スマホやパソコンで情報を集めることが当たり前になった昨今、被災時の備えとしてもモバイルバッテリーやポータブル電源の重要性が増している。令和の防災感覚はどんどん進化しているが、そんな時代にあえて注目したいのが「マッチ」だ。
でも、なぜマッチなのか。電池も充電も必要なく、構造も単純。しかも、湿気を防げば100年後も使うことができる。実は長期保存に耐えるローテク防災用品として、現在、見直されはじめているのだ。
災害を見据えて暮らしの中に‶火を備える〟という習慣を
先述のとおり、現代生活で最も困るのが停電だ。さらに、ガスが止まると食材の調理も難しくなる。何もないところから火を起こすのは大変だ。そこでライフラインから切り離した火種として、マッチの存在感が増しているのだ。
最近は防災にフェーズフリーの考え方が浸透してきて、アウトドア用品を準備する人も多いが、ガスバーナーにしても着火用の火種がないと使えない。
マッチが再評価される最大の理由
着火のための火種ならば、ライターがあればいいと思うかもしれない。確かにライターは便利だが、燃料が必要で着火機構を持っている。ガスなどの燃料がなくなったり、着火機構が壊れたりすると使えなくなる。
また稀な話だが、ガスが抜けてしまったり、電子ライターはバッテリーが劣化したりするため、数年で使えなくなることもある。
その点、マッチは燃える薬剤が付いた木軸に摩擦による着火という極めて単純な構造。パーツの破損や電気系統のトラブルで、いざという時に使えないというリスクがないのだ。
スマホにモバイルバッテリー、LEDライト、そしてライターを持ったうえで、究極のバックアップとして、マッチやローソクを緊急避難袋に入れておくのがベターだろう。
最大の注意点は保存方法
マッチは基本的に乾燥した固体の化学物質を組み合わせたものなので、適切な環境なら非常に長期間その状態を維持できるが、当然、弱点がある。湿気と水気だ。
だから、防水や防湿が考えられた密閉容器に入れられたものを選び、さらにジップロックなどに入れて、緊急避難袋に準備するのがオススメだ。
そこでマッチの製造元でもある1910年創業の株式会社ナカムラ(兵庫県神戸市)の製品の中から、長期保存に向き、パッケージデザインもきれいなマッチをセレクトした。
ナカムラ『ポケット缶マッチ・ピース印』539円
PP製の袋に封入しているので、開封するまで湿気ることがない。スライド式スチールケースに入っているので、開封後の湿気対策も施されている。
ナカムラ『レトロラベル缶マッチ・猫003』 539円
明治、大正頃のマッチラベル、古燐票を再現した缶マッチ。フタはフィルムで封印されているので湿気が入りにくい。マッチを擦るための側薬はフタの裏にある。
ナカムラ『防災用缶マッチ』各660円
完全に密閉された缶入りマッチ。中にはマッチ2箱とローソク2個が入っている。阪神淡路大震災の教訓を生かして企画された。
令和の災害対策はハイテクとローテクの組み合わせだ。マッチはライターと併せて持っておいたほうが安心できる。ただ、災害時だからこそ、どちらも使うにも取り扱いに注意が必要だ。
地震直後やガス漏れの可能性がある場所、燃えやすいものが多い室内や屋外などで安易に火を使わないこと。安全が確認できる場所だけで、必要な時だけ使う道具だと考えておこう。
文/松尾直俊
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