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なぜ、青島はモッズコートを着ていたのか?『踊る大捜査線』の刑事たちがコートを着ている理由

2026.09.15

1997年1月、火曜夜9時枠で放送が始まった刑事ドラマ『踊る大捜査線』(フジテレビ系)。連続ドラマ終了後はスペシャル版やスピンオフ、配信ドラマなどが作られ、1998年からは劇場版の公開が始まり、今年は青島俊作(織田裕二)が主人公となる最新作『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』が公開される。“踊る”の愛称で親しまれる、約30年続く人気シリーズだ。

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“踊る”の生みの親、亀山プロデューサーが決めた「ドラマの枷」

“踊る”の生みの親のひとりで、最新作までプロデュースしているのが、プロデューサーの亀山千広さんだ。

亀山さんは自身がプロデュースする作品では、自分の中で「これはしない」という枷を決めるのだという。例えば亀山さんがプロデュースしたドラマ『ロングバケーション』では「『好き』というセリフが一回も出てこなくても恋愛ドラマは成立するのか?」という枷をかけたそうだ。

“踊る”の枷とは?

そして『踊る大捜査線』では「『太陽にほえろ!』でやったことは全部やらない」と決めたという。「刑事をあだ名で呼ばない」こと、「部長の席の周りで捜査会議はやらない。やるなら捜査会議をちゃんとやる」こと、そして刑事の重要な仕事である聞き込みや張り込みの場面には「音楽を乗せて心情的に描かない」こと、さらに取り調べでは「それ、わかるよ」などと犯人に感情移入をせず、「警察は捕まえるだけ、裁くのは裁判所である」といったことを取り決め、監督や脚本家、スタッフ、出演者らと共有して制作された(ちなみに連続ドラマの第1話、模擬取り締まりの場で青島は被疑者役相手に強引な取り調べを行い、さらにはカツ丼を勧めるなど「刑事ドラマの見過ぎ」な行動をしている)。

亀山さんはドラマの内容を考える際、雑誌のグラビアページを壁に貼り、様々な服をまとった俳優たちを眺めながら「どんなイメージで行くか」を思案していたという。しかし“踊る”ではほとんどのキャラクターが似た色のスーツか制服姿のため、困ってしまったそうだ。

青島のコート

そこで連続ドラマの放送時期が冬だったことから考え出したのが「コートで特徴を作る」という手法だった。まず青島のカーキ色のモッズコートが決まり、そこから各キャラクターに合ったタイプのコートを着せていったという。ドラマ放送当時、モッズコートは若者たちに大人気となり、売り切れが続出したほどだ。しかもその余波は制作側にも及ぶ。

写真は「THE MOVIE 2」着用時のもの

映画第一弾『踊る大捜査線 THE MOVIE』で青島が犯人に刺される場面があり、コートに血糊がついたために洗濯をしたら布が白くなってしまい、以後の作品で使うことができなくなってしまった。しかし新品を調達しようにも売り切れていたため、新しく衣装として作られたのだという。

対照的な室井のコート

またコートを身にまとうことから、亀山さん曰く“踊る”には基本的に「夏がない」のだそうだ。春の4月が舞台の1998年放送のスペシャルドラマ『初夏の交通安全SP』(内田有紀主演)では、ドラマの最後にロサンゼルス出張から帰ってきた青島が出てくるが、エルニーニョで寒かったからとコートを着用している。その青島がお土産として持っていたテンガロンハットは、当時放送中だったドラマ『恋はあせらず』(織田や香取慎吾、鈴木杏樹らが出演)で使っていたものであり、亀山さんは「そういう小洒落たことをやってたんですよ」と笑っていた。

「“踊る”は長くやってて、ライフワークみたいなところもある」と話していた亀山さんだが、ここまでの長期シリーズに育つとは「思ってないです。とんでもない。全く思ってないです。連ドラやってるときに映画になるとも思ってないですから」と言っていた。

それだけに、新作に取り掛かる際は初めて“踊る”を見る人にわかりやすく作るのはもちろんのこと、必ず過去作に戻り、ストーリーや設定、登場した人物や小道具などに至るまで「重箱の隅から拾ってきたもの」「スタッフが遊びでやったこと」を探して入れ込み、連ドラからのファンも楽しめるよう作っているそうだ。そんな細部への愛こそ、“踊る”が長年愛されるシリーズとなった理由だろう。

脱サラして警察官となった青島(連続ドラマでは「都知事と同じ名前」と、当時東京都知事だった青島幸男になぞらえて自己紹介している)は、最新作で警視庁捜査一課の刑事へと出世している。青島はどんな刑事になったのか、また色とりどりのコートを身にまとっていた面々はその後どんな人生を歩んでいるのか、そして“踊る”らしい思わずニヤリとする軽妙な展開や小ネタはあるのか、ぜひ映画館で楽しみに拝見したい。

文/成田全(ナリタタモツ)

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出世より現場。慣例より行動。根回しより正義感。当時、多くの共感を集めた青島俊作の姿は、今見ても驚くほど新しい。

そして2026年、あの青島が帰ってくる!創刊40周年、彼と同じ時代を生きてきたDIMEでは、世代を超えて愛される『踊る大捜査線』シリーズの軌跡を総力取材。令和のビジネスパーソンに再び熱をもたらすヒーローの姿とは? 踊る旋風を見逃すな!

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