1994年に初代が登場した「トヨタRAV4」は、以来、世界180か国以上の国々で愛され、世界で年間100万台を販売するトヨタの大ヒット車の1台だ。3ドアの都市型クロスオーバーモデルの初代は5ナンバーサイズだったものの、とくに北米市場でのヒットによって2代目以降、3ナンバーサイズになった経緯がある。2018年に登場したGA-Kプラットフォームを採用した5代目は2019-2020日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。筆者も選考委員として10点満点の満点を投票している。そして2025年12月に6代目が数々の新機能を備えてデビュー。
あえて「大きくしない」。サイズキープに込められた開発陣の意志
スタイリッシュさを増した新型RAV4だが、まず注目したいのがサイズである。代を重ねるごとに大きくなる最近の新車事情を横目に、各部のサイズは先代を踏襲。RAV4をこれ以上大きくしたくない・・・という開発陣の想い、意思がそこにある。具体的には全長4600×全幅1855×全高1680~1685mm、ホイールベース2690mmが基本だ(GT SPORTとアドベンチャーは全長、全幅が異なる)。
しかし、中身はまったく新しい。とくに電動化、知能化、多様化こそ新型RAV4のハイライトでもあるのだ。電動化についてはRAV4 Z PHEVを頂点に、Z ハイブリッド、アトベンチャー ハイブリッド、GR SPORT PHEVを揃え、ガソリン車は存在しない。知能化では次世代車載ソフトウェアプラットフォーム=Arene(アイリーン)を新導入。多様化は先に述べた基本ボディのZに加え、タフでラギッドなスタイルを纏ったアドベンチャー、GR SPORT という選択肢を示している。
駆動方式はE-Four=4WDのみ。パワーユニットはA25A-FXS型2.5L直4エンジンを基本に、ハイブリッドとPHEVを用意。エンジンは186ps、23.4kg-mで統一。モーターはハイブリッドが前136ps、21.2kg-m、後54ps、12.3kg-m。システム最高出力240ps。PHEVは前206ps、27.7kg-m、後55ps、12.5kg-mとなる。WLTCモード燃費はそれぞれ22.5km/L、22.2km/L(GR SPORT PHEVは21.5km/L)となる。
インテリアでは12.3インチのTFTカラーメーターと横並びのセンターに配置される12.9インチの大型ディプレイオーディオが目を引く。車載ナビは非搭載だが、通信型ナビを月額880円のプランで利用でき、スマートフォンのGoogleマップのアプリも使う事ができる。また、エレクトロシフトマチック(一方向操作方式)をトヨタ初搭載。すっきりとしたセンターコンソール周りのデザインを成立させている。
横基調のインパネ回りの特徴的なデザインとなるのが、ドライブモードスイッチ、およびTRAILモード/SNOWモードスイッチで、センターのエアコン吹き出し口下の左右に配置されているのだ。
そしてトヨタ初のカラーヘッドアップディスプレイ、快適温熱シート+シートベンチレーション(運転席・助手席)の装備の用意も嬉しいポイントだ。今や生活に欠かせないスマートフォンの充電は15W/PD対応の45Wの充電用USB端子から行え、スピーディな充電が可能となる。
ゴルフバッグ4セットを飲み込む! 圧倒的な積載力と余裕のパッケージ
先代を踏襲するパッケージングだが、室内、荷室ともに十二分に広い。身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で前席頭上に200mm、後席頭上に190mm、膝回りに205mmの余裕がある。後席フロア中央にはわずかな凸があるものの、サイドスルーが可能になっている。ただし、後席のヒール段差(フロアから座面先端までの高さで計測)は330mm(ハリアーやクラウンスポーツなどと同等)と低めで、筆者の場合、太腿先端部分がやや浮く着座姿勢にはなる。後席エアコン吹き出し口(前席左右の2ゾーンタイプ) はもちろん、後席用USB-C×2、シートヒータスイッチなどが備わる。
