災害への備えは、季節によって求められるものが変わる。とりわけ近年の猛暑では、大地震に停電が重なった場合、エアコンが使えない環境で命を守れるかという新しい課題が生まれている。
安全靴や作業着等を販売する通販サイト「ミドリ安全.com」はこのほど、Z世代からシニア世代までの熊本県を除く全国の男女1,000名を対象に、大地震と停電が重なった場合を想定した猛暑下の避難への備えと、防災における生成AI活用に関する調査を実施し、その結果を発表した。
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真夏の停電への対応、9割が「決めていない」。備えも4人に1人が「特にない」
真夏に停電が起き、エアコンが使えなくなったときにどのように対応するか決めているかを聞いたところ、「具体的に決めている(何をするか・どこへ行くかまで)」はわずか9.5%にとどまった。
「なんとなく考えたことはあるが、決めてはいない」(40.5%)、「考えたことがない」(41.7%)に「わからない」(8.3%)を加えた計90.5%が、対応を決めていなかった。この傾向は世代を問わず共通で、いずれの世代でも85%を超え、最も高いジェネレーションXでは95.6%にのぼる。
自宅にある真夏の停電への備えを聞いたところ、多い順に「飲料水の備蓄(3日分以上)」(38.7%)、「スマホ用のモバイルバッテリー」(29.0%)、「携帯トイレ・簡易トイレ」(25.4%)、「乾電池式・充電式の扇風機/ハンディファン」(23.8%)で、停電時の電源確保に使える「大容量バッテリー(ポータブル電源)」は11.6%にとどまった。
「特にない」も24.8%と4人に1人を占めている。真夏に大地震と停電が起きた場合に「適切に対応できる自信がある」と答えた人も20.7%にとどまった。
「避難所の暑さ」が避難をためらう要因の2位に。シニア世代は過半数
災害時に避難所へ行くことをためらわせる要因を聞いたところ、1位は「プライバシーや安全面の懸念」(48.6%)となった。今年新設した選択肢「夏の暑さ・冷房がないことへの不安」は44.6%を集め、既存項目の「知らない人との共同生活への不安」(43.0%)を上回る2位となった。
「夏の暑さ・冷房がないことへの不安」を選んだ割合は、Z世代32.4%、ミレニアル世代42.4%、ジェネレーションX 49.2%、シニア世代54.4%と、年齢が上がるほど高くなった。同じく女性(49.2%)は男性(40.0%)より9.2ポイント高い結果となった。
実際、真夏に避難が必要になった場合、冷房のない体育館などの避難所で夜を過ごせる自信を聞いたところ、「あまり自信がない」「全く自信がない」が合わせて69.7%にのぼり、「過ごせる自信がある」は3.6%にとどまった。
避難所体育館等の冷房設置率約3割、6割が実態を知らず
文部科学省の調査(令和8年5月1日現在)によると、災害時に避難所となる公立小中学校の体育館等のうち、冷房(空調)が設置されているのは33.1%にとどまる。
そこで、この設置率がどのくらいだと思うかを「約3割」「約5割」「約7割」「約9割以上」「わからない」の5択で聞いたところ、実態に近い「約3割」と答えられたのは39.6%となった。30.0%は「約5割」以上と実態より高く見積もり、30.4%は「わからない」と回答。あわせて約6割が、避難所となる体育館等の冷房設置率を正しく認識していない結果となった。世代別の正答はZ世代30.8%、シニア世代48.4%だった。
※実態は33.1%(文部科学省調べ・避難所に指定されている公立小中学校の体育館等・令和8年5月1日現在)
停電が続いた場合の行き先は「自宅」が最多32.9%。Z世代は4人に1人が「わからない」
