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ペプシコが16.5億ドルで買収した炭酸飲料「プレバイオティックソーダ」、日本初を名乗った千葉のカフェの代表に直撃取材

2026.09.01

2025年5月、ペプシコが米国の炭酸飲料ブランドpoppiの買収を完了した。買収額は19億5,000万ドル。見込まれる税務上の利益3億ドルを差し引いた実質の取得額は、16億5,000万ドルになる。同年2月には、コカ・コーラも自社初のプレバイオティックソーダとしてSimply Popを投入している。

プレバイオティックソーダとは、腸内の善玉菌のエサになる成分を配合した炭酸飲料を指す。米国ではpoppiやOlipopといった新興ブランドが市場を育て、そこへ大手2社が相次いで乗り込んだ。

日本には、このカテゴリーがいまだにほぼ存在しない。poppiもOlipopも上陸しておらず、大手飲料メーカーの動きも見当たらない。

その空白に、日本初のプレバイオティックソーダとして入ったのが、千葉市花見川区のカフェ、cafetentoが手がけるCHOODA(チョーダ)である。初回に製造した2,000本は4か月で完売し、2026年8月には2回目の製造分が入荷した。

カテゴリーの名前ごと日本に持ち込んだ判断について、cafetento CHOODA事業部代表の宮副天良氏に話を聞いた。

菌を取り入れる乳酸菌飲料、菌を育てるプレバイオティックソーダ

善玉菌のエサになる成分とは、具体的にはオリゴ糖や食物繊維である。よく似た言葉にプロバイオティクスがあり、ヨーグルトや乳酸菌飲料など、従来の腸活で取り入れられる製品がそちらに分類される。プレバイオティクスとプロバイオティクスの違いを、宮副氏はこう整理する。

「乳酸菌飲料は、腸に元々ある菌そのものを外から取るものです。プレバイオティックソーダは、元々ないオリゴ糖や食物繊維を取って、腸にいる善玉菌を育てます。あるものを外から取るのと、ないものを外から取って育てるのとの違いですね」

CHOODAは、国産りんご果汁とオリゴ糖シロップを軸に、難消化性デキストリンとイヌリンの2種類の食物繊維、生姜、レモンなど、6種類のスパイスを組み合わせている。1本あたりオリゴ糖シロップ約11g、食物繊維約4gを配合する。

保存料、白砂糖、きび砂糖、人工甘味料、カフェインは使っていない。同社は、りんごのクラフトコーラのような味わいだと説明する。

米国で7年かけて育った市場、日本で生まれなかった2つの理由

Olipopの創業は2018年、poppiの前身が投資家から出資を受けたのも同じ年である。どちらも大手の資本ではなく個人から始まり、SNSを軸に支持を広げた。そこから7年で市場が育ち、2025年にコカ・コーラとペプシコが動いた。

宮副氏は、米国で伸びた背景をこう分析する。

「アメリカで伸びたのは、健康とソーダという相反するものを掛け合わせたからだと思います。元々ソーダやジュースを飲む文化がありますから、ソーダを飲んで、ついでに健康にもなれるというソフトな入り口になった。美味しいソーダを飲む楽しみがありつつ、健康という面も一緒に取れるのが良かったんじゃないでしょうか」

一方の日本では、腸活という言葉自体はすでに定着している。それでもプレバイオティックソーダが現れなかった理由として、宮副氏は2つを挙げた。腸活ドリンクといえば乳酸菌飲料、という結びつきが強かったこと。そして単に、そういう商品を誰も出していなかったことである。

大手が動かなかった理由は、さらに手前にあるという。

「そもそもソーダを飲む文化が、日本はアメリカと比べたら少ないと思っています。もし日本がアメリカの人並みにジュースやソーダを飲む文化だったら、もうあるんじゃないでしょうか」

ただし宮副氏は、日本に下地がないとは考えていない。発酵食品や食物繊維で腸内環境を意識する習慣は、もともとある。足りていないのは、それを難しい健康食品ではなく、飲んで楽しめる形にした商品だった。

開発のきっかけは家族の腸の不調

開発のきっかけは、宮副氏が仕事終わりに立ち寄った夜のコンビニだった。元気の出る飲み物を探して裏面の表示を見ると、体に良さそうな商品にも砂糖や添加物が入っていた。ないなら作ろう。そう決心した。

数ある健康の切り口から腸活を選んだ理由は、それより前にある。

「腸活にしようと思ったのは、家族が幼い頃から腸の不調に悩まされていたからです。ある時から腸内環境を整えることを意識し始めたことで、どんどんと改善していきました。体にいいドリンクを作るなら腸活が一番だというのが、体験ベースでありました」

ソーダという形を選んだ理由も、同じ家族の経験から出ている。

「体にいいものは美味しくないものが多かったからです。腸内環境を整えるために、家族があまり好きなものを食べられないのを見てきました。シュワッとすっきり甘くて美味しいというドリンクがなかったので、体に気を使われている方にも、ご褒美の一つとして手に取ってもらえたらと思いました」

しかしその考えをそのまま飲み物にするのは、簡単ではなかった。

健康な甘さを実現。答えはオリゴ糖と国産りんごだった

CHOODAのレシピを組み立てたのは、宮副氏本人である。カフェの営業と並行した開発で、シロップが完成するまでに1年近くかかったという。

「美味しいソーダには甘さが欲しい。けれど甘さをつけるとなると、白砂糖やきび砂糖、てんさい糖、人工甘味料を入れないといけない。それでは自分の理想とするドリンクとはあまりに遠かった。甘くて美味しいのに、全部体に優しいだけの成分で作りたいと思っていました」

