日経平均株価が国内市場全体の動向を示す代表的な指数であるのに対し、投資家が市場全体の動きだけでなく、特定の業界ごとのトレンドや景気の動向を把握するために利用しているのが、今回のリポートにも登場する東証株価指数(TOPIX)33業種だ。
この33業種とは、まず東京証券取引所(東証)の上場企業を事業内容に応じて「水産・農林業」「建設業」「製造業」「金融」「運輸・情報通信業」などの10のグループに分類(大分類)。これを、さらに細かく食料品、石油・石炭製品、電気機器、情報・通信業など33に分類した上で、各業界の株価の動きを指数化したものだ。
今回の三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏のリポートでは、そんな東証株価指数33業種などをベースに、原油高と長期金利上昇という状況下での日本株について分析を行なっているので、早速概要をお伝えする。
日経平均は原油高と長期金利上昇のなか軟調な推移が続くが、その他の指数の動きも検証する
日経平均株価は6月25日に過去最高値となる7万2366円34銭(終値ベース、以下同じ)をつけた後、軟調に推移し、9月15日までに12.3%下落した。この期間、WTI原油先物価格は47.1%上昇し、北海ブレント原油先物価格も44.5%上昇するなど、原油高の動きが顕著となり、インフレ懸念などから日本の10年国債利回りは40.8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、3%を超えてきている。
このような原油価格と長期金利の上昇は、日経平均が過去最高値を記録した後の軟調推移の一因になったと推測できる。
そこで今回のレポートでは、日経平均以外の業種別やスタイル別指数などについて、6月25日から9月15日までの期間におけるパフォーマンスを検証しながら、原油高と長期金利上昇が進むなか、日本株は全体としてどのように推移したかを探ってみたい。
■業種別では資源・エネルギー関連や金融関連、スタイル別ではバリュー、サイズ別では小型が好調
はじめに、東証株価指数33業種からみていくと、原油高の恩恵を受けやすい資源・エネルギー関連の業種や、長期金利上昇の恩恵を受けやすい銀行など金融関連の業種は、好調なパフォーマンスが確認できる(図表)。

これに対し、人工知能(AI)・半導体関連株を含む電気機器や非鉄金属、原油高が向かい風となりやすいガラス・土石製品や化学、長期金利上昇が向かい風となりやすい建設業や不動産業は低調なパフォーマンスとなっている。
次に、スタイル別指数に目を向けると、グロース株(TOPIXグロース)が2.5%下落した一方、バリュー株(TOPIXバリュー)は3.3%上昇と、相対的に好調だ。
サイズ別指数では、小型株(TOPIX Small)が3.3%上昇、大型株(TOPIX 100)が1.7%上昇、中型株(TOPIX Mid400)が3.5%下落となっており、原油価格と長期金利が上昇する状況下では、バリュー株や小型株に資金が流入した様子が推察できる。
■原油価格と長期金利に上昇圧力が残る間は、バリュー株や小型株、内需株、高配当株に注目
内需・外需の別では、内需株(日経平均内需株50指数)が6.9%上昇したのとは対照的に、外需株(日経平均外需株50指数)は14.0%下落している。テーマ別では、高配当株の好調さに対し、半導体株の大幅な下げが目立つ。
市場別では、内需株を多く含む東証グロース市場指数が12.0%上昇、東証スタンダード市場指数は4.2%上昇、東証プライム市場指数は0.5%上昇となっており、東証株価指数(TOPIX)も0.5%上昇している。
このように、原油高と長期金利上昇が進むなか、6月25日から9月15日までの期間は、「バリュー株」、「小型株」、「内需株」、「高配当株」が選好されたと考えられ、少なくとも日本の株式市場全体から投資資金が流出したわけではないと判断できる。
今後もこれらが相対的に良好なパフォーマンスを維持できるとは限らないが、原油価格と長期金利に上昇圧力が残る間は、注目されやすいと思われる。
構成/清水眞希




DIME MAGAZINE














