iPhone初となるフォルダブルスマホの投入を見越してか、Androidメーカー各社もこの分野を強化している。横開きフォルダブルを未投入だったZTEやモトローラが参入したり、OPPOが初めて日本市場にフォルダブルスマホを投入したりと、その動きは活発だ。サムスン電子も、開くと4:3の横長になる「Galaxy Z Fold8」を発売したばかりだ。
そんな中、グーグルも初代から数えて4世代目となる「Pixel 11 Pro Fold」を8月に発売した。これまでのPixel Foldシリーズから薄型化や軽量化を進めた一方、「Pixel 10 Pro Fold」で初搭載した防じん対応のギアレスヒンジは継承。他のPixel 11シリーズと同様、最新のAndroidに対応しており、OSにAIを組み込んだGemini Intelligenceも利用できる。
ここまでフォルダブルスマホが一般化し、サイズや重量といった課題が解決されてくると、「Pixelも次はFoldで」と考える人が増えてくるはずだ。一方で、まだ4世代目ということもあり、サムスン電子と比べると歴史が浅く、ノウハウが蓄積されていない部分もある。では、Pixel 11 Pro Foldはどんな端末なのか。ここでは、その実力をチェックしていきたい。
薄く、軽くなったPixel 11 Pro Fold、防水・防じんも健在
フォルダブルスマホのメーカーとしては後発だったグーグルだが、世代を経るごとに、そのハードウェアを着実に進化させている。Pixel 11 Pro Foldでは、課題とされていた厚みを削減しており、開いた時には5.0mm、閉じた時には10.1mmまで薄型化している。先代のPixel 10 Pro Foldはそれぞれ5.2mm、10.8mmだった。閉じた時のサイズ差は約0.7mmあり、薄くなっていることは目視でも分かる。
開いた時は5.0mm、閉じた時は10.1mmまで薄型化した。10mmを切れなかったのが惜しい
それ以上に、大きく削減できているのが重量だ。Pixel 10 Pro Foldは258gもあり、一般的なハイエンドよりもさらに重いヘビー級の端末だった。手に取ったときはもちろん、上記の厚さも相まって、ポケットに入れた時の違和感が大きい。重力で、ポケットが下に引っ張られているように感じたほどだ。
Pixel 11 Pro Foldは、この重さは19g削減し、239gまで軽量化している。これでもまだハイエンドスマホよりは重いものの、フォルダブルスマホ特有というほどでもなくなっている。ポケットに入れた時の差は歴然としているほか、寝転びながら、1時間程度の映像を見る際にもあまり手が疲れなくなった。
欲を言えば、サムスン電子の「Galaxy Z Fold8 Ultra」並みの210g台まで軽量化してほしかったが、一足飛びにはいかないのかもしれない。ただ、厚くて重いという不名誉なイメージはこれで払しょくできる。しかも、Pixel 11 Pro Foldは、Pixel 10 Pro Foldが対応した防水、防じんに対応しており、タフネス性能という観点では諦めたものがない。この点は、同機を評価できるポイントだ。
閉じると一般的なスマホ、開くとやや縦長のミニタブレットとして使える点は、今回も変わっていない。開いた時のディスプレイはややベゼルが目立つ形で、折り目も見えるが、映像を表示すればあまり気にならないはずだ。とは言え、他社は折り目を消すことに腐心しており、こうした工夫を取り入れる必要もありそうだ。ハードウェアとしては4世代ぶんのがんばりを感じる一方、他社のスマホにキャッチアップできない点が残っていることは気になった。
フォルダブルならではの魅力は? バブルも大画面に最適化
フォルダブルスマホとしての使い勝手はどうか。開いた時のディスプレイサイズは8インチで、電子書籍や動画、画像などを見るのには十分な迫力がある。正方形に近いがやや縦長のため、基本的にはアプリもきちんと表示される。こうした魅力は、先代のPixel 10 Pro Foldから変わっていない。
また、広い画面を生かして画面を分割表示することで、複数のアプリを同時に利用できる。完全に自由な割合で固定できるわけではないが、左右に表示したアプリの比率を変更することも可能だ。筆者が普段使っている横開きフォルダブルの「razr fold」はこれができないが、アプリごとに大小をつけたい人にはいい仕様と言えるだろう。
画面分割で同時に開けるのは2つのアプリまでだ。他社のフォルダブルスマホの場合、3分割できたり、ウィンドウ化して画面上の好きな場所に配置できたりするため、マルチタスクで使うのが捗る。Pixel 11 Pro Foldには、そのどちらもなく、実質的に同時利用は2アプリまでになる。
