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王者アルファードを迎え撃つ!日産の4代目「エルグランド」が手に入れた圧巻の進化

2026.09.16

いよいよ3代目からおよそ16年ぶりに4代目の新型となった日産のハイエンドLLクラスミニバンのエルグランド。すでに2025年のJMS(ジャパンモビリティショー)でプロトタイプが公開され、注目を集めているが、今回、新型エルグランドG e-4ORCEを公道で触れ、試乗する機会を得た。用意されるグレードの基本はベースグレードのX、上級のG、そして贅を尽くしたVIPの3タイプとなる(全車2-2-3席の7人乗り)。

ここでは改めて新型エルグランドの詳細概要を紹介したい。何しろ、走り出す前に確認すべき項目が多数あるからだ。

新型エルグランドの商品コンセプトは「LIMITLESS GRAND TOURER」だ。つまり、遠出を楽しむプレミアムツーリングミニバンということ。2WDの設定がなく、e-4ORCE、つまり前後2つの高出力モーターとブレーキの統合制御により、駆動力を自在にコントロールする電動駆動4輪制御システムのみを搭載することからも、雪道でさえ+20km/hで走っても怖くないグランドツアラーを目指していることが分かる。一般的にも、2WDより高速走行を主体とした走りには4WDが安定感を含め、有利だからである。

「組子」グリルで存在感一新! 堂々たる体躯を手に入れたエクステリア

威風堂々のボディサイズは全長4995×全幅1895×全高1975(プロパイロット2.0装着車/非装着車は1965mm)、ホイールベース3000mm。車重はベースグレードのXが2430kg、上級のGが2440kgに達する。エクステリアで特筆すべきはフロントグリル。日本の伝統工芸である「組子」をモチーフとし、シャープでモダンな、威厳と先進性、高級感を高次元で融合させた斬新とも言える、どんなミニバンにも似ていない新型エルグランドならではのエクステリアデザインに仕上げている。先代の全高が150mm程度低い1815mmだったことを考えれば、ライバル(全高1935~1945mm)に対する存在感不足を解消するに十分と言っていいだろう。

乗員全員が快適に過ごせる極上の居心地、乗り心地を実現する水平基調のインテリアはプライベートラウンジのような空間として開発され、新開発プラットフォームによって3代目よりアイポイントを高めるとともに、メーター&センターディスプレイに14.3インチの統合型インターフェースを採用。シフトスイッチはリーフ同様のタッチスイッチとなっているが、盤面を黒の木目調パネル/インテグレートスイッチとしているのがリーフとの違いだ。

シートは日産自慢のゼログラビティシートを採用。しかも、助手席、キャプテンシートタイプの2列目席左右の3席にオットマンが備わり、なおかつ3席の同時使用=トリプルオットマンを可能にしているのだ。また、2列目キャプテンシートは背もたれを倒しても(最大84度)目線が前を向くデュアルリクライニング機構を採用。極上の居心地、かけ心地を実現している。新型エルグランドに2列目ベンチシートの設定はなく、つまり2-3列目席スルー(車内移動)も可能となっている。日産によれば、膝回り空間はライバルに対して最大+51mm。フラットフロアの足元幅+100mmとのこと。

また、電動オットマン、シートヒーター、シートベンチレーション(G)、パーソナルテーブルなどが完備された2列目キャプテンシート(スライドはなぜか手動)の座面は先代に対して50mm幅広く、スマホホルダーはもちろん、左右にUSB-Cポートが備わり、ここが重要なのだが、左側席は充電スピードがより速いPD(パワーデリバリー規格)60Wのポートが備わっている(USBポートは1列目席3、2列目席2、3列目席2)。

さて、かんじんの電動パワーユニットだが、新しい第三世代のe:POWER、進化したe-4ORCEで構成され、発電特化型1.5Lターボエンジン(ZR15DDTe)と、モーター・発電機・インバーター・減速機・増幅機の5つの主要部品をひとつにまとめた「5-in-1 e:POWERパワートレインユニット」を採用。3.5L V6エンジンはもはや存在しないが、新型エルグランドに搭載される第3世代のe:POWERは発電用の1.5Lターボエンジン140ps、23.2kg-mはともかく、フロントモーター205ps、33.7kg-m、リアモーター136ps、19.9kg-mと、アメリカンV8並みのトルクの持ち主だ。トルクウェイトレシオは先代の20%増しというのだから、もはや発電特化型エンジンがライバルの2.5L級に対して1.5Lだからといって引け目を感じることは一切ない。なお、WLTCモード燃費は16.8km/Lである。

静粛性でもライバル圧倒へ。電子制御サス&ノイズキャンセルの合わせ技

サスペンションは全車、シーンに応じてクルマの挙動を瞬時に最適化する、車体の揺れを抑え、落ち着いた挙動を終始、実現するF:ストラット、R:マルチリンクのインテリジェントダイナミックサスペンション、電子制御ショックアブソーバーを用いる。タイヤはヨコハマアドバンV61の235/60R18サイズのタイヤを採用する。

