日本人の平均寿命の最新データが明らかになった。
2026年7月24日に厚生労働省が発表した内容によれば、2025年の平均寿命は男性が81.35歳、女性が87.33歳で、男女ともに延びた。女性は41年連続で世界首位という結果となった。
毎年、平均寿命が明らかになると、「少しでも長生きしたい」と自身の健康に意識が向かうものだ。
そこでひとつ朗報がある。それは、福井県の特産品である「ナツメ」に老化細胞を減少させる成分が含まれていることがわかったことだ。
研究を進める福井県立大学 生物資源学部 生物資源学科の伊藤崇志教授に、その効果と取り入れ方を聞いた。また福井のナツメ生産者によるナツメの魅力やおすすめコメントもチェックしよう。
ナツメに含まれる「ベツリン酸」が細胞の老化を抑える?
ナツメとは、中国で古くから親しまれ、かの楊貴妃が好んで食べていたと言い伝えられている果実の一種。「1日3粒食べれば老いない」という言い伝えもあるほど、健康効果が高いことで知られている。
実は日本では福井県が誇る特産品である。主に果実を乾燥させた乾燥ナツメが流通している。
そのナツメに含まれる「ベツリン酸」という成分に、細胞の老化を抑える働きがあることが研究で分かった。伊藤教授は次のように語る。
伊藤 崇志氏/福井県立大学 生物資源学部 生物資源学科 教授
大阪大学大学院薬学研究科にて博士(薬学)を取得。米国サウスアラバマ大学研究員などを経て、2021年より現職。大阪大学大学院招へい教授を兼任。専門は薬理学、食品機能学。タウリンの健康効果や長寿との関係、抗老化食品、皮膚老化、サルコペニアなどをキーワードに、食品成分の老化抑制作用を研究している。
「ナツメには抗炎症作用が報告されていますが、その有効成分であるベツリン酸に皮膚細胞の老化を抑制する効果を発見(※)しました。
培養した人の皮膚の細胞(線維芽細胞)にベツリン酸を加えたところ、元気な細胞が増え、老化のサイン(老化現象)が減ることが確認できました。
つまり皮膚細胞の老化を遅らせる効果が期待できます。この研究成果により、ベツリン酸を含む新たなスキンケア製品やサプリメントの開発が期待されます」
※福井県立大学「本学生物資源学部の伊藤崇志教授らの共同研究グループが、棗の有用成分ベツリン酸に皮膚細胞の老化を抑制する効果を発見!」
そもそも福井県の特産品「ナツメ」って?
ナツメと聞いても、ピンとこない人も多いのではないだろうか。そこでナツメの魅力や食べ方を知っておこう。
ナツメのことは、生産者に聞くのが近道だ。そこで福井県福井市でナツメを専門に生産する農園「棗の里農産」に従事する石橋京子氏にインタビューを行なった。
【取材協力】
石橋 京子氏
2011年より、棗の里農産の食品製造会社であるシーロード入社。2017年薬膳コーディネーターの資格を取得。事務、出荷、営業、食品製造、在庫管理などに携わる。現在福井県にてナツメを栽培・製造・販売しつつ、ナツメの魅力を広めるべく日々邁進中。
https://natsumeya-direct.biz/
石橋氏は「福井県の特産品としてのナツメの魅力は、歴史深く、農薬を使用していないことにある」と話す。
「棗の里農産では、栽培期間中に農薬を使用せずナツメを収穫し、手軽に摂れる食品に加工して販売しています。
手間はかかりますが、体に良いといわれるナツメだからこそ、安心して取り入れていただくためのこだわりです。
もともとこの地は旧棗(なつめ)村という地名で、室町時代から、その名称の記録があります。
現在も棗や夏目という名字の方も多く暮らしており、650年以上前からナツメが名字や地名に深い関わりのあることが伺えます。
歴史に思いを馳せつつ、ナツメを味わうのも一興かもしれません」
●ナツメのおいしい食べ方
早速、おすすめのナツメの食し方とは?
「果実ですので、そのまま生食することでナツメの実の栄養素をそのまま召し上がっていただけると思います。
ただ、保存期間が短いため、弊社では一年中楽しんでいただけるよう、生では販売せず、すべて加工して様々な商品にしています」
・『乾燥なつめ』
「乾燥させたナツメです。米と一緒に炊飯すれば薬膳ごはんに。お粥や煮込み料理などにもおすすめです」
・『なつめエキス』
「なつめエキスは、砂糖や保存料などの添加物を一切使用せず、果実を抽出濃縮したエキスです。そのまま召し上がれますが、お好みの飲み物に解かしたり、ヨーグルトやトーストにトッピングするなど、様々にお楽しみいただけます」
他にもティーバッグ加工した「なつめ茶」やなつめエキスを配合した「なつめのど飴」、「なつめカステラ」なども。この機会にお取り寄せしてみては?
●今後はナツメパウダーに期待
ところで、伊藤教授によると、ベツリン酸は水に溶けづらいため、エキス(抽出液)よりも果実の固形部分に残りやすいと考えられるという。そのため、乾燥ナツメなど果実そのものを食事に取り入れることで、より効果的な摂取が期待できるそうだ。
特におすすめなのが、「ナツメパウダー」だという。
ナツメパウダーはなつめエキスの製造工程で生じる残渣を乾燥させてパウダーにしたもの。学生らはこのナツメパウダーを用いてお菓子づくりに励んでいるそうだ。
「ベツリン酸は水に溶けにくい成分であるため、パウダーのほうに残存しています。したがって、ナツメパウダーで作るお菓子にはベツリン酸が比較的多く含まれます」
今後、研究が進むことで、よりナツメ商品のありがたみがわかる日が来るかもしれない。
「タウリン」は老化細胞を取り除く可能性がある
ところで、伊藤教授は「タウリン」に関する研究も行なっている。
魚、イカ、タコ、貝類といった魚介類に多く含まれるタウリンは、細胞の浸透圧の調整、神経や筋肉の働き、胆汁酸の抱合など、体内のさまざまな機能に関わる成分で、抗酸化作用を持つことも知られている。
近年は、老化細胞を取り除く可能性があることが複数のマウス実験・研究で示唆された。
伊藤教授のいくつかの研究では、老化抑制や疾患予防といった効果が確認されている。まだ動物実験段階だが、今後の研究によってヒトにおける作用や可能性が解明されることが期待されている。
タウリンは水に溶けやすい性質から、煮汁ごと食べられる鍋やスープ、煮物などがおすすめだそうだ。
ナツメや魚介類など、日本人にとって親しみやすい食材に関して老化を遅らせる研究が進んでいることは実にありがたいことだ。ぜひ意識して取り入れてみたい。
取材・文/石原亜香利
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