8インチ程度だと、実用上は2アプリで十分と思われがちだが、使い込んでみると、そうでもない。テキストを入力しながら、Xでタイムラインを追い、さらにたまに届くメールもチェックしたいといった時には、画面を3分割しておけると便利。頻繁に出くわすわけではないが、こうしたシーンもあることはある。
ただし、Pixel 11 Pro Foldは新たに「バブル表示」に対応しており、最大5つまで、画面上にアイコンとして置いておくことが可能になった。同時利用はできないものの、スタンバイさせておき、簡単に出し入れができる。上記のような使い方であれば、メールアプリだけをバブルにしておき、通知が届いたらすぐに開いてチェックしたあと閉じれば、3アプリを同時に開いたのとかなり近い使い方ができる。
また、バブルを3つなり4つなり開いておき、使いたいものだけを前面に出していく方法も取ることが可能だ。一方で、これもアプリを立ち上げっぱなしにしていることに変わりはなく、画面分割で2つのアプリを開いた上でバブルを新たに作ると、動作がやや不安定になることもあった。登場したばかりの機能のためか、まだこなれていないのかもしれない。
フォルダブルならではの使い方として、半開きのまま机やテーブルの上に置き、超小型PCのような形で使うことも可能だ。出先でどうしてもビデオ会議に出なければならない時や、スタンドなしで動画を見たい時などには、この形状が役立つ。カメラなど専用のモードになるアプリはある一方、テーブルや机に接している方の画面半分をタッチパッドにするといった機能がないのは少々残念。こうした点は、他社のフォルダブルスマホにキャッチアップしてほしい。
強化されたカメラ機能、AI機能もPixelの魅力
カメラの性能は、Pixel 11シリーズ譲り。チップセットがTensor G6に刷新され、AI処理やISPの能力が上がったこともあり、画質は向上している。まず、メインのカメラはイメージセンサーが大型化して、暗所での性能が高まっている。AI処理の高速化も相まって、新機能の「インスタント夜景モード」の利用が可能になった。これまでは、撮ったあと処理を待つ必要があったが、Pixel 11 Pro Foldはほぼ一瞬で写真が仕上がる。その作例は以下のとおりだ。
やや暗めの飲食店などで撮った写真も、明るく、色がしっかり出ている。また、AI性能が向上したことで、超解像ズームがこれまでの20倍から30倍に伸びており、より遠くの被写体を捉えられるようになった。AIによる処理が入る一方で、文字などが化けることはなく、いわゆる“AIっぽさ”も薄れている印象だ。
AIとカメラの掛け合わせでもう1点、新しい機能として搭載されたのが、「マジックキャプチャー」だ。これは、動画を撮影しっぱなしにしておき、その中からベストな写真をAIが自動で選び出すという機能。動画と写真を同時に撮りたい時や、あまり画面を凝視せずに動画を回しておいて写真を残しておきたいような時に活躍する。特に後者のような使い方に重きが置かれている印象だ。
実際、歩きながらマジックキャプチャーで撮りっぱなしにすると、その中から写真として成立しそうな数枚が選ばれ、保存される。街歩きしながら撮ったマジックキャプチャーの写真は以下のとおり。これは、不要では……というようなカットも残っているため、精度の向上には期待したいが、撮りっぱなしで構図などを考えなくてもいいので撮影が楽になる。
Pixel 11 Pro Foldならではなのが、半開きのまま机やテーブルに置いておき、人物などを撮るという使い方だ。高さによってはローアングルになってしまうのが難点だが、相手としゃべりながら、必要な1枚だけを残してくれる。その意味では、一般的なスマホよりもPixel 11 Pro Foldの方がマジックキャプチャーとの相性がいいと言えそうだ。
Pixel 11シリーズならではのAI機能に、「先回りアシスト」がある。これは、Pixel 10シリーズで導入された「マジックサジェスト」のリニューアル版。メッセージの内容に応じて、写真を提案したり、挙げられたレストランの情報を表示したりする機能だ。より応用範囲は広がっていて、きちんとシーンにはまれば便利。一方で、まだまだお勧めできる情報に限りがあるため、完全にユーザーの行動を先回りしてくれるわけではない。
また、Gemini Intelligenceの売りの1つである、アプリの自動操作も、現時点では日本語に対応しておらず、利用ができない。これが可能になると、よりスマホが人間の動作をサポートするエージェントに近づいていくが、現時点での実力は未知数だ。とは言え、こうした機能にも順次対応していくことが表明されている。Pixel 11 Pro Foldは、その可能性を買うことにもなる。価格は27万9900円と高いが、フォルダブルならではの魅力もあり、その価値は十分あると言えそうだ。
文/石野純也




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