先日、超料理マニアな料理人・東山広樹さんのポストが話題になった。
「冷やし麺の最高傑作」と綴り、「全国的に流行る」と断言している。山形在住の筆者は地元グルメが人気インフルエンサーに刺さったことが嬉しくてつい反応してしまった。
東山さんと言えば、日々SNSでマニアックなメニューや調理法を紹介し、たびたび大バズりしているお方。料理を科学的に考察する「調理科学」にも詳しい料理人が最高傑作と認めた山形肉そばは、山形のソウルフードであり、年中愛されている『冷たい肉そば』のことだ。
山形県河北町が発祥と言われるそれは、親鶏の旨味を凝縮した甘じょっぱい秘伝のタレと太めで硬い田舎そば、その上にコリコリとした食感がくせになる鶏肉がトッピングされた冷やし系ご当地グルメ。肉そばの肉は「親鶏肉」だ。
冷やしとはいえ、あったかい肉そばメニューもあるのだが地元山形では夏だろうが厳冬だろうが「冷やし」が基本。肉そば=冷たい=通年がデフォルトなのだ。
料理人の東山さんが絶賛した「冷やし肉そば」の魅力を改めて確認しつつ、ここぞとばかりに全国区への道を刻みたく、今回東山さんにインタビューを敢行。
冷やし肉そばにハマった理由、全国的人気になる要因、さらに自宅でも楽しめる山形の肉そばレシピを教えていただいた。
――山形の冷たい肉そばに出合ったきっかけから教えてください
「仕事で山形に行きまして、昔から『山形肉そば』の存在は知っていたので絶対に食べたかったんです!仕事のため自由時間が1時間しかなかったのですが、その中でなんとか訪問することができました」
――冷やし麺史上最高傑作のうまさと仰ってましたが、特にハマったポイントは?
「蕎麦は中華麺やうどんよりはやわらかいという性質を持ちますが、冷たく締めることで麺が固くなります。そのハード食感の麺と、冷たくキリッと冷やされただし汁の相性が最高だと思いました」
そんな東山さん、あまりの美味しさに自宅で冷たい肉そばを再現し、SNSでレシピも紹介してくれた。
――実際に作ってみて分かった、美味しく作るためのポイントは?
「鶏肉を煮ただし、その汁をスープとして使うことです。あとは関東そばのようにスープを醤油で黒くしないことだと思います。鶏肉の旨味がしっかり溶けたスープの旨味と、硬めハード食感の麺の相性は抜群です」
ちなみに、東山さんが山形で味わったお店は山形駅から徒歩6分の場所にある『つる福 山形駅前店』だとか。
丁寧に下処理されたコリコリの親鳥と天候に合わせて配合を変えるコシのある自家製麺が観光客から地元の人まで魅了している。
ところで、東北・山形の地で「冷たい肉そば」は誕生したのか?厳しい寒さの中でも「冷やし」を愛してしまう理由とは?
極めて理論的で合理的。凄まじい『突破力』と『グルーヴ』がある
「冷やし肉そば」の誕生は戦前までさかのぼる。当時、そば屋ぐらいしかお酒を飲める場所が無く、つまみメニューもさほど多くなかったため「馬肉の煮込み」で酒を飲み、最後に盛りそばでしめるお客さんが多かったという。
そんなある日、一人の客が残った馬肉の煮込みをそばにかけてみたところ、思いのほか美味しく、それが一躍人気メニューとなった。
その後、戦争などの影響で馬肉が入手しづらくなると、手に入りやすい鶏肉で代用することに。それが今に伝わる「冷やし肉そば」の原点になったといわれている。
山形県の河北町では 「そば」と言えば、当たり前のように「冷たい肉そば」を指すという。
参考:https://www.tsumetainikusoba.com/nikusoba
意外な歴史に満ちた冷たい肉そばに魅了されてしまった料理人の東山さんは、幼い頃から料理にのめり込んできた超料理オタク。現在は料理についての学びをSNSなどで発信しながら、東京・神保町「餃子の肉太郎」を経営している。
ひたすら調味料の比率にこだわり、美味しいを「カガク」してきた東山さんが、一度味わってみたい冷たい肉そばがあるという。
「行ってみたいのは一寸亭本店ですね。山形の河北町が肉そばの聖地と聞き、本場の町で食したいなと。Xでも『このお店がおいしいから行ってほしい!』とたくさんのコメントをいただいたので一度お伺いしたいです」
「一寸亭本店」は創業100年を超える冷たい肉そばの老舗だ。冷たい肉そばの町でも一二を争う人気店で、地元民も最初に薦める店といったら真っ先にこの店を挙げるほど。
東北エリアのローソンでは、一寸亭本店監修の冷たい肉そばが毎年のように販売される名店だ。
ご当地グルメ、B級グルメと形容される冷たい肉そば。その魅力はじわじわと拡がっているように思えるが、全国区になるために必要なことはなんなのか?東山さんはこう話してくれた。
「東京でも山形の冷たい肉そばを提供するお店が増えることが必要かと思います。その中から超人気店が誕生したり、話題になっていけば、全国各地にも似たようなお店が増えると思います」
「蕎麦だけどラーメンに近い満足感があり、昔からある料理なのに極めて現代的な新しい料理に感じるんです。極めて理論的で合理的。凄まじい『突破力』と『グルーヴ』がある、マジで偉大な冷やし麺を考えた人、天才!!!もっと流行ってほしい!!!」
東山広樹さん公式X @h_gashiyama
東山広樹さん公式Instagram @higashiyama.ttt
文/太田ポーシャ
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