秋の鳴く虫と言えば、スズムシやコオロギを思い浮かべる方が多いかと思います。ただ、意外とスズムシとコオロギが混同している方が多く、「スズムシがいたよ~!」と言われて見に行くと、コオロギだったなんてこともよくあります。そこで今回は、誤解されやすいスズムシとコオロギの違い、日本を代表する美しい音色で鳴く虫たち、さらには採集方法についても解説いたします。
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スズムシとコオロギの違いは?
一般的に日本語で「スズムシ」とは、バッタ目スズムシ科に属する一種で、オスが「リーンリーン」と美しい音色で鳴くのが特徴的です。一方、「コオロギ」というと、バッタ目コオロギ科に属する種類のことを意味することが多く、国内だけでも80種以上が知られています。そのため鳴き声も種類によって異なります。ただ、最も有名なのは閻魔大王のような顔を持つエンマコオロギで、オスが「コロコロリー」という音色で鳴きます。
ペットショップなどではスズムシが販売されている機会をよく目にするのですが、実は野生のスズムシは少し珍しく、中々見つけるのは難しいです。よく「家の近くでスズムシが鳴いていたよ」などと言われることがあるのですが、経験上、そのほとんどはエンマコオロギで、スズムシは直射日光が当たりづらい湿り気のある自然度の高い環境でないと見つけることができません。一方、エンマコオロギなどは環境適応能力が高く、都心の繁華街でもその姿を見ることができます。
また、成虫が見られる時期も少し異なります。エンマコオロギは8~11月頃までの長い期間見られるのに対して、スズムシは8~9月頃までと、見られる期間が比較的短いです。スズムシは秋遅くまで見られるというわけではなく、むしろ夏の終わり頃が丁度いい虫なのです。
日本を代表する鳴く虫たち
日本にはスズムシやエンマコオロギ以外にも多くの鳴く虫が生息しています。ここでは、代表的な3種類をご紹介いたします。
(1) キリギリス
キリギリスもコオロギやスズムシと並ぶ有名な鳴く虫です。「ギィーギィーチョン」と美しい音色で鳴きますが、実は野生では肉食傾向が強く、他の昆虫などを捕まえて食べます。時にはカマキリを食べることもあるほどです。また、正確には、東日本にヒガシキリギリス、西日本にニシキリギリスという種類が生息しています。
(2) クツワムシ
キリギリスと同じキリギリス科に属する一種で、「ガチャガチャガチャ」と、とても大きな音で鳴きます。河川敷など、クズの葉が生い茂った場所に夜に行くと、その鳴き声を聞くことができます。
(3) マツムシ
「チンチロリン」と美しい声で鳴くマツムシも古くから親しまれてきた鳴く虫です。一見、スズムシに似た見た目をしていますが、実はコオロギ科に属しており、コオロギの仲間の一種なのです。
鳴く虫を見つけるトラップとは?
さて、鳴く虫の鳴き声だけではなく、その姿を見たくなってきたのではないでしょうか。鳴く虫は、鳴き声を聞けても、その姿を見つけるは難しいなんてこともしばしば。また、彼らの体が緑や茶色であることも多いため、草むらの中にいると、非常に見つけづらいです。そこで、おすすめのトラップがあります。用意するものは、空のペットボトルときゅうりやナスなどの鳴く虫が好む野菜のみ。ペットボトルをカッターなどで切り、下側に細かく切った野菜を入れ、上側を逆さにして入れ込むと完成です。これを地面の近くなどに置いて、鳴く虫が入るのを待ちます。
ただ、トラップを長い間、放置しすぎてしまうと、中で鳴く虫たちが死んでしまうこともあるため、こまめにチェックするようにしましょう。また、風などに飛ばされてしまうこともあるため、地面に上手く固定することをおすすめします。種類によっては、木の枝などに仕掛けるのも良いです。
さて、今回は代表的な鳴く虫たちの特徴からその採集方法についても解説してきましたが、彼らは日本では古来より親しまれてきた昆虫たちでもあります。野菜などの手頃なものを与えるだけで飼育することができる種類も多いため、ぜひ飼育にもチャレンジしてみてくださいね。
昆虫ハンター・牧田習。博士(農学)。1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学し、2025年3月に同大学院博士課程を修了。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発見している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「趣味の園芸 やさいの時間 里山菜園 有機のチカラ」(NHK)、「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。
著書:「昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本」(小学館)、「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)、「春夏秋冬いつでも楽しめる昆虫探し」(PARCO出版)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my
文/牧田習




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