真夏に大きな地震が起きて停電が続いた場合にどこで過ごすと思うかを聞いたところ、最も多いのは「停電した自宅にとどまる」が32.9%で、「指定避難所」が20.1%、「わからない」が16.9%と続いた。また、「自家用車の中(車中泊)」も14.5%と、7人に1人にのぼった。「わからない」はZ世代では26.0%と4人に1人にのぼり、シニア世代(5.6%)の4.6倍で、若い世代ほど高い結果となった。
7人に1人が選んだ車中泊には、エコノミークラス症候群などの健康リスクが指摘されており、選ぶ場合もこまめな水分補給と足を動かすことが欠かせない。
なお、本調査で車中泊を聞いたのは、大きな地震で停電が続く場合についてだ。豪雨や浸水のおそれがある状況では車内での被災の危険が指摘されており、冠水のおそれがあるときは車を離れ、早めの避難を最優先していただきたい。
ペットと真夏の避難。飼育者は21.0%が車中泊を想定、飼っていない人の約1.8倍
ペットを飼っている人では、停電が続いた場合の過ごし方として「自家用車の中(車中泊)」を想定する人が21.0%と、飼っていない人(11.9%)の約1.8倍にのぼった。車中泊を想定する人の側から見ても、ペット飼育率は41.4%と全体(28.6%)を大きく上回る。避難所へ行くことをためらう要因でも、飼育者の38.1%が「家族の世話(子供・高齢者・ペットなど)が難しくなること」を挙げ、飼っていない人(9.7%)の約4倍となった。
停電でエアコンが使えない熱帯夜に、何をきっかけに自宅を離れると思うかを聞いたところ、飼育者では「ペットの体調変化が出たとき」を選んだ人が12.2%あった。
また、避難所にペットを連れた人が避難してくることについての考えを聞いたところ、「同じ室内で一緒に過ごすことも受け入れられる」は全体の21.3%、「別室や屋外など場所が分かれていれば受け入れられる」は25.3%で、受け入れに前向きな人は半数に届かない。使ってみたいAI防災サービスとしては、「ペットの種類や住まいに合わせて、暑さ対策や避難の準備をAIがアドバイスしてくれる」を選んだ飼育者が26.6%と4人に1人にのぼった。
防災グッズ選び、Z世代の約4割が「AIに相談」。1割超は実際に購入まで
防災の備えや防災グッズ選びについて生成AIを使ったことがあるかを聞いたところ、質問・相談して実際に防災グッズを購入した人は6.9%、相談したが購入までは至っていない人は14.8%で、あわせて21.7%が防災でAIを使った経験を持っていた。
世代別ではZ世代39.2%、ミレニアル世代26.0%、ジェネレーションX 12.4%、シニア世代9.2%と若い世代ほど高く、Z世代では購入まで至った人も13.2%と1割を超えた。
一方で、生成AIを使った防災サービスや機能を「利用したい」(積極的に+ある程度)は38.0%となった。具体的なサービス像を7つ示して聞くと、7つの中では「災害の最中に、いまの状況を話すと、取るべき行動をその場でAIが教えてくれる」が24.1%で最も多く、季節に合わせた防災リュックの見直しの提案(18.9%)、家族の安否確認・連絡の取りまとめ(17.6%)が続いた。
一方、「特に使いたいものはない」は37.2%。災害時にAIが提供する情報を「信頼できる」は28.1%にとどまり、昨年調査(利用意向45.0%・信頼37.7%)より低い水準だ。
※昨年調査との比較は、モニター・調査票の構成を変更しているため、いずれも参考値。
AIフェイクへの「心配」はシニア世代、「信じてしまった経験」はZ世代に多い
災害時に生成AIが作り出すフェイクニュース(偽の災害映像、架空の被害情報など)への心配を聞いたところ、「とても心配している」「やや心配している」の合計はシニア世代68.0%、ジェネレーションX 56.8%、ミレニアル世代50.8%、Z世代42.8%と、年齢が上がるほど高くなった。
一方、フェイクニュースを一時的でも信じてしまった経験があるのはZ世代47.6%、ミレニアル世代38.0%、ジェネレーションX 28.0%、シニア世代20.4%と、心配とは逆に若い世代ほど高くなった。
