ルノー「ルーテシア」(フランスでは「クリオ」)は1990年に初代が発売されて以来、欧州カーオブザイヤーを2度受賞するなど、5世代にわたり世界中で1600万台を販売しているベストセラーカー。日本への導入も91年から行われており、人気車種になったモデルもある。現行モデルは5世代目で2019年にデビューし、25年10月にフェイズ2が投入された。
スポーティな新顔に進化! アルピーヌの世界観をまとう新グレード
最新モデルは外観に新しいデザインを採用している。LEDのヘッドライトはスリムになり、デイタイムランニングランプは縦長のハーフダイヤモンド型に。グリルも中央からボディ両端に向かって色合いが明るく変化するグラデーションを採用。リアもテールレンズがクリア化され、LEDを採用。新デザインのバンパーもスポーティなデザインになった。
グレード展開では「エスプリ アルピーヌ」が新設定された。ルノーの子会社でF1やラリーをはじめとするモータースポーツ部門や、独自のスポーツカーも生産しているアルピーヌのスポーツイメージをルーテシアに採り入れたモデル。フロントフェンダーにはアルピーヌのエンブレムが取り付けられている。
室内も前席の背もたれにはアルピーヌのロゴが入り、座席全体の素材はバイオスキン×ファブリックのコンビ。前席はシートヒーターが内蔵されている。もちろん形状が変わった座席は身体へのフィット感も向上している。運転席に座ってみるとアルピーヌの世界観はさらに強く感じる。アルミペダル、ステアリングヒーター付レザーハンドル、ロゴ入りのキッキングプレートは標準装備だ。快適、実用装備も充実している。
センターコンソール中央のディスプレイには、スマートフォン用ミラーリング機能が付いた9.3インチマルチメディアEASY LINK縦型タッチスクリーンが新たに装備された。ここではオーディオ、電話、運転・駐車支援システム、車両設定などの各種操作が行えるほか、Apple CarPlayとAndroid Autoが使用できる。BOSEのサウンドシステム+9スピーカーのオーディオも標準装備されている。
輸入車No.1の低燃費。F1由来のハイブリッド「E-TECH」がさらに洗練
パワーユニットも改良された。フォーミュラ1レースで培ったノウハウを活用し、ルノーが独自に開発したフルハイブリッドシステム、E-TECHは、さらに手を加えられ、ハイブリッド性能を向上させている。フルハイブリッドシステムは、トヨタが世界で先駆けて実用化した技術。特許もトヨタがおさえており、他の自動車メーカーやサプライヤーは手が出なかった。しかし、ルノーは、独自の技術でトヨタの特許に抵触しないフルハイブリッド技術を実用化し、生産車に展開している。
そのメカニズムはメインモーターのEモーターとHSG(ハイボルテージスターター&ジェネレーター)という2つのモーターと、4気筒1.6Lガソリンエンジン、これらを繋ぐ電子制御ドグクラッチマルチモードATで構成されている。はじめて実用化されたのが2022年。このときはまだスムーズさに欠ける部分もあったが、改良を重ね、その性能はかなり進化している。
「ルーテシア アルピーヌ」に新たに搭載された最新ハイブリッドシステムは、燃費がさらに向上し、25.4km/L(WLTCモード)を達成している。これは25年10月現在、輸入車でNo.1の数値だ。システムとしては、発進時はモーターのみ駆動、中速域はモーターとエンジンを組み合わせ、高速時はエンジンが主体になり燃費をかせぎ、加速時にモーターがアシストするという方式を採用している。スタイリングを一新した「ルーテシア・エスプリ・アルピーヌ」に試乗した。
縦に配置されたランニングライトや、フェンダーのアルピーヌエンブレムが新しい。スタートボタンを押すとエンジンが目ざめる。そのままDレンジで走り出す。エンジンが停まり、モーター走行に移る。振動や音もなく、スムーズ。エンジンもかかるが、街中ではモーターのみで走行するシーンも多い。
ルノーのフルハイブリッドは、街中や低速域ではモーター、中速になるとモーター+エンジン、高速はエンジン+モーターで走行する。モーターとエンジンの切り換えは、初期モデルよりもかなりスムーズになり、メカニカルでのギクシャクした動きはなくなっている。エンジンがかかり、高回転域になると音がノイジーに大きくなるのは、もう少し抑えてほしいが、全体にモーター+エンジンのつながりはスムーズになった。走りの味は、とくにアルピーヌが手を加えてはいないが、ルノーのスポーティな乗り味は受け継がれている。
直進時はやや重めで、どっしりとした安定感のある走りは、FFスポーツの味わい。コーナーでのハンドルの切りこみも重めで、これもFFスポーツの味付けが楽しめる。乗り心地は硬め。タイヤはコンチネンタルの「エココンタクト6」の205/45R17というスポーツタイヤを装着。おしゃれなフレンチコンパクト2ボックスだが、硬派のスポーツマインドも秘めている。
ルノー独自のフルハイブリッドシステムもかなりスムーズな働きをしていた。気になる燃費は、エンジンが主体となる高速走行も多かったが、平均で21.3km/Lを記録した。街中主体の走行ならば、カタログモード(WLTCモード)の25.4km/Lにさらに近づくはず。輸入車ナンバー1の低燃費を主張する実力は本物だった。
先進の運転支援や駐車システムはさらに洗練されており、安全性能も向上している。車両本体価格は414万円だが、充実した装備や内外装のセンスの良さは国産同クラスにはない存在。フランスのおしゃれな買い物といえるだろう。
■関連情報
https://www.renault.jp/car_lineup/lutecia/
文/石川真禧照 撮影/萩原文博




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