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【昆虫博士・牧田習が解説】夏の昆虫は秋になるとどこに行くのか?夏の昆虫たちの秋の姿

2026.09.27

カブトムシやクワガタムシなど、夏の森では多くの昆虫に出会うことができますよね。でも、秋になると、そんな夏の昆虫を見かける機会は一気に少なくなります。では、彼らはどこへ行ってしまうのでしょうか。今回は、カブトムシ、クワガタムシ、セミという夏を代表する3つの昆虫たちの秋の姿について解説いたします。

カブトムシ

夏の昆虫の代表格といえば、やはりカブトムシ。夜の雑木林で樹液をめぐって争う姿は、夏の風物詩ともいえるでしょう。しかし、成虫のカブトムシは、秋になれば姿を消してしまいます。その理由は、カブトムシの成虫の寿命が1~3ヶ月程とそれほど長くないためです。ですが、カブトムシは、夏の間に交尾をして産卵します。

カブトムシの卵

卵から孵化した幼虫は、落ち葉などが分解されてできた腐葉土を食べながら成長します。つまり、秋の森を探しても、夏のようなカブトムシの成虫を見つけることは難しい一方、土の中には翌年の夏を目指して成長している幼虫がいるのです。幼虫は秋から冬にかけても土の中で過ごし、寒い時期になると活動は鈍くなりますが、地中は外気ほど温度変化が大きくないため、厳しい冬を乗り越えることができます。

カブトムシの幼虫

そして春になると再び活動が活発になり、十分に成長した幼虫は蛹になります。蛹を経て成虫となり、初夏から夏にかけて再び私たちの前に姿を現します。夏に見かけたカブトムシが秋になって「いなくなった」のではなく、次の世代がすでに土の中で育っている、と考えると、秋の森の見え方も少し変わってきます。

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クワガタムシ

カブトムシと並ぶ人気者がクワガタムシです。ただし、クワガタムシの場合は、カブトムシとは少し事情が異なります。クワガタムシは種類によって生活史が大きく異なるため、「夏が終わればすべての成虫が死んでしまう」とは限りません。例えば、ノコギリクワガタやミヤマクワガタなどは、夏に成虫として活動した後、その年のうちに寿命を迎えます。一方、オオクワガタやヒラタクワガタなどは、成虫のまま越冬することができます。

成虫で越冬できるヒラタクワガタ

成虫の状態で越冬するクワガタムシは、秋が深まるにつれて活動を抑え、樹洞の中など、比較的温度変化の少ない場所に身を潜めます。冬眠中は朽ち木の中などでほとんど動かず、春になって気温が上がると再び活動を始めます。つまり、「夏が終わったらクワガタムシも消えた」と思っていても、実際には見えづらい場所で冬を待っている可能性があるのです。

クワガタムシは種類や個体によっても寿命や越冬の事情が異なるため、秋のクワガタムシは「成虫のまま冬を越すもの」と「次の世代の幼虫になっているもの」の両方が存在すると考えると分かりやすいでしょう。秋や冬には樹洞や朽ち木の中などを見てみるのも面白いです。ただし、環境そのものを壊さないように観察するようにしましょう。

セミ

夏の終わりを感じさせる昆虫といえば、セミも外せません。「ミーンミーン」や「ジーッジーッ」といった鳴き声が聞こえなくなると、秋の訪れを実感する人も多いでしょう。では、セミは秋になるとどこへ行くのでしょうか。セミは、木の枝などに産卵し、卵から孵化した幼虫は地面へ落ち、土の中へ潜っていきます。そして、何年間もの間、地下で生活します。地下にいるセミの幼虫は、木の根から樹液を吸って成長します。種類によって幼虫として過ごす期間には違いがありますが、いずれにしても、夏に私たちが目にする成虫の姿は、セミの一生の中ではごく短い期間なのです。

十分に成長した幼虫は、夏になると地上へ出て、木などに登って羽化し、成虫になります。羽化したセミは交尾・産卵を行い、次の世代へ命をつなぎます。そして成虫としての役目を終えると、再び姿を消します。

つまり、秋になってセミがいなくなったというより、「地上で暮らす成虫の季節が終わり、次の世代のセミたちが地下で成長している」と考えることができます。夏には当たり前のように聞こえていたセミの声も、秋には静かになります。しかし、その静けさの裏では、次の年以降の夏に向けた準備が続いているのです。

夏の昆虫たちは秋になると姿を見かける機会が減るものも多いですが、その理由は、種類によってもさまざまです。成虫としての寿命を終えるものがいる一方、幼虫や卵として土の中で過ごすもの、成虫のまま身を潜めて冬を越すものもいます。私たちが目にすることができるのは、昆虫の生活のほんの一部。夏の終わりに昆虫たちの姿が消えていくのは、単純に「いなくなった」ということではありません。見えない場所で次の世代へ命をつなぎ、厳しい冬を乗り越える準備をしているのです。

昆虫ハンター・牧田習。博士(農学)。1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学し、2025年3月に同大学院博士課程を修了。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発見している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「趣味の園芸 やさいの時間 里山菜園 有機のチカラ」(NHK)、「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。

著書:「昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本」(小学館)、「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)、「春夏秋冬いつでも楽しめる昆虫探し」(PARCO出版)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my


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文/牧田習

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