物価の高騰、データ通信量の増加といった情勢を受け、ドコモは12月1日より「ahamo」の料金改定、および小容量の新プラン「ドコモ mini2」を提供開始する。
単純に料金が上がるだけではなく、値上げを行ってもバリューを損なわないよう、料金プランとしての建て付け自体が大幅に変更される。ここでは、新料金の詳細についてチェックしていこう。
段階性プランへと変化したahamo
主に若年層、単身者向けの料金プランとして、シンプルな構造にこだわっていたahamoは、12月1日より段階性になる。新プランではなく、リニューアルという形であり、既存プランも自動的にリニューアル後の料金設定に移行する。
段階性のプランは、シンプルさからはやや離れた格好となるが、NTTドコモ代表取締役副社長の齋藤武氏は、割引オプションをつけないことで、シンプルさは維持していると説明をしている。
従来は30GB(現在はキャンペーンで40GB)/2970円だった月額料金は、40GB以下が3135円、40GB超60GB以下が4125円、60GB超120GB以下が5115円となる。
上限が120GBとなったことで、これまで用意されていた4950円/110GBの大盛りオプションも提供終了予定。ポイ活オプションは、60GB超120GB以下の月額料金に、ポイ活オプションの月額料金(2200円)を加えた料金で利用できる。
ベース料金が値上げされていることに間違いはないが、値上げ幅は165円と控えめ。あらゆる物価が高騰している情勢を踏まえれば、多少の値上げは仕方ないとも捕らえられるだろう。また、現在はキャンペーンで40GBが利用できるが、本来30GB/2970円だったことを踏まえて考えると、割高感は薄い。ahamoの強みである、海外ローミングのデータ通信量においては、40GBへと増量されているのも見所だ。
段階性プランには、使いすぎて1段階上の料金になってしまう懸念が付き物だが、ahamoでは予めユーザー自身で上限を設定できるようになる。なお、従来、大盛りオプションなどを利用しておらず、素のahamoを利用していたユーザーは、料金改定後にはデフォルトで上限40GBの設定がなされるとのこと。40GBに設定しておけば、最初のステップである3135円を超えることはないため、安心して利用できるだろう。
また、料金改定に合わせ、一度低下した爆上げセレクションの還元率が、元の水準に引き上げられる。利用できるデータ容量の増加と親和性が高い配信サービスをより便利に使ってもらうための改定と説明されている。
■段階性プランで重なる楽天モバイルとの通信品質勝負
段階性のプランといえば、真っ先に思い浮かぶのが楽天モバイルのRakuten最強プラン。こちらは3GB以下が968円、20GB以下が2068円、それ以降は無制限で3168円となっている。
月額料金で見れば、やはり楽天モバイルの安さは圧倒的だ。閾値が3GB/20GBと、ahamoよりも低いため、同じようにデータ通信を利用すると、すぐに最上段にたどり着いてしまうが、それでも3168円であり、ahamoの40GB以下と同水準の安さ。加えて、こちらはデータ通信が無制限となる。
もちろん、ahaamoは楽天モバイルだけがライバルではない。UQ mobileやワイモバイル、povo、LINEMOもなど比較対象となるため、NTTドコモ代表取締役副社長の齋藤武氏は、全体の競争環境の中で、40GB/3135円という価格は、競争力があると判断したとコメントしている。
通信サービスである以上、料金と同じく重要なのが、通信品質だ。楽天モバイルとしては、これまで広い範囲をカバーしていたKDDIローミングが2026年9月末で終了し、今後はルーラルエリアでのみローミングサービスが提供される予定。すでに楽天モバイルが一定のカバーをできた範囲においては、順次ローミングが打ち切られている状況だが、建物内、地下などにて繋がりにくい場所が残っており、ユーザーからの不満も聞こえてくる。
では、ドコモが品質に秀でているのかというと、現在はそうともいえない。ドコモは品質改善に注力し、多額の投資をしているものの、特に都市部などの混雑するエリアでは、安定していない状況だ。
今回の値上げについて、齋藤氏は設備投資のためのコスト確保とは直接の関係がないと説明しているが、ドコモとして先立つものが必要なのは事実。値上げに対し、ユーザーの納得を得るためにも、品質改善は急務であり、ここが中容量から大容量プランにおける、他社との競争軸になるだろう。
閾値が上がり家族割が強化されたドコモ mini2
小容量プランとしては、新たにドコモ mini2が発表されている。こちらも段階性になっており、6GBまでが3278円、12GBまでが4598円となる。既存のドコモ miniは4GB/2750円、10GB/3580円であり、それぞれ2GB増量しながら値上げをした格好となる。
基本料金は高いが、新たにみんなドコモ割が適用できるようになる。dカードお支払い割やドコモ光セット割など、全てのオプションを適用した場合は6GB/858円、12GB/2178円まで支払額が下がる。
また、ファミリー割引グループ内では国内通話が無料。60歳以上のユーザーであれば、かける対象を問わずに電話がかけ放題となる。
家族割が前提となり、単身者には厳しい値上げにも感じるが、齋藤氏によると、現在ドコモ miniを利用しているユーザーの8割強は、家族割引に準ずるサービスが利用できる条件が整っているとのこと。既存の小容量プランユーザーにとっては、旨味のある新プランとも捉えられる。また、齋藤氏は、単身者に対してはahamoを推奨していくと説明している。
au(KDDI)、ソフトバンクにも小容量プランは用意されているが、auのスマホミニプランは3GB/5GB、ソフトバンクのミニフィット 2は2GB/5GBと閾値が低く、時代に合っていないという見方もできる。加えて、段階性ながら上限を自分で設定できるのはドコモ min2だけであり、思っていたよりも高い請求が来る心配がない点は大きな武器となる。
既存・新規受付終了済みプランも値上げ
ahamoの改定、ドコモ mini2の登場に伴い、既存プラン、すでに新規受付を終了している料金プランにおいても、値上げが行われる。
対象となるのは、現存する5つのプランと、新規受付停止済みとなっている51のプランの、計56プラン。値上げ幅は110円から550円となる。
現在の情勢を鑑みると、値上げは仕方がないと納得できる部分も大きい。一方で、通信品質が芳しくないドコモでは、多少の値上げも“改悪”と捉えられる可能性がある。値上げの理由をしっかりと説明しながら、品質を向上させることで、ユーザーに納得してもらう必要があるというわけだ。
ユーザー視点では、ahamoのリニューアル、新たな小容量プランの登場に加え、既存プランの値上げも発表されたことで、自身の契約を見直すべきタイミングといえるだろう。
取材・文/佐藤文彦
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