先行する海外の製品を調べると、少ない砂糖で作っていると打ち出すものが多かった。宮副氏はそこに並ぶのではなく、余分な砂糖を使用しないことを目標に置いた。

行き着いたのが、オリゴ糖と無添加の国産りんご果汁の組み合わせである。使っているオリゴ糖は、日本オリゴのフラクトオリゴ糖だ。このオリゴ糖は、甘さを出しながら、そのまま善玉菌のエサにもなる。1つの材料に2つの役目を持たせたことで、砂糖を足す必要がなくなった。

甘さのもう一方は、果汁が担う。四季があり、雨が多く、土にミネラルを含み、昼と夜の寒暖差が大きい。この環境が果実の甘さにやわらかな酸味を加えるというのが、同社の見立てである。

数ある果物からりんごを選んだのは、りんご自体にも腸内環境によいとされる成分があると知ったからだった。甘さを出す材料に機能を兼ねさせるという、オリゴ糖と同じ選び方になっている。

「日本のりんごは、強い甘さと味わいの奥深さがあります。日本で育つりんごだからこそだと思っていて、日本のりんごだからできたレシピだと勝手に思っています」

まず作ったのはソーダではなく、炭酸で割るシロップ

CHOODAは瓶ボトルで飲めるソーダから始まったわけではない。最初に売り出したのは、炭酸で割って飲むシロップだった。

「瓶ボトルを最初に作るとなると、結構なロット数が必要になります。そこまでリスクは背負えないので、まずはシロップにしました。シロップなら自分の店で提供できますから。少量を作って少しずつ出して、お客様の反応を見ようというところからですね」

シロップを出す場所は、当初は自分の店だけだった。店頭では、プレバイオティックソーダという打ち出しを使わなかった。

「プレバイオティックを知っているお客様が少なかったので、腸に優しい材料を合わせて作った当店のオリジナルドリンクですと、腸活や腸に優しいという言葉でお勧めしていました。飲んだお客様からご好評をいただくことが続いたので、瓶ボトルタイプへの移行を決意しました」

反応を確かめながら卸先も増やし、2025年10月にはCHOODAを商品として公表した。瓶ボトルの販売開始は2026年3月。シロップと炭酸をあらかじめ合わせ、開けてそのまま飲める形にした。

販売は自社が中心で、ほかに温泉施設、ホテル、飲食店へ卸した。風呂やサウナの後の一杯という位置づけが、卸先を広げている。購入者の男女比では女性が中心だったが、男性の購入も想定以上にあり、その点が印象に残ったと話す。

4か月での完売について、宮副氏はこう振り返る。

「想定以上でしたね。自分でも結構びっくりしたんですけど、商品のコンセプトを受け入れてもらえたんだなという安心感もありました」

2回目の製造分2,000本はすでに入荷済みで、より多くの人の手に届くよう販路の拡大を進めている。

日本初を名乗った理由と、海外を見据えた命名

日本初という言葉は、CHOODAが自ら掲げたものである。

「プレッシャーもありました。ただ、既存の商品や市場、プレバイオティックソーダという名称が登録されていないかを確認して、自分が調べた範囲では見つからなかったので、日本初と打ち出すことを決めました」

同社の自社調べによる表現で、プレバイオティックソーダというカテゴリー名で商品化して売ったのが最初、という意味になる。

また、日本では認知されていないプレバイオティックソーダという呼び方を、あえてそのまま使用していることにも理由があった。

「プレバイオティックソーダという名前をつけた理由もあります。将来的に海外展開できる機会があった時に、日本初のプレバイオティックソーダとして海外の方にも受け入れてもらえたらと思って、この名前にしました」

プレバイオティックソーダの本場であるアメリカへの進出を見据えた上での命名だ。

大手参入は市場拡大の機会。目標は月10,000本の販売

日本でも今後、大手が同じカテゴリーに乗り出す可能性はある。米国で起きたことが、そのまま先例になる。

「大手が参入してくるのは、自分としてはカテゴリーが広がる大きな機会だと考えています。プレバイオティックソーダという言葉や考え方自体がより多くの方に知られるようになれば、市場全体が広くなっていく良いきっかけになると思います」

そのうえで、自社の位置取りは動かさないと言い切る。

「その中でCHOODAの立ち位置は、今後も大きく変えるつもりはありません。規模を追うことだけを目的とするのではなくて、実際に手に取っていただいたお客様に喜んでいただけるところにフォーカスして、真面目にコツコツ続けていこうと決めています」

市場が広がる材料は、腸活の外側にもあると見ている。アルコール離れが進み、ノンアルコールの市場が広がれば、その中の選択肢として入り込む余地があるという読みである。

数字の目標は、月10,000本の販売に置いている。まず関東を中心に販路を広げ、将来的には全国の温泉施設やホテルなど、様々な場所に置くことを想定する。

「コツコツにはなると思いますが、卸先の拡大が重要になってくると思っています。今は10から15くらいですが、ここから500くらいまで行った時に、やっと見えてくる数字なんじゃないかと。来年中の実現が、今の目標ですね」

1回の製造は最小ロットの2,000本、目標までの距離は近いとは言えない。しかし日本初のプレバイオティックソーダであるCHOODAが発売されて、まだ1年。腸活ドリンクは乳酸菌飲料だけ、という前提はもう崩れている。菌を入れるのではなく育てる。その選択肢が、これから当たり前になっていくのかもしれない。

取材・文/宮﨑駿

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