災害時にSNSで情報を得る人はZ世代63.6%に対し、シニア世代は25.2%とZ世代の4割程度にとどまる。なお、だまされたことに気づかないまま信じているケースはこの数字に表れないため、上の世代の被害が実際に少ないと言い切ることはできない。
フェイクの見分け方などのメディアリテラシー教育を受けた経験は、Z世代30.8%に対しシニア世代4.4%と7.0倍の開きがあった。一方で「だまされない自信がある」と答えたZ世代(該当者88名)でも、その約半数(47.7%)にはすでに信じてしまった経験があった。
フェイクニュースを信じた経験の設問は、2022年から毎年聞いている定点項目だ。今年は全体33.5%、Z世代47.6%で、昨年調査の全体36.8%、Z世代58.4%をいずれも下回った。
災害時の情報取得は「テレビ」(59.1%)、「ヤフーニュースなどのポータルサイト」(47.1%が上位で、最も信頼できるメディアも「テレビ」(46.9%・有効回答909名)が最多となった。昨年調査と比べるとテレビ・ポータルが高く、Xが低い水準となった。Z世代では今年も「X」(42.0%)が「テレビ」(30.0%)を上回って首位となった。
※昨年調査との比較は、モニター・調査票の構成を変更しているため、いずれも参考値。
調査結果まとめ
今回の調査から、これからの防災に向けた3つのポイントが浮かび上がった。
●ポイント1:大きな課題は「真夏の暑さ」と「停電」
・真夏の停電への対応は、約9割が具体的に決めていない。
・避難をためらう要因の2位が「避難所の暑さ」。熱中症リスクの高いシニア世代ほど顕著だ。
・「冷房のある体育館等は約3割」という実態を、約6割が正しく認識できていない。
・ペット飼育者では、車中泊を想定する割合(21.0%)や「家族の世話が難しくなる」を避難のためらいに挙げる割合(38.1%)が高く、在宅・避難所・車中泊のいずれでも暑さ対策の備えの重要性が示された。
●ポイント2:世代ごとに異なる「強み」と「弱み」
・シニア世代は避難所の実態把握(正答48.4%)で最も高く、停電が続いた場合の行き先も40.8%が「自宅」と答えた一方、暑さを理由に過半数が避難をためらっている。
・Z世代は防災グッズ選びでAIに相談した経験が39.2%と4世代で最も高い一方、避難先について「わからない」と回答した人が4人に1人となった。
・偽情報への心配は上の世代ほど高く、信じてしまった経験は若い世代ほど多く、世代によって意識と経験に差がみられた。
●ポイント3:防災AIは「期待」から「使い分け」へ
・若い世代を中心に備えの相談にAIを使う経験が広がる一方、利用意向38.0%に対して、信頼できるとする割合は28.1%にとどまり、利用への関心と信頼の間には差がみられる。
・「平時の備えの相談はAIに、災害時の情報は公式発表やマスメディアで」という使い分けは、これからの防災における一つの有効な考え方になる可能性がある。
<調査概要>
有効回答数:熊本県を除く全国の18~79歳の男女1,000名(年齢ごとに大きく下記4つの世代に分け、男女ごとに均等割付)
●Z世代(18歳~29歳):250名(男性125名/女性125名)
●ミレニアル世代(30歳~45歳):250名(男性125名/女性125名)
●ジェネレーションX(46歳~61歳):250名(男性125名/女性125名)
●シニア(62歳~79歳):250名(男性125名/女性125名)
※調査時の年齢を基準とする
※令和8年熊本地震(2026年7月)の影響により、熊本県は調査対象から除外している
調査期間:2026年8月7日~2026年8月10日
調査方法:インターネットリサーチ
出典元:ミドリ安全.com
構成/こじへい
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