インテリジェントダイナミックサスペンションについて説明すると、道路のジョイントなどの小さい入力では減衰力を下げ、路面のうねりなど大きな入力に対しては減衰力を上げる制御が緻密に行なわれ、前後モーターのトルク配分制御によって加減速時の上質でフラットな乗り心地を維持することに貢献するという。

今どきのクルマに欠かせないドライブモードはパワートレイン、回生ブレーキ、ステアリング、サスペンションをそれぞれに制御するエコ、コンフォート、スタンダード、スポーツ、スノー、パーソナルを備え、中でもショーファーカーとしても相応しそうなコンフォートモードは日産のミニバン初採用。全車、電子制御サスペンション装着車だからこそ可能になったモードだと説明される。

新型エルグランドの快適性をさらに高める秘策がスムースストップ機構だ。e-4ORCEとブレーキ圧を自動で調整するスムースストップ機能によって、ブレーキを踏み停車する最後にカックンとしがちな挙動、揺り返しを制御。止まる際までフラットな姿勢を保ってくれるというのだから、同乗者もすこぶる快適に乗っていられるはずである(この制御は急ブレーキ時にはカットされる)。

ところで、プレミアムグランドツーリングミニバンとして開発された新型エルグランドにとって極上の乗り心地とともに重要なのが、「ライバルを圧倒する」と説明される車内の静粛性だ。この点に関しては、エンジン音とロードノイズを高精度に検知しリアルタイムで打ち消すANC=アクティブノイズコントロール(ON/OFF可)がその役割を果たす。車内のスピーカー6個、マイク7個によって風切り音はもちろん、エンジンノイズ(60%減)、ロードノイズ(50%減)、および振動まで打ち消してくれるのだ。これはXグレードのパナソニック製オーディオ、GグレードのBOSEサウンドシステムを問わない。

さらに遮音に効く高剛性・高遮音ボディとともに、ワンランク上の高遮音ガラスをグレード別に採用。それはガラス/高機能の遮音膜/ガラスの3層構造で、セレナやリーフではフロントのみのところ、新型エルグランドではリヤサイドウインドーを除く全面に用いているのだ。また、空調に関しても静音エアコンを採用しているほか、フロアカーペットの厚みを増しているのも車内の静かさに貢献。ディーラーOPのフロアマットも静音性能のあるマットを用意している徹底ぶりである。

跳ね上げ式シートで積載性UP! 進化したプロパイロットで遠出も快適に

ここまで説明のなかった3列目席はフラットな座面でヒール段差(フロアからシート座面先端までの高さ)を高め、より自然な姿勢で着座できるように配慮されている。その3列目席の格納方法も刷新。先代は3列目席の背もたれを前倒しするだけにとどまり、倒してラゲッジルームを拡大しても、床面の高さと段差が気になったものだが(段差はOPのラゲッジフラットボードで解消できる)、この新型ではボックス型ミニバンで一般的な左右跳ね上げ式に変更。フロアが低く抑えられ、上部の左右幅は制限されるものの、自転車など重く、高い荷物の積載性が向上している。

先進運転支援機能については、最新のいわゆるプロパイロット1.5を標準搭載。Gグレード(とVIP)にはプロパイロット2.0がOP設定されている。プロパイロット1.5ではレーンキープ性を向上させるとともに、純正ナビを装着することでナビリンク付きとなり、新たに渋滞時ハンズオフモード(50km/h以下)と車線変更支援機能が追加されている。もちろん、プロパイロット2.0では全車速域(制限速度+10km/h。上限130km/h)でのハンズオフドライブが可能になる(ハンズオフドライブは白線認識必須。トンネル、パイロンNG)。ファミリーミニバンとしても、ショーファーミニバンとしても、新型エルグランドのグランドツアラーとしての資質をより快適に高めてくれる機能のアップデートと言えるだろう。

と、今回の報告はここまで。目の前にこれから公道試乗を行う新型エルグランドG e-4ORCEが佇んでいるのだが、一般道、山道、最高速度120km/h制限の高速道路を含む試乗インプレッションはこのあと、お届けしたい。もちろん、2列目席にも試乗。ライバルとの快適度の違い、圧巻の静粛性、特等席となる2列目席の広さ、居心地など(身長172cmと180cmのテスターによる)についても改めて報告させていただきたい。

日産エルグランド

文・写真/青山尚暉

プロミュージシャンからいきなり自動車専門誌の編集者を経験した後、モータージャーナリストに。新車試乗記や自動車関連コラム、防災記事などを幅広い媒体で執筆。クルマのパッケージング、洗車”オタク”でもある。また、ドッグライフプロデューサーとしても活動。愛犬とのドライブ術、ペットと泊まれる宿厳選紹介、ドッグフレンドリーカー選びについて多方面で情報発信中。著書に「ぼくたちの外車獲得宣言」(リヨン社刊)、「すごい海外旅行術」(講談社刊)、「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)など。輸入車の純正ペットアクセサリーの開発にも携わっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(1994年~。現在は小学館DIME推薦)。

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