生成AIやデータセンターの普及に伴い、国内でも今後、電力需要の増加が見込まれている。こうした需要増加に対応するためには、電源の確保に加え、送配電網の増強などの設備投資も必要となり、それに伴う電気料金など生活者負担への影響も論点となっている。
そこでイーレックスはこのほど、日常生活に浸透する生成AIを切り口に、AIの利用実態と電力消費への意識、さらに増加する電力需要を支えるエネルギーに対する生活者の考えを調べるべく、20歳~69歳の男女を対象に「生活者のエネルギー意識調査2026」を実施し、その結果を発表した。
1.広がる「AI電力浪費」? 生成AI利用者の61.5%が「つい、なんとなく質問」
■2026年の日本、20歳~69歳の男女1万人の64.2%が生成AIを利用中
人口構成比に基づき20歳~69歳の男女1万人を対象に、ChatGPT、Gemini、Microsoft Copilot、Claudeなどの生成AIの利用について聞いた。現在の生成AIの利用を聞くと、64.2%が生成AIを利用し、利用頻度は「ほぼ毎日」(17.8%)が多くなっていた[図6]。
生成AIを利用している人に、生成AIの利用においてテキストで回答を得るための質問や依頼を行う回数を聞くと、1日平均「1回程度」と答えた人が22.6%、「2~3回程度」が23.7%となり、1日平均「6回以上」利用している人が16.6%となった[図7]。
■生成AIに何を聞く? 恋愛相談から「3,000万円くれないかな」までさまざまに
人口構成比に基づく20歳~69歳の男女1,000人のうち、生成AIを利用していると答えた634人に、必ずしも生成AIに聞く必要はなかったけれど、ついなんとなく聞いてみた経験を聞いた。
すると、13.7%が「よくある」、47.8%が「たまにある」と答え、全体の61.5%がAIになんとなく質問をしていることがわかった。生成AIを使う必要はないのに、ついなんとなくAIに質問してしまう、いわば 「AI電力浪費」を年代別に見ると、20代(74.2%)・30代(67.3%)の若い世代に多くなっていた。
その質問内容を自由回答で聞くと、「好きな人と付き合うのは無理なのに、どうしたらいいか聞いた」(埼玉県・女性)、「誰か3,000万円くれないかなぁ、というどうしようもない願い」(大阪府・女性)など、さまざまな回答が寄せられた[図8]。
※AI電力浪費…本記事では、「必ずしも生成AIに聞く必要はなかったものの、つい、なんとなく質問する」といった利用を象徴するキーワードとして、生成AI利用における“電力浪費”を、「AI電力浪費」と表現している。
■もし生成AIが利用できなくなったら、利用者の半数が「困る」。生成AIを「今後も利用したい」が85%
現在、生成AIを利用している人に、生成AIを利用できなくなった場合の日常生活への影響を聞いた。すると、51.1%(非常に困る15.5%+やや困る35.6%)が「困る」と答え、週1回以上利用する人では60.5%とその割合がさらに高くなっていた[図9]。
全員に、今後、生成AIを利用したいかと聞いた。すると、生成AI利用者では85.5%、週1回以上利用する人では90.6%が「利用したい」と答えているが、現在利用していない人でも29.8%が利用したいと答えている[図10]。生成AIの利用は、今後はさらに増えることが予想される。
■生成AIの普及で電力使用量が増大。地球環境や電気料金への影響も懸念
生成AIの学習や回答生成には大規模な計算処理が必要で、データセンターでは多くの電力が消費される。生成AIの普及・利用拡大に伴い、データセンターの電力需要も増加すると見込まれており、使用する電力の電源構成によっては、発電に伴うCO2排出量の増加につながる可能性もある。
また、電力需要の増加に対応するためには、発電設備や送配電網などの強化も重要になる。こうした設備投資の費用は将来的に生活者が負担する電気料金に影響する可能性があり、AI時代の電力需要増に対応しながら、安定供給と生活者の電気料金負担をどう両立するかも課題となっている。
■生成AIの利用における電力の大量消費への意識は2割
全員に、生成AIを利用するとAIの計算処理を行うデータセンターなどで電力が大量に使われることを知っていたかと聞くと、47.0%と約半数は「知らなかった」と答え、31.1%は「知っていたが、特に気にかけたことはなかった」と答え、78.1%にのぼった。
またAIやデータセンターの普及などにより、日本でも今後、電力需要の増加が見込まれていることについても、「知らなかった」「知っていたが、特に気にかけたことはなかった」と答えた人が77.4%と、大多数を占めている[図11]。
■日本の生成AI利用は年間約635億回。文章での質問に伴う電力消費量は15.2GWhと推計
1万人を対象とした生成AIの利用実態の結果をもとに、生成AIの利用頻度と画像や動画を含まない文章での1日あたりの質問・依頼回数を加重平均にて推計すると、20歳~69歳の1人あたり1年間の質問回数は約848回と算出された。
日本の20歳~69歳の人口7,498万人の生成AIの文章での質問回数は、年間約635億回と推計される。これに生成AIのテキストでの回答1回あたりの電力消費量0.24Whをかけると、年間の電力消費量は約15.2GWh(1GWhは100万kWh)となり、一般家庭の消費電力に換算すると、約142万世帯の1日分に相当する。これは、AIのテキスト利用だけを算出したものなので、画像や動画の作成なども含めると、さらに大きな電力消費になると予想される。
