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9月権利確定の米国株5選!利上げ再燃の秋こそ「配当王」を狙うべき理由

2026.09.09

米国株の配当は四半期払いが基本で、3月・6月・9月・12月に権利確定日が集中します。なかでも9月は、64年連続増配の「配当王」コカ・コーラをはじめ、増配実績のある大型株が中旬以降に権利落ち日を迎える月です。本記事では、9月中旬以降に権利落ちを迎える銘柄のなかから、配当金額・利回り・連続増配年数の3点で5銘柄を選び、利上げ観測が再燃する今秋に「配当か債券か」をどう判断するか、権利落ち日と受渡日のズレ、NISAでの外国税の扱いまで解説します。

なぜ9月に権利確定が集中するのか

日本株の配当は年2回、3月と9月の期末に集中しますが、米国株の多くは四半期ごとに配当を支払います。支払月は企業によって異なりますが、1・4・7・10月に支払う企業は3・6・9・12月に権利確定日を設けるのが一般的で、その結果、9月中旬に権利落ち日が重なります。

なお、米国株は2024年5月に決済期間が約定日の翌営業日(T+1)に短縮されたことで、権利落ち日と権利確定日(レコードデート)が同じ日になっています。「権利落ち日の前営業日までに買う」という原則は変わりませんが、日本の証券会社から発注する場合は時差の影響を受ける点に注意が必要です(後述します)。

利上げ再燃の秋、「配当か債券か」の判断軸

今年の秋は、日米そろって利上げが議論されるという特殊な局面です。米国ではFRBが7月会合で政策金利を3.50~3.75%に据え置いたものの、中東情勢を背景としたエネルギー価格の高止まりでインフレが鈍化せず、ウォーシュ議長が8月のジャクソンホール会議で「物価の基調は意味のある改善をしていない」と述べたことで、9月15~16日の会合での0.25%利上げの織り込みは8月末に6割台まで高まりました。9月に入ると雇用の減速を示す指標を受けて4割台半ばまで低下していますが、依然として利上げと据え置きが拮抗する状況です。

日本でも、日銀が6月に政策金利を1.0%へ引き上げたのに続き、9月17~18日の会合で1.25%への追加利上げを決めるとの観測が広がっています。7月末の日米協調介入を受けて円安阻止の姿勢を強めているとの見方もあり、市場が織り込む9月利上げの確率は8割を超えています。

こうした環境では、「配当利回り2~3%の株を買うより、短期の米国債やMMFで政策金利並みの3%台後半の利回りを取ったほうがよいのではないか」という疑問が当然出てきます。ここで判断軸になるのは、利回りの「水準」ではなく「成長」です。債券のクーポンは固定ですが、増配銘柄の配当は毎年積み上がります。コカ・コーラの5年平均増配率は4%台、ドミノ・ピザは16%台で、5年後の取得価格ベースの利回りは今の数字とは別物になります。一方で、利上げが続けば配当株の株価は債券利回りとの比較で圧力を受けやすく、短期の値動きは覚悟が必要です。金利ピークが見えるまでは債券、増配の複利を取りにいくなら株、という切り分けが一つの考え方になるでしょう。

9月権利確定の5銘柄

以下の5銘柄は、いずれも9月中旬以降に権利落ち日を迎えます。株価と利回りは米国9月3日終値時点の数値です。

■コカ・コーラ(KO)——64年連続増配の「配当王」

筆頭は、飲料最大手のコカ・コーラです。今年2月に四半期配当を0.51ドルから0.53ドルへ約4%引き上げ、年間2.12ドルとしました。これで連続増配は64年となり、50年以上増配を続ける「配当王」の代表格として君臨しています。権利落ち日は9月15日、支払日は10月1日で、株価88ドル前後に対する利回りは2.4%です。株価は8月下旬に上場来高値の92.49ドルをつけ、年初来で26%上昇と、ディフェンシブ株への資金流入で高値圏にあります。利回りは高くありませんが、直近四半期は既存事業ベースの売上高が6%増、比較可能ベースのEPSが11%増と本業は堅調で、通期の調整後EPS成長率も9~10%を見込んでいます。値上げしても数量が落ちないブランド力が、6~7割台の配当性向を支えている構図です。

■メルク(MRK)——製薬、16年連続増配

製薬大手のメルクは、四半期配当0.85ドル、年間3.40ドルで、権利落ち日は9月15日、支払日は10月7日です。8月19日にモデルナと共同開発する個別化がんワクチンの第3相試験で良好な結果が発表され、株価は一時10%超上昇して8月25日に上場来高値をつけました。株価150ドル前後に対する利回りは2.2%台と、この急騰で利回りは低下しています。連続増配は16年と、5銘柄のなかでは短めですが、直近5年の平均増配率は5%台と安定しています。注意点として、会計上の配当性向が一時的に100%を大きく超えており、実力ベースの利益と配当のバランスは調整後の数字で確認する必要があります。売上の半分近くを占める主力抗がん剤の米国特許切れが2028年に控えることも、長期保有では織り込んでおきたい材料です。

