーパーレス化でキャビネット内のファイルが減ってきていたことから、「その空いたスペースに何か置けないか」という視点もあったという。
防災用品は18年前から販売していたが、防災ブランド「KOKOBO」が誕生したのは昨年2025年の8月。防災士の資格を持つ柘植さんがリーダーとなって立ち上げた。
「コンセプトは『特別感のない防災』です。私が担当して名前もつけました。『ここに防災、心に防災』というキャッチコピーには、『防災をもっと身近に感じてほしい』という思いを込めています。
『ここにぴったり』という収納性、『個々が使える』というデザイン性、『ここぞのシーンで役立つ』という機能性。
この3つの『ここ』と防災の『ぼ』を組み合わせ、柔らかい雰囲気の名前にしました。
ローマ字の『O』が3つ並ぶ見た目も丸みがあって、“防災用品らしさを前面に出し過ぎないデザイン”にしています。
近年、災害が相次ぎ被害も深刻化する中、これまで個別に展開していた地震対策用品や各種災害対策セットをひとつにまとめ、より分かりやすく発信していくためにブランド化しました」(キングジム柘植さん)
2014年の話題作が復活!「令和の防災」視点を取り入れてアップデートした『着る布団&エアーマット』
今回登場した「着る布団&エアーマット」は、実は2014年9月にも一度販売された。当時は“人型の寝袋”というインパクトのある見た目で、「寝ていてもすぐに起き上がって逃げられる」という点が話題になった。
すでに販売終了となったが、消費者からの問い合わせは続いていたという。
柘植さんは「お客さまからのお問い合わせが多く、前回の発売から時間が経った今、『令和の防災』という新たな視点を取り入れ、アップデートして再発売することになりました」と明かす。
地震や洪水、山火事や氷河の崩落など、10年前よりも異常事態が頻発している現在。「令和の防災」という「今」の視点を取り入れた「着る布団&エアーマット」の特長を、柘植さんが紹介してくれた。
「“人型寝袋”である点以外は、ほとんどアップデートしました。以前は着るだけでしたが、今回は着用したまま歩きやすく作業がしやすいよう、ファスナーを胴体と足元にそれぞれ配置しました。
足元だけ解放すればお手洗いの際も全部脱がずに済みます。また、胴体と足元のファスナーを全開にしてお魚を開いたように広げると、1枚の掛け布団のように使えます」(同)
ボックスの中には、収納袋に入った着る布団と、エアーマット、エアーマットを膨らませるポンプが入っている。
着る布団は収納袋の中に収納されていて、持ち運びにも便利だ。
『着る布団』のサイズは、首元から足先まで約155cm。身幅は約65cm、袖丈は約31cmだ。脚部最大幅は約95cm、股下は約20cm。使用推奨身長は約150~175cmだが、最大約180cmまで対応している。
身長155.5cmの筆者も実際に試着させてもらったが、ゆったりサイズですっぽり入る。袖口や裾がゴム付きで調整しやすいため、筆者のように背が低めの人でも動きづらいこともない。
地べたにそのままごろんと寝転がっても、着る布団のおかげでゴツゴツした感じや痛みなどは感じづらい。
素材はポリエステル100%で、触り心地も柔らかくなめらか。着心地は軽いのに温かく、着ている間にじんわり汗もかいてきた。
股下は浅く設計されているので、これだけゆとりがあればスカートをはいていても動きやすい。
また柘植さんの説明にあったように胴体と足元にファスナーがあるため、足元のファスナーを外すと裾をたくし上げることができ、お手洗いの際も全部脱がなくて済む。
手元には反射板テープがついており、懐中電灯や車のライトなどに反応するため暗闇でも見つけやすい。
避難所でのプライバシー保護や防犯対策も! 防災士の社員が考案したこだわり機能
また災害時の避難所における性被害も問題になっていることから、防犯面にも配慮。
『着る布団』には性差を感じさせにくいダークグレーを採用した。以前のものは青色だったが、今回は性別を問わず使いやすい色味に変更している。
フードも深めに作ってあり、寝転がっても顔回りがほどよく覆われるため、避難所での就寝時の安心感が得られる。顔近くにはホイッスルを備えており、万が一の際にはすぐに助けを呼ぶことができる。
フードは取り外しもできるので、その時々のシーンに合わせられるのも便利だ。
こうした機能は、柘植さんを始め防災士の資格を所有するキングジムの社員のアイデアによるものだ。またファスナーを全て外して広げると、1枚の掛布団としても使用可能だ。
この着る布団だけでも十分にクッション性があるが、付属のエアーマットを使うと、さらに快適に休むことができる。ポンプもついているのですぐに空気を入れることができる。
エアーマットの端を少し丸めることで高さを出せるので、枕代わりにもなる。
この一式がA4ファイルサイズのボックスにまとまっているので、オフィスの引き出しやロッカー、自宅の棚などにコンパクトに保管しておけるのは魅力的だ。
東京都の帰宅困難者対策条例などでは、「発災後72時間は安全な場所(会社等)にとどまること」が推奨されている。
「『災害備蓄セット』や『着る布団&エアーマット』などは、“災害時に会社にとどまる際”に使っていただくイメージです
備蓄倉庫が潰れた時など備蓄品を『取りに行けないリスク』を減らすため、各自のオフィスやデスクの引き出しなどに1人1箱配る『分散備蓄』にも適しています。
企業では社員用としてまとまった数量で導入いただくことが多いですが、もちろん個人でも1個単位で購入できます」(同)
突然の地震や大雨でオフィスから帰れないかもしれない。そんな時でも、キングジムの防災用品や『着る布団&エアーマット』をデスクに常備しておけば、ビジネスシーンの緊急事態に対応できる。
またA4ファイルサイズなので自宅のデスクや、家族それぞれの部屋などにセットしておけば、いざという時にも備えられる。異常気象や災害が多い現代だからこそ、改めて備えを見直してみるといいかもしれない。
取材・文/コティマム
防災の盲点!震災時の〝電気火災〟のリスクと予防策を有識者が解説
9月は防災月間。日頃の備えを見直したい時期だ。そこで盲点になりがちなのが、電気製品などが原因の 〝電気火災〟 である。 調査によると、防災意識の高い人であっても…




DIME MAGAZINE




































