近年、一時的な表面のケアよりも、肌が本来持つ機能を高める〝肌育〟というスキンケアアプローチが大きなトレンドとなっている。
美容医療や施術の敷居が下がり、手軽に体験する機会が増えた一方で、施術後にデリケート化した肌のケア(ダウンタイムケア)には、自身で根本から向き合う必要性が出てきているのだ。
そんなときに正しく知っておきたいのが、過酷な状況下にある〝肌に必要な栄養素や成分〟そして〝守りのスキンケアの基本〟である。
今回は、美容施術後のスキンケアに絶大な効果を発揮する注目成分や、正しいケアの基本、具体的なコスメの選び方について専門家に話を聞いた。
【新常識】食べるだけじゃない!皮膚科医が語る〝ビタミンB群〟を肌に塗るメリット
美容初心者にとって、「ビタミンB群」と聞くとサプリメントや食べ物から摂取する栄養素をイメージするのではないだろうか。しかし実は、肌の外側から直接〝塗る〟ことでも、極めて効果的な働きをすることが分かっている。
先日、パリ発のサイエンス・スキンケアブランド「ガレニーク」の新作発表会に登壇した、医学博士・日本皮膚科学会認定皮膚科専門医であり東京女子医科大学名誉教授の川島眞氏によれば、ビタミンB群はアンバランスに傾いた肌のコンディションを整えるのに非常に適しているという。
ビタミンは、人体の酵素反応を強力にサポートする補酵素のひとつだ。その中でも、特に肌へ直接塗布することで劇的な美肌効果が期待できる4つのビタミンB(B3、B5、B9、B12)の具体的な役割を整理した。
●ビタミンB3(ナイアシンアミド)
肌のくすみやシミを予防し、全体の色合いをクリアに改善する。さらに、保湿能力を高めて肌のバリア機能を向上させる面でも高い効果が期待できる。
●ビタミンB5(パンテノール)
優れた保湿機能を有し、ダメージを受けたデリケートな肌荒れをスピーディーに回復へと導く。
●ビタミンB9(葉酸)
細胞のDNA合成を強力にサポートすることで、傷ついた角層や肌の確実な修復・再生に働く。
●ビタミンB12(コバラミン)
医療分野でも広く重用されている成分。神経に対する鎮静作用があり、敏感肌特有の「ピリピリとした不快感」や違和感といった神経の異常シグナルに対して優れた抑制効果を発揮する。
このように、ビタミンB群はそれぞれが全く異なる重要なアプローチ機能を持っているのが大きな特徴だ。そして川島名誉教授によれば、これらは単一ではなく、いくつかの成分を複合させて「同時に働かせる」ことで、相乗効果を生み出し最も効率よく機能するという。
「ただし、化粧品にこれらを配合する際は、組み合わせの黄金比率と配合量が極めて重要になります。それぞれの成分が互いの働きを邪魔することなく、最も高い効果を発揮できるベストな含有量を決定することが求められるのです」(川島名誉教授)
2026年6月に日本上陸を果たした「ガレニーク」の集中美容液『ガレニーク「N°3」VBセラム』には、まさにこの理論に基づき、厳選された4種のビタミンB由来成分が絶妙なバランスで配合されている。
特に、美容施術後の72時間(約3日間)の肌に使える設計とあって、肌にいい成分であることが期待できる。
【ダウンタイムの真実】約3日間の肌バリア崩壊期を乗り切る〝守りのケア〟
ところで、美容施術を受けた経験がない人にとっては、施術後の肌が具体的にどのような状態に陥っているのかイメージしにくいかもしれない。一言で言えば、施術後の肌は一時的に〝バリア機能が著しく低下し、極めて敏感な状態〟になっている。
川島名誉教授によると、レーザーなどの美容施術を受けてからダメージ肌が徐々に回復していく、いわゆる「ダウンタイム」と呼ばれる最初の約3日間は、肌の保湿バリアが物理的に破壊され、内側で懸命な修復活動が行なわれている最中だという。
「バリアが壊れているこの期間は、とにかく徹底した〝保湿〟が生死を分けます。単に水分を与えるだけでなく、壊れたバリア機能を1秒でも早く修復させるという明確なコンセプト(肌育発想)に基づいて開発された化粧品を選ぶのが望ましいでしょう。さらに、ダメージを悪化させないための徹底した紫外線対策も不可欠です」(川島名誉教授)
