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待望の折りたたみモデル「iPhone Duo」に36万円の価値はあるのか?

2026.09.11

Appleは9月10日(日本時間)に開催されたプロダクト発表会で、初の折りたたみiPhone「iPhone Duo」を発表した。ここでは、iPhone Duoの設計、ディスプレイ技術、ソフトウェア、チップ、バッテリー、カメラ、価格までを解説する。

デザインと素材

iPhone Duoは閉じた状態でパスポート程度のサイズとなる。先に発売されているGalaxy Z Fold8に近いサイズ感だ。閉じた状態は、片手での使用を想定した大きさで、2つの丸みを帯びたコーナーが開閉の方向を示すアクセントとして機能する。開くと、連続するフレームに囲まれた内側ディスプレイが現れる。iPadの設計からヒントを得て、ベゼルは狭く均一に保たれている。

開いた状態の厚さは、主要コンポーネントをカメラプレートアウに集約し、バッテリー領域を確保する設計により、iPhoneとして最薄を実現。フレームには航空宇宙グレードのチタン素材を使用し、薄さを維持しながら必要な強度を確保している。中央の構造プレーンには補強リブを設け、アンテナ分割部にはグレード5チタンの3倍の強度を持つセラミック繊維製インサートを配置した。

iPhone市場最薄モデルではあるが、Galaxy Z Fold8と比べると厚い。また、Galaxy Z Fold8は約201gなのに対し、iPhone Duoは254gとかなりヘビーな仕上がりなのが気になる。

表面材質は背面がセラミックシールド、前面がセラミックシールド2で、IP68の防塵・防水性能に対応する。カラーバリエーションはナイトスカイとスターホワイトの2色となる。

折り目の低減と積層構造にこだわられたディスプレイ

内側ディスプレイは7.6インチのSuper Retina XDRで、iPhone 18 Pro Max比で50%、iPhone 18 Pro比で80%大きい。外側ディスプレイは5.4インチで、iPhone 18 Proの画面面積の約90%を提供する。両ディスプレイのアスペクト比を揃えることで、開閉時の移行をシームレスにしている。今年後半には両画面ともApple Pencil(USB-C)に対応する予定で、iPhoneでApple Pencilが使えるのは初となる。

折りたたみディスプレイの課題である折り目、プラスチック的な感触、傷つきやすさに対して、アップルはiPadおよびMacでの経験を基にカスタム・ナノテクスチャ仕上げを開発。マイクロレンズをピクセル単位で書き込むことで、フラットでマットな表面を実現しつつ、折り目の視認性を損なわない。

ディスプレイは多層ラミネーション構造で、最大40%高い剛性を持つカスタムポリマーを採用。折り目パネルの上下に高強度ガラスを配置し、粘弾性接着剤で各層を滑らかに滑らせて経年劣化を防ぐ。最下層にはチタンテープを用いて耐久性を補強する。

ヒンジは100個以上の精密部品で構成され、カーボンファイバー製サポートプレートがディスプレイの基盤となる。製造工程ではAIアルゴリズムによるヒンジとハウジングの個別マッチング、最大25層のフォトポリマーの3Dプリントを通じて、残留するうねりを排除する。ヒンジは可変トルクプロファイルを持ち、開閉の制御と開状態でのフラット保持を行う。統合マグネットアレイが閉鎖時の固定を担う。

折りたたみの動きに最適化されたiOS 27

iOS 27はiPhone Duo向けに根本から調整されているとのこと。基本コントロールをディスプレイ右側面に移動し、縦方向のスペースをコンテンツに割り当てる設計で、親指の自然な可動範囲に操作系を配置する。ホーム画面のドックは縦方向に配置され、ステータスバーはコーナーに収まる。既存のiPhone設計原則を見直し、全アプリのレイアウトを個別に最適化した。

内側ディスプレイでは、2つのアプリを並列表示するスプリットビュー表示によるマルチタスクが可能。2つのアプリをセットで保存する動作はワンタップで、再呼び出しも容易。動画視聴中は上部に動画をピン留めし、下部で別アプリを操作できる。

iOS 27はデバイスの角度に応じて挙動を変える。各半体のセンサーを利用し、テーブルに置けば外側ディスプレイでハンズフリー視聴が可能。半開き状態では下部にコントロール、上部にコンテンツを配置。部分折りたたみ時はコンテンツが折り目領域から自動的に移動し、タップ困難な領域を回避する。また、スピーカー間の距離変化も考慮したオーディオチューニングが施されている。

