9月に行われたアップルの新製品発表イベントにおいて、最も注目を集めたのが「iPhone Duo」。アップル初の折りたたみスマホであり、閉じると5.4インチ、開くと7.6インチのディスプレイを搭載する。
他社を見渡すと、すでに数年にわたって折りたたみスマホを国内外に展開しているメーカーが多く、アップルは後発の存在となるため、初号機とはいえ高い完成度が求められる。
予約開始は10月16日、発売は10月23日とまだ先になるが、メディア向けに端末を触る機会をもらえたため、ソフトウエアの完成度、カメラやバッテリーの性能といった部分に関しては、改めて紹介させていただくとして、ここではファーストインプレッションをお届けする。
横幅と厚さ、質量はやはり気になる

すでに周知されている通り、iPhone Duoは開いた状態で117.8×164.6×5.2mm、閉じると117.8×84.1×11.3mmとなる。開けば歴代iPhoneシリーズで最薄となるが、似たようなデザインで、薄さにより注力するGalaxy Z Fold8と比べると、確かな厚みを感じた。

側面はTouch ID内蔵の電源ボタンとカメラコントロールを搭載。

音量ボタンは天面に配置。
また、質量は254gと、折りたたみスマホとしてもかなりヘビーだ。iPhoen 18 Pro Max(249g)よりも重いという数字のインパクトが大きいため、実際に持つと、想像よりは軽いと感じたが、それでもやはり、長時間使用し続けると、手首が疲れそうなずっしり感がある。

加えて、閉じた状態で84.1mmという横幅も、スマホとしてはかなり広く、どうしても気になる。握り心地が悪いというわけではなく、むしろコンパクトで持ちやすさはあるが、日本語キーボードとの相性は悪く、フリック入力のしにくさは懸念点となる。ソフトウエア面にて、横幅を活かしたアプローチが行われているが、“本当に”使いやすのかについては、詳細なレビューをお待ちいただきたい。
高級感漂う本体デザインと低反射ディスプレイの魅力
本体サイズや質量には少々疑問点が残るが、実機を触ることで感銘を受けた部分も多数ある。1つはヒンジの構造だ。


iPhone Duoのヒンジには100以上のパーツが緻密に組み込まれているとのことで、開閉の動作は非常にスムーズ。また、Galaxy Z Fold8では非対応となってしまったフレックスモードに対応する。半分折り専用のUIもしっかりと用意されており、ネットフリックスアプリなどは、下側に反射した映像をぼんやりと映し出すなど、驚異的な最適化すら行われている。調整できる角度は「無段階」と表現されている通り、使用する上では考えられない鋭角でも固定できる。
触った感触ではないが、本機はIP68の防塵防水性能を有しているのもポイント。ヒンジの柔軟性と耐久性を両立させている点には、さすがアップルと唸らされる。これらのヒンジ構造は、本体の厚みや質量とトレードオフであるため、「厚くてもこの使用感、安心感が得られればいい」と判断する人がいても、不思議ではない。

メインディスプレイの仕上がりも、他社にはない魅力だと感じた。ポリマーコーティングが施された低反射ディスプレイは、写り込みが低減されているだけでなく、さらっとした手触りが心地よい。他社折りたたみ機種の場合、“ぺこっ”とした柔らかいタッチ感が気になったり、指紋の付着が目立つのが難点だが、iPhone Duoにおいては、この心配はなさそうだ。

多くの方が気にする折り目については、全くないとはいわないまでも、低反射ディスプレイの効果もあり、ほとんど気にならないレベルに仕上げられている。開閉を繰り返すことで、折り目がどんどん目立っていく可能性はあるが、使用上の問題はあまり出てこないだろう。

メインディスプレイ側のインカメラは、UDC(アンダーディスプレイカメラ)と呼ばれる、ディスプレイ内蔵方が採用されている。斜めから見ると、うっすらカメラの存在が確認できるが、正面からではほぼ気がつかない。
UDCは、Galaxy Z Fold6以前のモデルでも採用されてきたが、サムスンは画質の低さを理由として、Galaxy Z Fold7より、一般的なパンチホールカメラを採用している。iPhone Duoでも同様に画質は気になる部分だが、サッと試した感触では、著しく画質が悪い印象はなかった。画質がいいとはいわないまでも、Web会議程度であれば問題はないレベルだと感じている。
36万4800円は高いが納得感もある
iPhone Duoは、アップル初の折りたたみスマホとしてだけでなく、その販売価格も話題を呼んだ。Apple Storeでは、最小構成のストレージ256GBでも36万4800円と、他社折りたたみモデルと比較しても、高いといわざるを得ない。
一方で、iPhone Duoが高値になった納得感はある。初のプロダクトというだけでなく、こだわったヒンジや使用感のいいディスプレイ、UDCといった多数の要素を盛り込んでおり、アップデートにてApple Pencilにも対応予定なのは魅力だ。
ソフトウエアの開発にも相当なこだわりを見せているが、ここは詳細なレビューをお待ちいただきたい。
これらの開発にかかるコストに加え、部材高騰も直撃。さらに日本市場においては、円安も加わる。iPhone Duoが仮に昨年発売されていれば、30万円を下回っていた可能性すらあるだろう。
多角的に要素を見ていけば、高級端末になったことに納得ができないわけではないが、それでも「誰にでもおすすめできる」とはいえない価格になってしまっているのは厳しい。
執筆時点では、各キャリアでの販売価格が発表されていないが、iPhone 18 Proのように、キャリア間での価格競争が勃発すれば、実質負担額を抑えられる可能性は高い。それでも月々の支払額との相談にはなるが、手に取った時に「いい質感だ」という感触は、ぜひ多くの人に体験してもらいたい。
取材・文/佐藤文彦




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