デリケートな期間における基本のスキンケアは、皮膚に異常な雑菌が増殖するのを防ぐため、まずは適切な洗顔を行ない肌を清潔に保つことが大前提となる。その上で、隙間の空いた肌バリアを補うように強固に保湿し、日差しから保護する。
内部では目に見えない微細な炎症も起きているため、抗炎症作用を持つ成分を念頭に置いたトータルなケアが必須となるのだ。
美容医療の最前線!医師が断言するダウンタイム時の〝スキンケア3大鉄則〟
では、一般的な美容医療の施術後、過酷なダウンタイム期間中には具体的にどのようなステップでスキンケアを行なえばいいのだろうか。
松田正法氏
「NEO Skin Clinic 名古屋」院長。藤田医科大学総合診療科で幅広い診療経験を積んだ後、湘南美容クリニックなどを経て2026年7月より現職。総合診療で培った医学的視点を活かし、シミや毛穴、肌質改善などの肌悩みに合わせた適切な美容医療を提供している。
2026年8月22日(土)に開院したばかりの「NEO Skin Clinic 名古屋」の院長を務める松田正法医師は、基本的に次の3つの鉄則を厳格に守ることが重要だと指摘する。
1.こすらない
「洗顔時は必ずぬるま湯と低刺激の洗顔料を使用し、肌を強くこすらず、手のひらで泡を転がすようにやさしく洗うことを強くおすすめします」(松田医師)
2.乾燥させない
「施術後の肌は一時的にバリア機能が低下し、乾燥や外部刺激に対して非常に脆弱な状態になっています。そのため、施術後3日程度は攻めのエイジングケアなどの積極的な美容ケアはお休みしてください。
まずは肌への刺激を徹底的に抑えながら、十分な保湿を行なうことが最優先です。成分としては、セラミドやヒアルロン酸などの優れた保湿成分を配合した、低刺激のアイテムを取り入れるといいでしょう」
3.紫外線を浴びない
「施術直後のデリケートな肌は、普段以上に紫外線の悪影響をダイレクトに受けやすい状態です。日焼け止めを塗ることはもちろん、帽子や日傘などを複合的に活用した物理的な紫外線対策を徹底してください」
なお、施術後の洗顔やメイクを具体的にいつから再開できるかという明確な時期については、受けた治療メニュー(レーザーやピーリングなど)によって大きく異なる。自己判断せず、必ず施術を受けたクリニックの医師の指示に厳格に従うことが重要である。
ダウンタイム時におすすめのスキンケア製品
松田医師に、ダウンタイム時におすすめのスキンケア製品をピックアップしてもらった。
「セベリアは、フランス発の美容医療向けスキンケアブランドです。セベリア L.C.E.バームは、表皮と真皮の境界にある基底膜の再構築を助ける特許ペプチドのセベリアンを配合しており、レーザー照射後の創傷治癒プロセスを劇的に早めます。
またボトックス・ヒアルロン酸・スレッドリフトなどの注入治療による打撲痕や内出血のケアに最適です。さらに肌表面を薄い保護膜で包み込むテクスチャーにより、摩擦や乾燥、雑菌から患部をしっかり守ります」(松田医師)
適した施術:顔全体の照射・赤み・乾燥が出る施術(IPL・光治療、トーニング、ハイフ、マッサージピール後など)
「MTメタトロンは、日本発の美容施術後向けのスキンケアブランドです。MT コントアシリーズには、ターンオーバーを整え組織修復を助ける高濃度のパンテノール(プロビタミンB5)と、細胞間脂質を補うセラミドを配合。ダウンタイム特有の粉ふきや強い乾燥を根本から防ぎます。
また抗炎症成分がレーザー照射後の熱感や赤み、ヒリヒリ感をすばやく鎮静します。低刺激設計で重たさや伸びにくさがなく、心地よい使用感で快適にケアを続けられます」(松田医師)
美容医療を受けるのが初めてだと不安なものだ。術後のスキンケアは、施術を受けたクリニックの医師の指示に従うのがベター。その上で自分に適したスキンケアや成分を見つけてみるのもよさそうだ。
取材・文/石原亜香利
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