東京・銀座三越の新館7階催物会場にて、「踊る大捜査線」の世界観を堪能できるイベントが開催中だ。
7月の台場開催の第二弾となる本展では、最新作『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』の展示も加わり、さらにパワーアップしている。関係者向けの内覧会では、本広克行監督と亀山千広プロデューサーによる制作秘話が披露された。
小道具、衣装、台本、制作ノートなどの「踊る」シリーズゆかりの秘蔵アイテムは、監督の本広克行氏(以下、本広監督)と、プロデューサーの亀山千広氏(以下、亀山P)をはじめとした制作スタッフが大切に保管してきたものだ。
「30年間とっておいたものがこんなかたちでお披露目できるとは思っていませんでした。とてもうれしいです」と本広監督が語れば、亀山Pも、「実は本広監督と一緒に観るのは初めてなんです。音声ガイド付きツアーのような雰囲気で楽しんでください」と意気込みは十分。「踊る」の両雄による贅沢なツアーがスタートした。
展示のクライマックスは、入り口から
「あれ? 織田さんがコメントを出してますね、直筆で」
入り口付近のパネルを目にした本広監督が一言。すると、亀山Pがサラリと答える。
「お台場のイベントに来てくれたときにペンを渡して、『好きなところに落書きしていいよ』って言ったら、早速どアタマに書き込んでくれました」
冒頭から「踊る」ワールドが全開だ。まさに、事件は銀座三越で起きている!
「踊る」の熱量は台本にも
会場に入ってまず目を引くのは、本広監督が現場で使用した「踊る」シリーズの台本だ。関係者のみに配られる台本の表紙が、しっかり作り込まれているところが興味深い。亀山P曰く「キャストやスタッフに配るものだからこそ、作品の意図をわかってもらいたい。特にTVシリーズの『踊る』は『シリアスな刑事ものではなくコメディですよ』ってところを(笑)」。
ページを覗けば、おなじみの登場人物たちのセリフとともに、鉛筆による走り書きや印が目に入る。これらは本広監督が撮影現場で書き込んだものだという。「ボウリングのスペアのマークみたいな印をつけて、撮り終わったシーンをチェックしていきます。ところどころ塗りつぶしが濃いのは、そのときの気合いの入り方だと思ってください」と監督は笑うが、その痕跡からは、現場の緊張感や熱量が垣間見える。

“青島コート”誕生秘話
本展の最大の見どころの1つである「踊る」の象徴“青島コート”。その誕生のきっかけを亀山Pが明かしてくれた。
「最初の衣装合わせで『警察官だからトレンチかな? ステンカラーコートかな?』って悩んでいたときに、織田くんが『モッズコートはどうですか?』って提案してくれたんです。たまたまスタイリストさんが私物で着ていたのを、本広監督が『ちょっと着てみてくれる?』って羽織らせてみたら、まさに『これ!』でした」
以降、織田さんの“ミリタリーオタクぶり”(亀山P談)が反映された私物がたびたびストーリーに登場するが、そのうちの数点が本展にも展示されている。
歴代「湾岸署」のジオラマ
展示エリアの中盤で目を引く旧湾岸署のジオラマは、亀山Pの秘蔵アイテムだ。「間取りだけでなく、ドラマや映画のシーンがしっかりと再現されています」と語るように、人物の立ち位置や身振りの作り込みが見事だ。 さらに、コアな「踊る」ファンにはたまらない、とっておきのも披露してくれた。
「最初のTVシリーズでは、湾岸署はこんなに広くなかったんですよ。『THE MOVIE2(レインボーブリッジを封鎖せよ!)』のタイミングで、美術班がセットを大きくしちゃったんです。このジオラマも、階段やエレベータが追加された後期の湾岸署です」
旧湾岸署に続き、『THE MOVIE3(ヤツらを解放せよ!)』以降の舞台となった新湾岸署のジオラマの完成度も秀逸だ。
「ようやってますよねぇ……。撮影を思い出しますよ。すみれさん(深津絵里さん)が辞表を出すシーンもちゃんと再現されていますね」と、本広監督が感慨深げに語れば、
「王さん(滝藤賢一さん)が誤発注した山積みのビール箱もあるよね。つい飲んじゃった窃盗犯のおじさんも寝てますよ」と亀山Pが続ける。「踊る」の全シーンを知り尽くした2人の話は尽きない。
ジオラマにはもちろん青島刑事の姿も。どこにいるか探してみよう。
本物はどっち? ホワイトベア対決
次は、『THE MOVIE1(湾岸署史上最悪の3日間!)』と『THE MOVIE3(ヤツらを解放せよ!)』に登場した猟奇殺人犯、日向真奈美の特設コーナーだ。
日向役を演じた小泉今日子さんの怪演とともに強烈な印象を残した、ホワイトベアのぬいぐるみ。本広監督と亀山Pの所蔵品が並んでいるが、なぜ2体存在するのか? 亀山Pが理由を明かす。
「撮影用に美術班が手作りしたホワイトベアが5体ほど用意されました。撮影後に本広監督と僕が譲り受けたのが、ここにある2体です」 が、しかし――。
「本広監督のホワイトベアは“模造品”。僕のが本物です。何しろ小泉さんが撮影で持ってたやつですから(笑)」
すると、本広監督がすかさず応戦。
「いや、僕のホワイトベアは劇場公開時のプロモーション映像に出てるんです。『白ベア貸してください』ってよく言われましたよ」 すると再び亀山Pが、「ちゃんと保存パックに入れてデスクの袖机に大切に保管していたから、僕のホワイトベアのほうが白いよね」。
ホワイトベアをめぐる2人の“真贋”論争は尽きない。どちらがよりホワイトで、よりかわいいか、足を運んで確かめていただきたい。
あの名シーンを体験できる再現セット
「踊る」名場面を再現したセットも見逃せない。 まず、数々のドラマが生まれた湾岸署おなじみの「喫煙室」。なんと、最新作で青島刑事たちが飲んでいる「ベイサイド・モーニング」ブランドの缶コーヒーも購入できる。青島や室井になりきった“映えショット”をぜひ!


