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静電気から髪を守る「静電気オフプロジェクト」が始動!業界を超えて12の企業とブランドがタッグを組んだ理由

2026.09.16

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

静電気ダメージの象徴である「髪」の心地よさを守ることをテーマに掲げた「静電気オフプロジェクト」が発足した。美容、家電、日用品、気象情報など、業界の垣根を超えた12の企業とブランドが参画し、髪と静電気に関する情報や対策方法を発信、季節や生活環境に応じて髪との向き合い方を提案する。

静電気に加え1日に約520回の無意識のヘアタッチが髪のダメージを増長

静電気オフプロジェクトは、毛髪診断士の齊藤あき氏を理事長に迎え「静電気から、髪の心地よさを守る。」をビジョンに掲げる啓発プロジェクト。静電気と摩擦に着目した調査、情報発信や「静電気オフ美容」の提案、習慣化を目指す。

「カラーや熱による髪のダメージは広く認知されている一方、日常生活における髪の摩擦と静電気ダメージは見過ごされてきました。気候、住環境、衣類摩擦など生活環境全体を通じて対策が必要と考え、業界横断で『静電気オフプロジェクト』を発足しました」(シャープ株式会社 花房浩章氏)

静電気オフプロジェクトでは「無意識ヘアタッチに関する実態調査」を実施。20代~50代の男女を対象にモニタリングを行ったところ、30分で平均16.2回、16時間換算で平均518.4回も髪に触れることがわかった。

「静電気制御の専門家である平林純先生にご協力いただき検証したところ、1回のヘアタッチによる摩擦は約0.5ニューロンの力で、1日でタオルこすり約520往復分、消しゴムで約120往復こすることに相当する摩擦が髪に加わることがわかりました。

また、冬の乾燥環境で髪をクシでとかすと、頭髪全体で約0.65マイクロクーロンの静電気が発生します。これは冬にドアノブに触れてバチッと痛みが走る放電と同じ量です。髪は推定で数千ボルト級に帯電し、電気的な影響で毛先が最大45度も扇状に広がってしまうことが実験でも確認されました。年間で発生する静電気の実に7割から9割以上が、これからの季節の11月から3月に集中します。

平林先生によると、異なる物質が触れ合い、こすれ合うと静電気が発生するのは物理学の基本原則で、乾燥する季節は、髪は帯電して互いに反発し大きく広がります。その広がった髪を抑えようと、無意識に髪に触れることで、指や髪同士の摩擦が増大し、キューティクルの乱れ、引いては枝毛、切れ毛といった物理的なダメージにつながってしまうそうです。

静電気を抑え、摩擦を起こさせないケアが極めて重要ですが、7割以上の生活者がヘアタッチのダメージを認識していないとわかり、静電気対策意識している人はわずか12%と、生活者の間では完全に見過ごされてきました。

1日520回の無意識のヘアタッチを“触るな”と我慢させるのは難しい。本プロジェクトでは、悪循環を根本から断ち切る新しい習慣として『静電気オフ美容』を提唱します。発生した静電気を逃がす除電と、髪をしっかり保湿・保護して摩擦を防ぐ、この2つのアプローチを組み合わせることで、乾燥する冬でもストレスなく、心地よい髪を守る環境を目指します」(齊藤氏)

天気予報で「西高東低の冬型気圧配置」「冷たい北風」「強い寒気」が出たら乾燥に注意

お天気キャスターの森田正光氏が創立した「ウェザーマップ」所属の気象予報士・舩橋沙貴氏が、2026年秋冬の気象見通しについて解説した。

日本の都市の相対湿度は長期的に低下傾向にあり、大都市ほどその傾向が顕著になっている。気象庁によると霧の観測日数はこの100年で東京が55日、京都が101日減っており、湿度の低下により、昔よりも乾燥しやすい環境で生活している。

「2026年冬はエルニーニョ現象が継続しています。一般的にエルニーニョが発生している冬は、冬型の気圧配置が弱くなるため暖冬で、関東を含む東日本の太平洋側では雪や雨の降水量が多くなる傾向があります。

雨や雪が降り、気温も高いのなら、乾燥や静電気はあまり気にしなくていいのではと思ってしまいますが、実は暖冬と寒波は両立するのです。

暖冬は、あくまでこの冬全体の傾向として見た時にいつもよりも気温が高いということで、毎日暖かいわけではありません。タイミングによって、非常に強い寒気が流れ込み厳しい寒さや大雪が今年の冬も考えられます。つまり暖冬でも寒波は来るということです。寒波が来れば、もちろん乾燥にも注意が必要になっていきます。

