大正製薬は、ifidobacterium bifidum G9-1(ビフィズス菌G9-1)およびLactobacillus acidophilus KS-13(乳酸菌KS-13)の継続摂取により、猫の腸内菌叢の構成が変化するとともに、腎機能の指標の一つである血中尿素窒素(BUN)が低下することを確認した。

同社は、これまでに両菌株が腸内腐敗産物を減少させることも報告しており、これらの結果から、両菌株の継続摂取は腸内環境の改善を通じて猫の腎機能維持に寄与する可能性が期待されている。
本研究成果は、2026年9月8日から11日に開催された第169回日本獣医学会学術集会にて発表された。
研究の背景と意図について
猫は加齢に伴い慢性腎臓病を発症しやすく、腎機能低下の予防および進行抑制は重要な課題であり、近年では、腸内環境と腎機能が密接に関係する「腸腎連関」が注目されている。
腸内細菌によって生じるパラクレゾールなどの腐敗産物の一部は尿毒素の前駆物質であり、腎機能の低下だけでなく、全身のさまざまな臓器に悪影響を及ぼす可能性が報告されている(腸内細菌学雑誌. 2018;32(1):15-23.)。
また、腸内腐敗産物の一つであるアンモニアは主に肝臓で尿素に変換され、尿素は腎臓から排泄される。血中尿素窒素(BUN)は血中の尿素量を反映する腎機能の指標の一つとして広く用いられており、腎機能の低下に伴って上昇することが知られている(図1)。
図1 腸と腎臓の関連(イメージ図)

プロバイオティクスは、腸内環境の改善を通じて健康維持に役立つことが期待されるが、猫における腎機能への影響については十分な知見が得られていない。
同社ではこれまで、ペットの健康維持を目的として犬や猫を対象としたプロバイオティクス研究を推進してきた。その中で、ビフィズス菌G9-1および乳酸菌KS-13の継続摂取により、猫の腸内菌叢全体のバランスが変化するとともに、腸内腐敗産物であるアンモニアやパラクレゾールが減少することを確認している(※)(図2)。
※ 2026年7月14日発表『ビフィズス菌G9-1と乳酸菌KS-13による猫の腸内環境改善作用を確認』
https://www.taisho.co.jp/company/news/2026/20260714002763/
図2 ビフィズス菌G9-1および乳酸菌KS-13摂取による腸内腐敗産物の変化
(a)糞便中のアンモニア濃度,(b)糞便中のパラクレゾール濃度
17例,平均値±標準誤差,*:p<0.05 vs. 摂取前,Wilcoxonの符号付順位検定をHolm法で補正

これらの知見を踏まえ、本研究では、ビフィズス菌G9-1および乳酸菌KS-13の摂取が猫の腎機能の指標および腸内菌叢構成に及ぼす影響を検討した。
研究成果
■ビフィズス菌G9-1および乳酸菌KS-13の摂取により猫のBUNが低下
健康な猫にビフィズス菌G9-1および乳酸菌KS-13を56日間継続的に摂取させ、腎機能の指標を評価した。その結果、摂取前と比較して28日後および42日後において、血中尿素窒素(BUN)の有意な低下が認められた(図3)。
図3 ビフィズス菌G9-1および乳酸菌KS-13摂取によるBUNの変化
17例,平均値±標準誤差,*:p<0.05 vs. 摂取前,Wilcoxonの符号付順位検定をHolm法で補正.

■ビフィズス菌G9-1および乳酸菌KS-13の摂取により猫の腸内菌叢構成が変化
ビフィズス菌G9-1および乳酸菌KS-13の摂取前後において、腸内菌叢の構成を評価した。その結果、両菌株の摂取により、複数の細菌群の構成割合に変化が認められた(図4)。このことから、ビフィズス菌G9-1および乳酸菌KS-13は、猫の腸内菌叢の構成に影響を与えることが示唆された。
図4 ビフィズス菌G9-1および乳酸菌KS-13摂取による腸内菌叢構成の変化
菌属レベル,17例,平均値

研究成果のまとめ
本研究において、ビフィズス菌G9-1および乳酸菌KS-13の摂取により、猫の腸内菌叢の構成に変化が認められ、腎機能の指標の一つであるBUNの低下が確認された。
同社はこれまでに、両菌株の継続摂取が猫の腸内菌叢全体のバランスを変化させるとともに、アンモニアやパラクレゾールなどの腸内腐敗産物を減少させることを確認している。
これらの結果から、ビフィズス菌G9-1および乳酸菌KS-13は、猫の腸内菌叢に作用し、腸内腐敗産物の減少や腸内環境の改善を通じて、腎機能維持に寄与する可能性が示唆された。
構成/清水眞希




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