喫煙室で交わされた、踊るキャラたちの名ゼリフをつぶやきたい!
(左は司会のフジテレビ・東中健アナウンサー)
新湾岸署の象徴とも言える、鉄壁の防衛システム“嘆きの壁”(本広監督、亀山P談)のセットも登場。『THE MOVIE3(ヤツらを解放せよ!)』で、青島刑事が植樹祭の木杭でシャッターを叩く“希望の鐘”の場面が体験できる。※ただし、実際に叩くのは厳禁!
最新作展示で立ち止まれ!
いよいよ、初公開となる『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』の展示ゾーンへ。ここでも目を引くのは青島コートだ。 亀山Pによれば「今回は青島刑事がけっこう走るので、少し短めのコートを新調した」とのこと。
「青島君のコートは30年着続けていることになっているので、細かいことは突っ込まないでいただきたい(笑)」と断りが入りつつ、話はリアリティへのこだわりへ移る。
「TVシリーズ当初は、生地が馴染むように『悪いけど織田くん、これ着て寝て』とお願いしてました。新品だと嘘っぽくなりますからね。今回の新しいコートも、美術スタッフが見事な“汚し”をかけて、30年間の着古し感を出してくれています」
衣装に込められたこだわり
「踊る」新メンバーの服装にも、本広監督の細やかな演出が光る。
「美浦秋(白洲迅さん)をはじめとしたスーツ組は、スーツとネクタイの色合いを統一しました。真下正義(ユースケ・サンタマリアさん)の息子、勇気(増田貴久さん)は、父親がかつて身につけていたものと似た柄のサスペンダーを着用しています。“台東署のレッドラーク”こと、芝田ひばり(趣里さん)の服装には、必ずどこかに赤いアイテムが入っています」
捜査一課の“N.E.W.”青島デスク
現代らしく「フリーアドレス」が採用されている捜査一課。しかし……。
「こういう人、会社に必ずいますよね」と、本広監督は笑いながら“N.E.W.”青島デスクの再現セットを解説してくれた。
「青島刑事の物持ちの良さをチェックしてください。見覚えのあるアイテムが散らばっています」 かつて吸い殻で埋まっていた灰皿には乾電池が入っていたりして、30年の歳月を感じさせるが、青島刑事のマインドは変わらない。
本広監督の演出ノート、初公開!
展示の最後は、本広監督の演出ノートで締めくくられる。
ページを開くと、文字や図や模様でびっしり。「きったねえ字で……病んでますねぇ。病んでるから、模様を描き始めるんです(笑)」と、本広監督は自嘲気味に語る。
「書かれている言葉の意味がみなさんにはわからないと思うんですけど(笑)、コンテを切る時とかキャラクターに意味をつける時とか、ノートに全部書き出してみるんです」
そんな本広監督の話を聞きながらページをめくっていた亀山Pが一言。「ここ、コーヒーがこぼれたあとっぽいけど、そのまま書き続けてますね。完全に本広ゾーンですね」
気迫に満ちた、魂の演出ノートは必見だ。

会場を出ると、お土産コーナーも充実。あの「台場レインボー最中」はいかがだろうか?
イベントを振り返って
最後に本広監督と亀山Pに、印象に残った展示を振り返ってもらった。
「撮影現場で、モニタ越しに見ていた看板や小道具を、間近でゆっくり眺めたのは初めてかもしれません(笑)。こんなにいろいろなものを保管していたのだなあ、と……。スタッフが思いを込めて作ってくださったものだから、これからも大事にしたいです」(本広監督)
「僕は本広監督の台本ですね。現場で台本を広げている様子は何度も目にしていますが、あれだけ書き込んでいるのは知りませんでした。台本の表紙を作っていたのは僕なので、『あのときはこんなことを考えていたなあ』と当時の気持ちを思い出しました」(亀山P)
新作を観に行く前、観た帰り、あるいはそのどちらにも足を運びたい――本広監督と亀山Pのコメントを思い返しながら、『踊る大捜査線 THE MUSEUM ~事件は銀座三越で起きている!~』を堪能してほしい。
踊る大捜査線 THE MUSEUM ~事件は銀座三越で起きている!~
■チケット料金:
【当日入場チケット/特定日(9/9~9/11)を除く平日】
一般・大学生:2,000円
中学生・高校生:1,600円
※小学生以下無料(2名さままで)
※障がい者手帳並びに特定疾患医療受給者証などをお持ちの方で介助者が同伴される場合、介助者1名さまは無料(ご本人さまはチケットをご購入ください。)
※日時指定対象日
9/9(水)、9/10(木)、9/11(金)、9/12(土)、9/13(日)、9/19(土)、9/20(日)、9/21(月・祝)、9/22(火・祝)、9/23(水・祝)、9/26(土)、9/27(日)、10/3(土)、10/4(日)、10/10(土)、10/11(日)、10/12(月・祝)
※本チケットでは上記日程はご入場いただけません。上記日程にご入場される場合は、【日時指定チケット】をお買い求めください。
■会場:銀座三越 新館7階 催物会場
■会期:2026年9月9日(水)~10月12日(月・祝) 午前10時~午後8時[最終日午後5時終了]
※ご入場は、各日終了1時間前まで
※土・日・祝日および特定日は日時指定制
■主催:銀座三越
■企画制作:フジテレビジョン
取材・文/丹羽毅
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