ラーメンが世界的に認知されている今、カナダでは近年「うどん」も「UDON」として日本の発音そのままに広がっており、うどん専門店の新規オープンが目立つ。中でも注目は、今年3月トロントにオープンした丸亀製麺の「MARUGAME UDON」。バンクーバーとカルガリーに次ぐ3店目として大人気だ。
本記事では、日本の麺文化が急速に浸透していくカナダで、うどんチェーン店として業界きっての人気を誇る「丸亀製麺」が、カナダ人にどのように受け入れられているのか。人気メニューと共にお届けする。
「丸亀うどん」はカナダでコスパ抜群のファストフード店
サービス形態は日本と同様のセルフサービスだが、オープンキッチンで垣間見られる「手打ち」の製麺作業は、食材の準備や調理まで合理的に機械化されている欧米のファストフード店とは一線を画す。その点において、ファストフードに慣れ親しんでいるカナダ人にとっては驚きのようだ。


しかも、マクドナルドでビッグマック単品が7.69カナダドル(約860円)、セットメニューで12.79カナダドル(約1,435円)するトロントにおいて、かけうどん、ぶっかけうどんのレギュラーサイズ単品が6.99カナダドル(約780円)、えび天やチクワ天など一番安いトッピング(1.99カナダドル/約223円~)を一品つけても合計10カナダドル未満。クオリティの高さを考えると、この値段にカナダ人がびっくりするのも納得できる。
(※為替レートは2026年9月21日現在)


物価高で外食を控える傾向にあるカナダで、このようにコスパ抜群で日本食をあじわえるのが丸亀うどんの人気の一つと言える。ちなみに、ラーメンやその他の日本食レストランでは、チップを含めてランチでも20~30カナダドル(約2240~3360円)はする。しかし「丸亀うどん」は、お財布に優しく、また、その美味さゆえにトロントの人々にとっては何ともありがたい存在なのだ。
日本と違うのは、卓上に醤油やソースのボトルはなく、代わりに「天つゆ」をジャグタンクのような容器から好みの分量を取り分けるシステム。その他、ラー油やソースなどもプラスチックの小容器に各自が取って頂く。ただし、日本のようにネギやショウガの無料トッピングがないのは残念だが、このご時世では仕方ないのかも。

日本の味を活かした絶妙なバランスがたまらない「チキンサラダ」
メニューは日本の塩やおろしなどのあっさり系はなく、かけうどん、ぶっかけうどんをベースに牛、牛玉、チキンカツカレーなどガッツリ肉系が並ぶ。



そんな中、サマースペシャルとして登場したのが「チキンサラダ」(15.49カナダドル、約1738円)だ。サラダと言う割には、デカいチキンの揚げ物にタルタルソースをかけたチキン南蛮を、ぶっかけうどんとマッチさせた高カロリーのメニューである。
しかし、レタスやルッコラなどのグリーンを加えることでヘルシー系に仕上げており、意外にも濃厚なタルタルソースと、うどん汁の混在が和と洋の絶妙なバランスを醸し出す逸品だ。肉中心の食事が多いカナダでは、何かと栄養も偏りがち。「チキンサラダ」は、そんなカナダ人のニーズにもマッチして人気メニューとなっている。

この新メニューを食したカナダ人が、さっそくインスタでチキン南蛮をのせたうどんと紹介していた。「チキン南蛮」というメニューを知っている相当な日本通にも驚いたが、彼らにも馴染みのあるタルタルソースとの組み合わせが、うどんビギナーにも安心を与える絶妙なバランス感がある。
あえてローカライズしない日本食がウケるわけ
アメリカ大統領による「カナダを51番目の州に」の発言や、現在の関税戦争によって、アメリカ製品のボイコットや旅行を控える人が急増しているカナダ。アメリカは隣国ということもあり、バケーションや買い物のために頻繁に往来していたカナダ人だが、この関税問題と円安の影響もあって、この夏のバケーションシーズンも含め、旅先を日本に向ける人が多い。筆者の周りでも、ほとんどが日本旅行を経験、あるいは予定しており、そのインバウンドの影響は、海外での日本文化の人気に拍車をかけている。
中でも日本食への影響は顕著で、昨今、日本から出店するラーメン店やトンカツ、天ぷら専門店などが増えている。そして、そのサービスやメニューなどは日本のスタイルをそのままもってきており、ひと昔前のような現地の嗜好に合わせてローカライズし、まったく別物に変えることは少ないような肌感がある。

理由の一つとしてあげられるのが、訪日したカナダ人たちによるSNSの発信によって、うどんを含めた本物の日本食の認知度が上がっているからであろう。そして、カナダに帰国後もローカライズされない味を、彼らが求めているからではないだろうか。
日本人の筆者としても、「丸亀うどん」は日本と同じクオリティで、うどんのモチモチ食感と出汁の効いた汁を食せる店として重宝しており、そのため日本が一段と身近に感じられるようになった。海外でも本物の日本の味を手軽に堪能できるようになった現在に、時代の変化を感じる今日この頃である。
文/布施泉
カナダ・トロント在住のフリーランスライター。企業のオウンドメディアやインタビュー記事ほか、複数のメディアにカナダ情報を執筆。岡山県出身、神戸に長く住んでいた自称神戸っ子。映画と筋トレをこよなく愛し、世界を旅するノマドライフに憧れている。【世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員(https://www.kaigaikakibito.com/)】
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