スタンバイモードは非充電時にも動作し、天気やカレンダー、音楽ウィジェットの表示や、ベッドサイドクロックとしての利用に対応する。

A20 ProチップとC2モデムを採用

iPhone DuoのチップにはA20 Proを搭載する。ディスプレイ間の切り替えは滑らかで、インナーディスプレイのアンダーディスプレイカメラ領域のピクセルレイアウトも自然にブレンドされる。ダイレクト・ダイ・ツー・セラミック設計のパッケージによりピーク性能を即座に発揮し、ベイパーチャンバーが高フレームレートのゲームプレイを支える。持続性能はiPhone 17 Pro比で最大35%向上した。

セルラーモデムにはアップル自社設計のC2を搭載する。ベースバンド、トランシーバー、電源管理、ファームウェア、ソフトウェアを統合した単一プラットフォームで、A20 Pro、C2、iOSをエンドツーエンドで一体設計している。AIアルゴリズムによる低カバレッジエリアでの再接続高速化、前世代C1X比で最大50%のアップロード高速化、消費エネルギー15%削減を実現した。

iPhone Duoは世界中でeSIM専用とし、物理SIMトレイを排除して内部空間をバッテリーに充てている。両側に高エネルギーバッテリーを配置し、カスタムシリコンとアルゴリズムで充電・放電・リバランスを管理。2つのバッテリーは1つとして動作する。

ビデオ再生時間は内側ディスプレイ使用時で最大31時間、外側ディスプレイ使用時で最大44時間。両画面を均等に使う混合利用モデルでも最大24時間を見込む。急速充電は約30分で50%に達し、5分の充電で外側ディスプレイのビデオ再生約5時間分を確保できる。

生体認証としては、Touch IDをサイドボタンに統合した。開閉いずれの状態でも親指の直下に位置する設計で、複数指の登録にも対応する。Apple Watchによるロック解除もサポートする。

メインカメラは48MP Fusionで、ゼロシャッターラグを備える。2倍光学品質テレフォトレンズ、大口径センサー、高速絞り、センサーシフト光学式手ブレ補正により、低光環境でもディテールを捉える。4K 120fps動画に対応し、スローモーション撮影が可能。48MP FusionウルトラワイドはiPhone 18 Proと同一センサーで、フォトグラフィックスタイルのテクスチャ・グレイン制御とフィルムテクスチャに対応する。

折りたたみフォームファクターを活かした撮影モードとして、外側ディスプレイで被写体が自分の構図を確認したり、A20 Proとオンデバイスモデルが全員のポーズを検出して自動撮影する機能、FaceTimeで前背面カメラフィードを同時共有、外側ディスプレイから追加参加者がグループ通話に加われる機能などが搭載されている。

フロントカメラはCenter Stage対応で、インナーディスプレイ下にFaceTimeカメラを内蔵する。本体単独で立てられるため、スタンドなしでの4K Dolby Vision HDRタイムラプス撮影も可能だ。

36万円超に見合う価値があるのか

Apple Storeでの販売価格は36万4800円からとなる。円安や部材高騰に加え、新しいプロダクトである折りたたみギミックを採用したことで、気軽に購入できる金額ではなくなっているのは事実だ。

競合製品を見ると、Galaxy Z Fold8は26万9800円からで、約10万円の価格差があり、本体の薄さ、軽さも上回る。一方、iPhone Duoは防塵、スタイラスペン、フレックスモード、メインディスプレイの埋め込み式カメラなど、サムスンが薄型化のために犠牲にした要素が詰め込まれているのが特徴となるため、これらの差分に、約10万円の価値を感じられるのかが焦点となるだろう。

折りたたみスマホ市場を見ると、iPhone Duoにハードウエア的な目新しさがあるわけではない。ディスプレイ、ヒンジを製造するメーカーが限られていることからも、ハード面でインパクトのある違いを作るのは難しいのが事実だ。

加えて、アップルとしては初の折りたたみモデルということもあり、UIの作り込みなども不安要素ではある。ただし、プレゼンを見る限りは、かなり緻密に設計されている印象もあるのに加え、大きなシェアをもつアップルが折りたたみ市場に参戦したことで、折りたたみスマホの画面サイズに合わせたアプリ開発も進められていくことにも期待ができる。

本体の質感や実際の握り心地、UIの洗練度といった部分は、後日実機を試しながら、改めて紹介したい。個人的には、折りたたみモデルを8世代積み重ねたサムスンを含む競合他社と比べ、iOS 27がどれだけ完成度の高い動きを見せるのかを楽しみにしている。

取材・文/佐藤文彦

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