拡大を続けているリカバリーウェア市場の中でも、店頭に並ぶとすぐに完売してしまうほどの人気になっているのが、「ワークマン」のリカバリーウェア『メディヒール』だ。すでに大人気のシリーズに、上位モデルが登場した。一体どのようなアイテムなのか、新製品発表会で、担当者に話を聞いた。
新製品を続々投入しリカバリーウェアのトップに
2025年の秋からリカバリーウェアに本格参入した「ワークマン」は、手にとりやすい価格ということもあり、品薄状態が続き、翌年の春には、約7倍にまで増やしたにも関わらず、またもや品薄に。そこで、今シーズンは、3400万枚の販売を行うべく、生産体制や備蓄倉庫も整えたという。
「ワークマンの売り上げの2割がメディヒールです。これからは、ただの疲労回復ではなく、リカバリーウェアの第2章だと考えています。」(土屋さん)
パジャマやルームウェア、小物といったリラックス系のみならず、ビジネスシーンでもリカバリーできるようにと、作業服やジャケットスーツというアクティブ系のウェアも新登場。日中に着用するインナーはあっても、アウターでのリカバリーウェアは、日本初となる。仕事中も、眠るときも、すべての時間に対応できるようにアイテムがラインアップされた。
そして、今回特筆すべきは、なんといってもNASAに向けて開発された「アウトラスト(R)」の温度調節技術を搭載した最上位クラスのルームウェア「メディヒール コスモス」だ。温度調節のほか、20回の寝返りでも着圧のストレスがかからないように、デザインされている。
NASAの技術を採用したということで、新たにアンバサダーに就任したのは、野口聡一さん。スペースシャトル、ソユーズ、クルードラゴンと3つの異なる宇宙船に搭乗・帰還したのは、野口さんが世界初。「ワークマン」も世の中にない機能性商品や新素材の開発に挑戦し続けていることから、野口さんにアンバサダーをお願いするに至ったそうだ。
「宇宙では、船外には空気はないし、激しい温度変化があります。宇宙服が、その調整をしてくれています。船内にいてもなにか異常があると環境が変わるため、常に変化に備えています。アウトラストは、NASAにいるときに使っていましたが、リカバリーウェアに使うのは、すごいです。英断だったと思います。」(野口さん)
宇宙滞在の経験者のお墨付きをもらい、コスモスという名前にぴったりの新シリーズだ。
大人気のメディヒールをさらにアップデートした理由とは
『メディヒール』のアイテムの種類を増やすのは、さまざまなシーンでリカバリーしたいという人の声に応えられるからだが、『メディヒール コスモス』には、生地自体の開発が必要になる。すでに売れているため、増産体制を強化すればいいのではないかと、製品開発部の半田さんに話を聞いた。
「安かろう・悪かろうじゃないですが、安いから効果がいまいちというイメージを持たれているというのがあります。他社のものは、高級感のあるものもありますし、プラセボ効果の逆パターンのような感じでしょうか。まあ、高いものを買うと効果があると信じたいということもありますよね。
ただ、ワークマンで使用している生地は、きちんと血流検査を行って、血行が促進されることが証明された一般医療機器なので、機能は同じです。それを伝えるためにも、メディヒール コスモスを開発しました。」(半田さん)
血行は、人それぞれで比べられないため、リカバリーなど、体にいいと伝えられるものを、海外を含め、多くの展示会を周り、ようやく巡り合ったのが、「アウトラスト」だったそう。
実は、リカバリーウェアは、血行を促進することから、「ぽかぽかする」「ちょっと暑い」という意見があったことから、それらの声の解決策として、温度調整が叶うアウトラストの採用を決めたという。とはいえ、NASAが採用する高級素材。大量発注することで、コストを最小限に抑えるなど、企業努力も行っている。
リカバリーウェアは、遠赤外線の血行促進作用により、疲労や肩こりなどを改善することを目的とした衣類のため、ぽかぽかするのは当たり前だと感じていたが、それで暑くならないようにするという、相反する効果がアウトラストを採用することによって可能になるというから、不思議でたまらない。お互いの効果が減少してしまうことはないのだろうか。
「アウトラストは、マイクロカプセルの状態で生地に含ませてあり、体温の急激な変化をもとに戻す性質があります。暑くなると、そのカプセルが余分な熱を吸収して、寒くなったときは、熱を放出します。」(半田さん)
しかも、このマイクロカプセルは、26度くらいで溶けたり、固まったりするため、着用中は、快適な温度が保たれることになる。
「実は、血行がよくなることで、表面がぽかぽか感じるだけで、深部体温は上がっていないんです。深部体温は、脇の下や舌下で測るとわかります。そのため、睡眠に悪影響はありませんが、表面温度が上がっていると感じていた人は、メディヒール コスモスで、改善されると思います。」(半田さん)
エアコンを26度設定にして眠ると、寝入りは快適でも、朝は、寒いと感じることもあるが、『メディヒール コスモス』なら、朝も快適だという。
デザインや縫製にもこだわりが
アウトラストの採用が決まったものの、実は、リカバリーウェアに採用するのは、世界初ということで、生地の完成までには、さまざまな試行錯誤があったという。
「数億個のカプセルが生地に入っているのですが、カプセルの量が多いと、だまになって生地に入らなかったり、加工するときの温度で生地が変色したりしました。アウトラスト・テクノロジーズ社は、ドイツにあるのですが、技術者に来てもらって改良して、ようやくできあがりました。」(半田さん)
材料のアウトラストは、船便で輸送するため、工場に届くまで約1か月かかるという。ということは、また、すぐ品薄になってしまうのではと心配になったが、来夏分まで、材料はそろえているため、繰り上げての生産も可能だという。ひと安心。
「メディヒールコスモスは、メディヒールのフラッグシップの商品です。従来品と生地自体も変え、縫い目が気にならないフラットシーマを採用しました。」(半田さん)
袖口や足元のリブをなくし、温度を調節しやすいデザイン。また、ラグラン袖にすることで、多くの体型にフィットしやすいデザインになっている。素材自体に、少し厚みがあり、さらりとした肌触りだ。体のラインを拾いすぎないため、高級感もあり、ワンマイルウェアとして外出もできる。
筆者は、予約スタートのメルマガが届いたときに予約していたため、発表会前に入手し、すでに着用中で、近所のスーパーなどにも出かけている。リブがなく、膝が出にくいため、これはリピート決定。
リカバリーウェアの効果実感は個人差が大きい。「メディヒール コスモス」は、フラッグシップで価格がアップしたとはいえ、上下それぞれが2,900円というお手頃価格で試しやすい。
「信じて、継続的に着て欲しいです。例えば、食事をバランスよく食べると健康的になることは知られていますが、いきなりは、実感できないですよね。リカバリーウェアも、いきなり劇的な効果は実感できないと思いますが、長期的に続けることでリカバリーできます。」(半田さん)
小物などを含めると、60アイテムにも及ぶメディヒール。『メディヒール コスモス』は、長袖クルーネックとロングパンツのほか、敷パッドシングルサイズと掛布団の4種類。以前から愛用していた人にとっては、急に価格が上がったイメージもあるかもしれないが、リカバリーウェアの市場を見てみると、まだまだ手にとりやすい価格帯だ。日中と夜の寒暖差が大きいこれからの季節、より快適さが実感できるのではないかと、愛用しながらわくわくしている。
取材・文/林ゆり
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