■ドミノ・ピザ(DPZ)——外食、14年連続増配

外食からは、宅配ピザ最大手のドミノ・ピザを選びました。四半期配当1.99ドル、年間7.96ドルで、権利落ち日は9月15日、支払日は9月30日と、5銘柄のなかで最も早く配当が届きます。株価347ドル前後に対する利回りは2.3%。連続増配は2013年以来の14年ですが、5年平均増配率は16%台と圧倒的で、配当性向は41%と余力があります。フランチャイズ中心の資産軽量モデルのため、利上げ局面でも自己資本への負担が小さい点は強みです。一方、株価は年初来で約2割下落しており、直近四半期の米国既存店売上高も0.1%増と伸び悩んでいます。外食需要の減速が続けば増配ペースも鈍る可能性があります。

■アルトリア(MO)——生活必需品、57年で61回の増配

生活必需品セクターからは、たばこ大手のアルトリアです。8月に四半期配当を1.06ドルから1.11ドルへ4.7%引き上げ、年間4.44ドルとしました。権利落ち日は9月15日、支払日は10月9日。株価69ドル前後に対する利回りは6.4%と、5銘柄のなかで群を抜いて高い水準です。同社は「過去57年で61回の増配」を掲げ、2028年まで年率一桁半ばの増配を目指す方針を示しています。紙巻きたばこの販売数量は構造的に減り続けていますが、値上げによる利益率の改善で減収を吸収してきた実績があり、配当性向は8割前後で推移しています。ESGの観点で保有を避ける投資家も多く、利回りの高さはその分の「割引」と理解しておくのが適切です。

■メドトロニック(MDT)——医療機器、49年連続増配

5銘柄目は、医療機器最大手のメドトロニックです。今年6月に四半期配当を0.72ドル(年間2.88ドル)へ引き上げ、連続増配は49年に達しました。来年の増配で「配当王」入りが視野に入る銘柄です。権利落ち日は9月25日、支払日は10月16日で、利回りは3%台です。9月1日に発表した直近四半期決算は既存事業ベースで2桁近い増収となり、来期も6.75~7.25%の既存事業ベースの増収を見込んでいます。景気に左右されにくい医療需要が配当の裏付けになっています。

権利落ち日と受渡日のズレに注意

日本の証券会社から米国株を買う場合、押さえるべきポイントは2つあります。

1つ目は時差です。9月15日が権利落ち日の銘柄を狙う場合、米国現地時間の9月14日(月)の取引終了までに約定させる必要があります。日本時間では9月15日(火)の早朝5時が現地取引の終了時刻(夏時間)にあたるため、「15日の朝に注文を出せば間に合う」と考えると、日本時間15日午前5時以降の約定は権利落ち後の取引となり、配当は受け取れません。証券会社によって国内約定日と現地約定日の表示が異なるため、権利判定は現地約定日ベースで行われることを確認しておきましょう。

2つ目は受渡日と入金日のズレです。米国株はT+1決済ですが、配当金は証券会社によっては支払日から数営業日遅れて反映されることがあり、さらに円貨で受け取る設定にしている場合は為替手数料が差し引かれます。ドル建てで受け取り、そのまま再投資する設定にしておくほうが、複利の観点では有利です。

NISAでの外国税の扱い

米国株の配当には、日米租税条約に基づき米国で10%の源泉徴収がかかります。特定口座で受け取る場合は、この10%を差し引いた残りに日本の税率20.315%が課され、確定申告で外国税額控除を申請すれば米国分の一部または全部を取り戻せます。

一方、NISAの成長投資枠で保有する場合は、日本での課税はゼロになりますが、米国の10%源泉徴収はそのまま引かれます。日本で税金を払っていない以上、外国税額控除の対象にもなりません。つまり、NISAで米国株の配当を受け取る場合の実質利回りは、表面利回りの9割と考えておくのが正確です。アルトリアの6.4%なら手取りは5.8%前後、コカ・コーラの2.4%なら2.2%前後という計算になります。それでも特定口座の手取り(約72%)より有利であることに変わりはなく、長期の増配銘柄をNISAで保有する合理性は高いといえます。

配当株を「金利の裏側」で考える

利上げは、配当株にとって短期的には逆風です。しかし、64年間増配を続けてきたコカ・コーラの歴史は、1970年代のインフレも、2000年代の金融危機も、直近の利上げ局面も含んでいます。金利の上下を通り抜けて配当が積み上がってきたという事実こそが、「配当王」と呼ばれる理由です。9月中旬の権利落ちは、その積み上げに参加する一つの入口として捉えることができます。ただし、権利落ち直後は配当分だけ株価が下がるのが原則であり、配当を取ること自体が目的化しないよう、業績と増配余力を見たうえで判断することが大切です。

著者名/ 鈴木林太郎 経済ライター テックと経済の”交差点”を主戦場にやさしく解説。企業・自治体の取材とデータ検証を重ね、現場の課題を言語化する記事づくりが得意。

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