暑さが和らぎ、家庭菜園も楽しみやすくなる秋。夏に比べて害虫も少なくなるように思えますが、害虫対策は必要です。夏野菜の収穫が終わる一方で、ダイコンやハクサイ、ブロッコリーなど、秋から冬にかけて育てる野菜の栽培が始まるため、これらの野菜を狙って害虫がやってくることも。今回は、秋に家庭菜園で注意したい害虫と、その対策について解説いたします。
見つけづらいヨトウムシに注意しよう
秋の家庭菜園で特にまず注意したい害虫は、ヨトウムシです。ヨトウムシは、ヨトウガというガの仲間の幼虫を意味し、漢字で書くと「夜盗虫」と書きます。この名前の通り、夜間に活発に活動する種類が多いのですが、日中は土の中や株元、葉の陰などに隠れているため、昼間に野菜を見ただけでは存在に気づきにくいのが厄介なところです。
ハクサイやキャベツ、レタス、ホウレンソウなど、様々な野菜がヨトウムシの被害を受けることがあります。特徴的なのは、「葉に大きな穴が開いているのに、犯人が見つからない」というケース。夜に食害しているため、朝になって葉の被害だけを発見することもあります。そこで、対策として有効なのが、葉だけでなく、株元や土の表面もチェックすることです。幼虫がまだ小さいうちに見つけることができれば、被害の拡大を防ぎやすくなります。
また、成虫が野菜に卵を産み付けるのを防ぐため、防虫ネットを早い段階から利用するのも有効です。ネットをかける場合は、隙間から成虫が入り込まないよう、端までしっかり固定しておきましょう。「昼間はいないから大丈夫」と油断せず、葉の食害が見つかったら夜間にも確認してみるのもおすすめです。
ダイコンやハクサイを狙う秋のアブラムシ
秋の家庭菜園で注意したいのが、夏野菜から秋冬野菜へ切り替えるタイミングでのアブラムシ対策です。アブラムシは春から夏にかけて発生するイメージが強いかもしれませんが、秋になっても活動しており、真夏に比べると数が増えてきます。そこで重要なのが、収穫を終えた株や雑草をそのまま残さないことです。
夏野菜の株や周辺の雑草にアブラムシが残っていると、新しく植えた秋冬野菜へ移動してくる可能性があります。そのため、秋の植え替えでは、古い株を片付けるだけでなく、株の周辺まできれいに整理しておくことが大切です。また、秋に植える野菜の中でも、ハクサイやキャベツ、ブロッコリーなどのアブラナ科野菜は、アブラムシの被害を受けやすいです。植え付けの際には、苗そのものに害虫がついていないかを確認してから畑に入れるようにしましょう。
もしアブラムシが発生していた場合は、少数のうちに取り除き、被害が広がらないようにします。薬剤を使用する場合は、必ず対象となる野菜やアブラムシに使用できるものを選び、収穫までの日数など使用上の注意を確認しましょう。秋のアブラムシ対策で大切なのは、単に「見つけた虫を退治する」だけではありません。夏の栽培を終えるタイミングで害虫が潜む場所を整理し、秋冬野菜へ持ち越さないこと。これが、秋ならではのアブラムシ対策といえるでしょう。
秋のアオムシ対策
アブラナ科野菜を育てるなら、モンシロチョウの幼虫にも注意が必要です。モンシロチョウは暖かい時期には長く見られる身近なチョウで、秋になっても気温がある程度保たれている間は活動しています。葉に産み付けられた卵から幼虫が孵化すると、いわゆる「アオムシ」として葉を食べながら成長します。
秋ならではのアオムシ対策として意識したいのが、植え付けの段階からモンシロチョウを近づけないことです。春や夏に比べて気温が下がってくる秋は、これから長く育てる秋冬野菜にとって、害虫対策を始めるタイミングとしても重要です。苗を植えたらすぐに防虫ネットで覆い、成虫が葉に産卵する機会を減らします。
秋の家庭菜園では、「涼しくなったから虫も減った」と考えず、野菜を害虫から守るために、植え付け直後から防虫ネットで守る、葉の表裏や株元をこまめに観察する、異変を見つけたら早めに対処するといった意識を持つことが大切です。過ごしやすい季節だからこそ、害虫対策も万全にして、収穫までしっかり野菜を育てましょう。
昆虫ハンター・牧田習
博士(農学)。1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学し、2025年3月に同大学院博士課程を修了。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発見している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「趣味の園芸 やさいの時間 里山菜園 有機のチカラ」(NHK)、「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。
著書:「昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本」(小学館)、「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)、「春夏秋冬いつでも楽しめる昆虫探し」(PARCO出版)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my
文/牧田習




DIME MAGAZINE




















