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普及が始まった頃の携帯電話をはじめ『踊る大捜査線』シリーズでは、放送・映画公開当時の様々な最新テクノロジーが捜査に使われてきた。それらの変遷を、元警察官・佐々木成三さんのコメントとともに振り返ってみよう。

解説するのは
元警察官/犯罪コメンテーター 佐々木成三さん
埼玉県警察本部刑事部捜査第一課において、巡査部長5年、警部補5年の計10年間勤務。デジタル捜査班の班長時にはデジタルフォレンジック(デジタル証拠)の押収解析を専門とし、携帯電話の精査や各種ログの解析を行なっていた。

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領収書や健康診断に関する警察内の描写が実にリアル
元警察官の佐々木さんの目に、『踊る大捜査線』シリーズは、どのように映っていたのだろうか。
「ドラマが開始した当時は交番勤務でしたが、ディテールのリアルさが、それまでの刑事ドラマとは違うと感じました。犯人をただ捕まえるだけでなく『健康診断を受けろ』とか『領収書出せ』なんてシーンは実にリアルです」
領収書は、情報提供者に渡す手土産などに使われる捜査費の経費精算時に不可欠だったという。
「埼玉県警の在任中は、1回3000円までという決まりがありました。捜査費の使い方にはセンスが表れるもの。僕の場合、例えば家族のいる人なら全員分のケーキを、女性社員の多い会社だと〝ミスド〟でいろんなドーナツを買い、喫煙者にはタバコを差し上げるなど、使い方をよく考えました。経費精算の際に『こんなものを渡したの!?』と怒られることもありましたが、聞き込みの際に得られる情報は、お土産次第で全然違ってくるんです」
『踊る大捜査線』の歴代作品では、インターネットやスマホといったデジタルツールを、捜査にいち早く取り入れている。佐々木さんも埼玉県警のデジタル捜査班・初代班長として、積極的にデジタルツールを捜査で活用してきた。
「LINEが登場した時は『これからは通信キャリアの回線で電話をする人は少なくなり、SNSの解析が絶対に必要になる』と考えました。UFEDというイスラエル製のスマホ解析機器を埼玉県警に初めて導入したのはそのためです。例えば強盗をした前後では検索のログが大きく変わります。大金が入ると『ロレックス』を調べるようになるとか。『Suica』を使ってどこに行ったのか。『PayPay』で何を購入したのか。いつに誰と連絡取ったのか。それらすべてのことがわかるスマホは〝パンドラの箱〟と呼んでいました」
そのため、現在の警察はスマホを押収する優先度が高いという。
そんな警察を嘲笑うかのように、最近ではLINEやX、Instagramなどのアカウントが闇市場で売買されており、犯人を特定するのが一層難しくなっているという。
「SNS型投資詐欺を含む特殊詐欺の被害総額は、2024年が約700億円で、2025年は約3200億円まで拡大。今年は上半期だけで1800億円に達するなど勢いは増す一方です。そんなSNS型投資詐欺の検挙率は3%未満。ネットバンキングや仮想通貨でお金を振り込ませる手口も多く、犯罪組織からすればノーリスクハイリターンになっています」
そして近年、防犯カメラやドライブレコーダーの映像による容疑者の特定や検挙が急増。『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』でも、民間の防犯カメラをジャックし、管轄内を監視するシーンがある。
「技術的にも法律上も、あれは不可能です。実際には防犯カメラが置いてあるところに1軒ずつ伺って記録映像をもらいます。防犯カメラの映像は一定期間が過ぎると上書きされることが多く、1週間以内に該当地域の記録映像を抑えるようにしていました。だから人手の足りない地方の警察が一気に回収するのは大変です」
『踊る大捜査線』の最新作では捜査にAIが導入されている。
「現実においても、警察のデータベースをいかにAIに学習させるかが重要だと考えています。容疑者の供述や取り調べの内容を学習させた独自AIが実現すれば、どんな捜査員も、センスや経験がある人のようなアプローチで、捜査ができるようになるかもしれません。ただし実現するにはまだまだハードルは高く、デジタルに依存しすぎるのもよくありません。デジタルの証拠が出てこなければアナログの捜査で勝ちにいかなければなりません。そんな時に不可欠なのは『踊る大捜査線』の和久さんのような刑事。地道な現場百回や、人から聞き出す技術をもとに勝てる証拠を作れる、和久さんのようなベテランの刑事が絶対に必要なんです」
記録メディアはアナログからデジタルへ変化

スペシャルドラマでは被疑者の遺留品としてVHSテープを押収し、青島たちは徹夜で確認する。一方『THE MOVIE』は被疑者の顔データを記録するメディアとしてMOが登場。膨大な情報の確認などが可能に。
現実の警察でも傍受しにくいデジタル無線機を使用


歴代作品では警察官に無線機が支給される場面も。「警察用はデジタル化されて秘匿性が高く、情報を一括で送れることが利点でした。端末は『THE MOVIE』と同じモトローラ製が多かったです。その頃は携帯電話の支給が潤沢でなく個人用を使うことが多かったです」
ネット犯罪の組織とMMORPG経由で接触するのは

テレビドラマではネットの掲示板を使って被疑者に連絡を取るシーンがある。それから13年後の『THE MOVIE 3』ではMMORPGのゲーム内チャットで被疑者との会話を試みることに。「現実の警察はそのような接触をしません。〝奥に隠れる〟リスクがあるので」
実際の警察も防犯カメラを捜査に使用。
顔認証だけだと証拠能力が不十分!?

『THE MOVIE 2』では街の防犯カメラと盗聴マイク、スペシャルドラマ『THE LAST TV~』では顔認証技術で、被疑者の検挙を図る。「防犯カメラの斜に構える人々の映像は、正面を向く被疑者の顔とかなかなか一致しません。アナログな事実による裏付けも必要です」
取材・文/小口 覺 編集/田尻健二郎
※機器や記録メディアのイラストは生成AIによるイメージ
©2003フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー ©2010フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー
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