2.生成AIの利用で電力需要が増加することに不安を感じている人は約7割。今後の再生可能エネルギー増加支持は半数以上
■生成AI利用には電力が大量に消費されることを知った上で、「AI利用を控えたい」と答えたAI利用者は12.3%にとどまるも、電力需要の増加に「不安を感じる」が約7割
生成AIの利用には多くの電力が必要であり、その利用拡大に伴い、データセンターでの電力使用量や日本での電力需要の増加が見込まれている。AIやデータセンターの普及によって、日本の電力需要が増えることに不安を感じるかと聞くと、全体の67.0%、AI利用者の69.6%が「不安を感じる」と答えている[図12]。
電力需要が増えることに不安を感じる人に、どのようなことに不安を感じるかと聞くと、「電気料金が上昇すること」(58.1%)に次いで、「必要な電力を十分に確保できなくなること」(49.7%)、「自然環境や地域環境への負担が増えること」(38.1%)、「発電に伴うCO2排出量が増えること」(31.3%)など、安定供給や地球環境への負荷が懸念されていた[図13]。
その上で今後の生成AIの利用意向を聞くと、「利用を控えたい」と答えたのは全体の26.3%(あまり利用したいと思わない14.2%+利用したいと思わない12.1%)にとどまり、「利用したい」(積極的に利用したい8.2%+利用したい23.3%=31.5%)と答えた人のほうが多くなっている。
生成AIを利用している人では、45.4%が「利用したい」と答え、「利用を控えたい」と答えた人は12.3%となった[図14]。電力需要が増えるのは困るけれど、AI利用は止められない、という傾向がうかがえる。
■AI関連で日本の電力需要が増えた場合、需要を支える電力の条件は「安全性」と「安定供給」
AIやデータセンターの普及により日本の電力需要が増えていくとしたら、どの発電方法で増やすべきかと聞くと、一番多かった意見が「再生可能エネルギー」(54.2%)となった[図15]。
また、AIやデータセンターによって増える電力需要を支える電力のあり方として重要だと思うことを聞くと、「安全性が高いこと」(36.9%)と「必要な電力を安定して供給できること」(32.4%)が上位に挙げられた[図16]。
そこで、AIやデータセンターで使用する電力に再生可能エネルギーを活用することの重要度を聞くと、全体の56.8%(重要だと思う21.9%+やや重要だと思う34.9%)が「重要」と答え、AI利用者では67.4%と再生可能エネルギー利用の重要度がさらに高くなっている[図17]。
3.再生可能エネルギーの理解度は約50%、関心度は約35%
■電力需要増加時代に注目の「再生可能エネルギー」、理解度は49.4%、関心度35.4%
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなど、自然界から得られ、持続的に利用できるエネルギーのことだ。今後の電力需要の増加に向け、さらなる利用が期待されているが、その仕組みや特徴について、「人に説明できる程度理解している」と答えたのは3.4%と少なく、「ある程度理解している」(12.9%)、「なんとなく理解している」(33.1%)まで含めて49.4%と約半数となった。また、再生可能エネルギーへの関心度は35.4%で、3人に1人にとどまった[図18]。
■良い印象の発電方法1位は「水力発電」、生物資源の「バイオマス発電」に良い印象を持つ人は3人に1人
太陽光発電や石炭火力、原子力発電など8つの発電方法を提示し、それぞれの印象を聞いた。すると、良い印象のスコアが高い発電方法は「水力発電」(50.6%)、以下「風力発電」(47.9%)、「太陽光発電」と「地熱発電」が(44.7%)と続き、一方で「バイオマス発電に良い印象を持つ」と答えた人は33.6%となった[図20]。バイオマス発電は水力発電や風力発電などと比べると低い結果となった。
■カギは蓄電池にあり?! 再生可能エネルギーを有効に活用するために重要なことのトップは「蓄電池を増やし、余った電気を貯めて必要なときに使えるようにすること」
再生可能エネルギーに関する内容を提示し、どの程度知っているか答えてもらった。「内容を理解しており人に説明できた」「内容をおおむね理解していた」の回答を理解率とすると、理解率が高いのは「太陽光や風力など、天候によって発電量が変化する再生可能エネルギーがあること」で、51.9%が理解しているが、半数にとどまっている[図21]。
再生可能エネルギーをより有効に活用するために、今後特に重要だと思う取り組みを聞くと、「蓄電池を増やし、余った電気を貯めて必要なときに使えるようにする」(30.0%)が最も高い結果となった[図22]。
<イーレックス「生活者のエネルギー意識調査2026」調査概要>
実施時期:2026年8月31日(月)~9月2日(水)
調査手法:インターネット調査
調査対象:(1)図6と図7:全国の20歳~69歳の男女10,000人
(2)図6と図7以外:全国の20歳~69歳の男女1,000人((1)(2)ともに人口構成比に基づき割付して回収)
調査委託先:楽天インサイト
※構成比(%)は小数第2位を四捨五入しているため合計が100%にならない場合がある。
出典元:イーレックス株式会社
構成/こじへい




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