家そのものが環境を察知!スマートホームの先を行く生命を宿した住宅プロジェクト「MW Living Home」が始動
2026.09.18
■連載/阿部純子のトレンド探検隊
株式会社MWが、建築、ソフトウェア、ロボティクスが一体となった世界初の住宅プロダクト「MW Living Home」を始動、住宅ロボット「MW bot」の実機デモを含め、全体像を報道関係者向けに初公開した。
「知覚」「知性」「身体」を備えた生命を宿した住宅が未来の生活を変える
建築、AI、ロボティクスを融合させ、家自体が環境を知覚、状況を理解、判断し、自律的に行動する世界初の住宅プロダクト「MW Living Home」を開発しているMWは、今年9月に経産省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する、生成AI国家プロジェクト「GENIAC」にフィジカルAI分野で採択され、今後3年間で数10億円規模の投資のもと、家庭内AIロボットの重要プロジェクトを担う。
「人が最も長い時間を過ごす空間でありながら、ソフトウェアによる変革が最も遅れてきたのが『住宅』です。私たちは家電のリモート操作にとどまる従来のスマートホームの延長ではなく、住宅そのものを、知能を持った空間へと進化させ、“家を再発明する”挑戦に、2024年の創業以来取り組んでいます。
照明や空調をつける、ロボット掃除機が動かすといったものがスマートホームと定義されていますが、それぞれにアプリケーションがあって、ユーザーは個々にセットアップをしなければならない。これは未来の住宅というより、スマートデバイスの集合体であると思っています。
私たちはこれをシンプルにまず統合します。MWのアプリケーションをインストールして使い始めれば、MWの家にあるもの含めてセットアップ不要で、瞬時に使えることもできるようになる。
そして、それぞれのデバイスが連動し、例えばユーザーが外出すれば、鍵が閉まる、エアコン、照明や消えるという、すべて連動された体験として提供するスマートホームを目指しています。
MWの住宅には、リモコンやパネル、スイッチといったものが一切ありません。あるのは壁に埋め込まれたタブレットで、そこがすべてとつながっています。タブレットの中に部屋の切り替えがあり、湿度や温度、時間、あるいは連携しているデバイスをコントロールすることができます。
私たちは家に命を吹き込むことを考えています。家が生命体を持ったものとして機能するには『知覚』『知性』『身体』の3つが必要です。家自体にこの3つの要素を組み込んでいこうと開発を進めていて、Living Homeを体現するソフトウェアを総称して『MW インテリジェンス』と名付けています。
MW インテリジェンスは、空間の状態を理解し、人の行動や環境に応じて、住まいを動的に変化させるソフトウェアで、建築と統合し家そのものが機能するための中枢として存在します」(株式会社MW Co-Founder & CEO 成田修造氏)
MWでは不要な柱、壁、スイッチ、建具、異素材などを除去し、プリミティブで統合された空間価値を追求しており、「タイムレス」「アップデータブル(空間を後からカスタマイズできる)」「フルード(流線的)」「インテグレーション(テクノロジーと融和)」の5つをMW建築の5原則と定めている。
土地仕入れから意匠、構造、施工管理、ソフトウェア・AI・ロボット、販売、管理まで内製化しており、「MWインテリジェンス」を搭載した、アーバン(目黒・恵比寿・代々木上原・成城・横浜・福岡)、オーシャン(金谷港・富津)、マウンテン(軽井沢)と各シリーズを展開。目黒の物件(下記画像)は初日に完売、横浜も竣工後30件を超える内覧希望があるなど反響を呼んでいる。
既存のMW住宅はソフトウェア、センサー、音声AIの「MWインテリジェンス」を統合済みだが、Living Homeをさらに進化させる、家事自動化の中核を担う天井走行型ガントリーロボット「MW bot」を現在開発している。
発表会では、Head of AI/ Roboticsの浅谷学嗣氏が解説しながら、「MW bot」の実機デモが行われた。(※現在開発中のため、イベントでのロボットデモは自律制御ではなく遠隔操縦によるテレオペレーション)
「日本の家は狭いので、デッドスペースである天井スペースを利用することで、効率的にロボットを動かせるのではないかと考えました。普段は天井スペースに収納されており、必要な時に出てきて生活を支援します。
ロボットが移動する動線を天井にすることで、人の導線を妨げずにスムーズにロボットが移動でき、かつ安全であるということで、ガントリーロボットを採用しました。
このワークロボットは、胸や、腕の先など複数のカメラが付いて、そのカメラの映像をもとに制御します。人間の上半身と同じような体の機構を持っていまして、冷蔵庫に買ってきたものをしまったり、洗濯物をたたんだりなど、物を扱うことができるマニピュレーションロボットになっています」(浅谷氏)
現在は、フィジカルAIの速度と精度を上げために家事データの学習をさせている段階で、日本最大級のフィジカルAIデータファクトリーを五反田に開設し、年間5万~10万時間ほどの家事データを集めている。
「今のMW botの速度は人間の20分の1程度。20分の1を3年で10倍、つまり人間の2分の1の速度まで上げることが目標です。ロボットが人間と生活する場合、人間と同じ速度でロボットが動くと危ないため、速さより正確に動いてくれた方が安心できるという考え方ですので、人間の半分ぐらいの速度で、1日4時間ぐらい稼働してあらゆるタスクができるようにさせるというのが今、目指している姿です」(成田CEO)
本年は建築、ソフトウェア、ロボット基盤の構築を行い、2027年には横浜市日吉エリアでロボット付き住宅の実証住宅を着工、デモ公開する予定。2028年からMW bot搭載住宅の販売開始、2029年以降は年間数百棟の量産化や海外展開を目指す。
MW bot搭載住宅の価格帯は2~4億円のレンジで販売を見込んでおり、主要ターゲットは広さや質を求める都心マンション居住者と海外からの移住者。
「MW bot導入初期は高価格帯の現行レンジで富裕層から開始しますが、2035年には万単位の棟数の提供を目指し、都心マンションの平均レンジに収まる価格帯を目指していて、段階的な価格最適化のロードマップを議論中です。
集合住宅に関しては、資本、開発力が必要なため、単独ではなく大手デベロッパーと協業の展開を計画しており、2029年以降に協業を加速させたいと考えています」(成田CEO)
【AJの読み】普段は天井に隠れてひっそりと家事をこなしてくれる奥ゆかしいロボット
起きたままのベッドをベッドメイクしてくれる、帰宅後に買い物した食材を冷蔵庫にしまってくれる、夕食後にテーブルに残っていた食器を洗って食器棚に収納してくれる、洗濯物が終わればたたんでおいてくれる。このような日常の家事をさりげなく支援してくれる住宅が「MW Living Home」だ。
テスラの「オプティマス」のように、海外では家事支援ロボットとして人型ロボットも登場しているが、MWでは人型にせず、天井走行型のガントリーロボットにした理由として日本の住宅事情を挙げている。人間の大きさと変わらない人型ロボットが、50~60m²の日本の住宅にいるとかなりの圧迫感があり、住人との接触事故などのリスクも高い。
夜中にキッチンに飲み物を取りに来た時、人と同じ大きさのロボットが暗闇でわさわさと動いていたらびっくりしてしまうだろう。
「MW bot」は普段は天井にある「巣」に収納されており、必要な時に現れて家事をする。人の半分のスピードでゆっくりと慎重に。人がいないときにひっそりと家事をこなしてくれる“奥ゆかしさ”が、日本の住環境にマッチしていて、これならロボットと共生できると感じさせてくれる。
取材・文/阿部純子




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