前回エルニーニョ現象が発生したのが2023年から2024年の冬でしたが、東京では1月に15日連続で最小湿度が40%以下になった期間がありました。静電気に注意したい乾燥した状態が長く続いたことが過去にあったわけで、エルニーニョだから暖冬で乾燥しないということではありません。

冬の天気予報で頻繁に出てくる『西高東低冬型の気圧配置』になった時は、日本海側は雨や雪、太平洋側は関東も含めてカラッカラに晴れる傾向があります。

西高東低冬型の気圧配置に加えて、冷たい北風、強い寒気といったキーワードが出てきたら、乾燥や静電気に注意が必要だと思ってください。今年は暖冬という言葉に引っ張られず、突然やってくる寒さや乾燥にぜひ対策をしていただければと思います」(舩橋氏)

静電気と摩擦から髪を守る業界横断のプロジェクトが始動

「静電気オフプロジェクト」の参画企業は、ウェザーマップ、貝印、シャープの3社、参画ブランドはWonjungyo(Rainmakers)、ケープ(花王)、THERATIS(ヴィークレア)、T/ME U(マンダム)、ディアボーテHIMAWARI(クラシエ)、ハミング(花王)、マー&ミー ラッテ(クラシエ)、La Sana(ヤマサキ)、LUCIDO-L(マンダム)の9ブランド。発表会では各社の担当者が登壇し、該当商品が展示された。

クラシエ株式会社の綿引志帆氏は、ヘアケア商品開発の立場から、静電気ケアの重要性を話し、年齢による髪質の変化や、子どもの細い髪は特に静電気の影響を受けやすいと指摘。日々のヘアアイロン使用などが静電気を助長し、さらなるダメージにつながる「負のサイクル」が存在すると話した。

シャープ株式会社の末廣和弥氏は、家電メーカーの視点から、エアコンの普及による室内の乾燥問題を指摘。プラズマクラスター技術を用いた「ドレープフロードライヤー」のデモンストレーションを行い、発生してしまった静電気を物理的に取り除く「除電」のアプローチの有効性を示した。

株式会社ヤマサキの山上陽市郎氏は、アウトバスケア製品を開発している企業として、保湿による「予防」の重要性を説いた。髪は自己修復能力がないため、アウトバストリートメントで内部の水分を保持し、髪表面を滑りやすくする日々のケアが不可欠であると話した。

株式会社マンダムの根岸紗英氏は、ヘアケアブランドの立場から、静電気は多くの人が原因に気づいていない、または諦めている悩みであると指摘。この課題に対しては、一社だけでなく業界を越えた多様な専門家と共にメッセージを発信することが有効であると考え、プロジェクトに参画した経緯を説明した。

Wonjungyo(ウォンジョンヨ)ブランドを扱う株式会社Rainmakersの三宅美佑氏は、韓国コスメブランドの視点から、日本以上に乾燥が厳しい韓国でのヘアケアトレンドを紹介。ツヤと軽やかさが特徴の「ガラスヘア」を実現するためのポイントとして、「保水ケア」と「スカルプケア」を挙げ、その具体的な方法を解説した。

静電気を抑えるヘアブラシなどの開発に取り組んできた貝印株式会社は、毎日のブラッシングから静電気による見えないストレスをなくし、健やかな髪を保つための習慣づくりに貢献したいとの思いで本プロジェクトに参画したという。

【AJの読み】「除電ケア」「予防ケア」で静電気と摩擦から髪を守る

髪のダメージといえば、カラーリング、ドライヤーやヘアアイロンの熱が原因だと思っていたが、静電気と摩擦によるダメージもあると改めて知った。

冬の乾燥時期に髪の広がりやパサつきの原因となる静電気に着目した、除電と予防の2つのアプローチ「静電気オフ美容」は、これからの季節に意識したいケア方法だ。

現段階で「静電気オフプロジェクト」に参画したのは12の企業とブランドで、今後はSNSを通じたイベントだけでなく、企業間連携をさらに深めて多角的な活動を模索中とのこと。

また、静電気の課題は大きく、解決には多くの協力が必要だと考えており、賛同する企業があれば、積極的に参加を歓迎したいという。

取材・文/阿部純子

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