荷室は開口部地上高680mmで標準装備のフロアボード上段では開口部に段差なし。フロアボードを下段にセットすると約60mmの段差ができる。フロア奥行きは実測で最大980mm、幅1002~1386mm、最低天井高775mm(デッキボード下段は拡大)。6:4分割の後席を倒したときのフロア長は1620mmとなる。ちなみにVDA方式の容量はデックボード下段最大で749Lに達し、ゴルフバッグ4セットの積載が可能だという。
さて、今回、試乗したのはハイブリッドZ。真夏の外気温35度の東京~熱海間、約250キロを走破した。なお、タイヤは標準が235/60R18サイズのところ、オプションの235/50R20サイズを履いていた。
ちょっと見にくい位置にあるスタートボタンを押し、走り出せば、もちろん、モーター走行だ。パワーステアリング、アクセルペダルともにやや重めの設定だが、とにかくスムーズに、静かにトルキーな加速を開始する。微低速時の乗り心地はマンホールや道のジョイントの乗り越えを実にまろやかにいなしてくれて快適だ。そこから速度を上げていくとさすがに20インチタイヤの硬さ、路面によってはゴツゴツしたタッチが伝わってくるものの(標準の18インチタイヤなら文句なしだろう)、約70km/hからは俄然、乗り心地がフラットになる設定のようで、クルージングは極めて快適かつ、モーター走行を70km/h程度でもこなしてくれるため、静かだ。今回は一般道、高速道路、山道といったあらゆる走行シーンを体験したが、全体的にはドシリとした重厚で快適な乗り心地、十二分な動力性能の持ち主であると報告できる。
ただし、熱海にある急こう配の上り坂、クネクネした山道では意のままの操縦性、姿勢変化の少なさ、走りやすさを”クルマ側が行う緻密なブレーキ制御”もあって体感させてくれたのだが、ほぼ唯一、気になる点として挙げざるを得ないのが、アクセルペダルを深々と踏んだ際、登坂路で見られる車内へのエンジン音の急激な高まり(それまで静かだったのでことさら気になる)、そしてそのノイズの質があまりよくないことである。
とはいえ、トヨタの十八番とも言えるプロアクティブドライビングアシストの制御はいつも感心するところで、「ヒヤリ」の解消に役立ってくれるのだ。カーブの進入速度が速いと判断すると減速を支援。歩行者を感知すると安全な速度まで減速し、歩行者との距離を可能な限りオフセット。信号を検知し、前車と接近しそうになると自動で減速を支援(アクセルOFF時)してくれるなどの制御を行ってくれるのだから心強く、安心・安全である。
試乗当日は夏晴れ、真夏の暑さ、しかも海水浴客で賑わう熱海の海沿いでは気温は35度を超えている。が、効きのいいエアコンはもちろん、シートベンチレーション機能で背中も腰回りも涼しく、RAV4に乗っている限りは暑さとは無縁だった。シートベンチレーション機能、日本の高温多湿な環境にはピッタリである。また、走行中でも「ヘィ、トヨタ」でナビ設定などが可能になるのも嬉しいポイント。実際、途中で目的地変更する際にも大いに役立ってくれたのである。これでクラウンなどにあるリラクゼーション機能(マッサージ機能)が用意されていれば、ロングドライブ時にさらにいいのだが・・・。
東京ー熱海間、一般道、高速道路、山道、夏休み渋滞を含む約250キロを走破した実燃費は17.6km/L。3名乗車、1泊2日の荷物満載で、終始エアコン全開を考慮すれば、WLTCモード燃費の約78%の実燃費は優秀ではないだろうか。荷物がたっぷり積めるため、家族4人の宿泊を伴うドライブ旅行でも荷物に積載に困ることなどないはずで、電気式4WDのE-Fourを基本にスノーモードも備わり、1年を通しての快適で安全・安心なドライブを路面、天候に左右されずに行える、頼りになる1台だと結論付けられそうだ。個人的には後ろ姿のカッコ良さが印象深かった。
文/青山尚暉
写真/雪岡直樹 青山尚暉




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