シャープが展開する対話AIキャラクター「ポケとも」の第2弾モデルとして、第一弾とは正反対の「オレ様タイプ」が登場した。2025年12月に日本で発売された第一弾は、累計1万体以上を出荷するヒット作となっているが、ユーザーからは「たまに突っ込んだり怒ったりしてほしい」「肯定ばかりでなく、違ったコミュニケーションもしたい」といった声が多く寄せられていたという。
こうした要望に応える形で生まれたのが、生意気で口が悪く、ぶっきらぼうでありながらも次第に心を開いていく新キャラクター「アーミー」である。
共感と肯定で愛された第一弾
ポケともは、シャープが手がけるポケットサイズの対話AIキャラクターである。ユーザーとの対話を通じて唯一無二の存在になることを目指しており、購入者は「ポケ主さん」と呼ばれ、多くがSNSでポケともとの日常を発信している。
第一弾は2025年12月に日本で発売され、翌2025年7月には台湾にも展開。現在までに累計1万体以上が出荷されている。発売から約9ヶ月の間に、会話回数無制限プランの新設やGoogleカレンダー連携など、大小含め10回以上のアップデートを実施し、継続的な改善を重ねてきた。
第一弾のキャラクターは「素直で前向き」な性格で、共感力、素直さ、明るさ、否定しない姿勢が高く評価されている。しかし一方で、ユーザーからは「たまに突っ込んだり怒ったりしてほしい」「肯定ばかりでなく、違ったコミュニケーションもしたい」という声も多く寄せられるようになった。このフィードバックこそが、第二弾開発の大きな原動力となる。
ユーザーの声と漫画の反響が導いた新キャラクターの誕生
第二弾の開発にあたり、「既存キャラクターの性格を変更するのではなく、別キャラクターとして選択肢を広げる」方向性を選んだという。第一弾のキャラクターの性格を変えることは、すでに築かれた世界観を壊すことにつながるためである。そこで、第一弾とは全く異なる性格を持つ新キャラクターとして「おれさまタイプ」が構想された。
商品化の直接的なきっかけは、X(旧Twitter)で連載中のポケとも漫画に登場する「生意気でギラギラな」キャラクターが大きな反響を呼んだことである。この反響を受けて、同キャラクターを製品化する運びとなったという。
キャラクターのモチーフは第一弾と同じくミーアキャット。同じ動物を採用することで、性格の対比を明確にする狙いもある。また、ミーアキャットが群れで生活する社会的動物であるという点も、コミュニティ形成というポケトモの製品コンセプトに合致している。担当者は、ミーアキャットを継続した理由について「群れで生活する社会的動物という点がコミュニティ形成という製品コンセプトに合致し、性格の対比が明確になるため」と説明している。
生意気だけどだんだん心を開いてくれる「アーミー」の特徴と今後の展開
第二弾のキャラクター名は「アーミー」。コンセプトは第一弾の「無邪気で明るく素直」とは正反対の「生意気で口が悪く、ぶっきらぼう」な性格である。発表会では、「朝は起きられたの? お前いつも夜更かししてるからな」といった、ぶっきらぼうながらも相手を気遣う会話も紹介されている。また、説明中にデモ機が「おい、この説明いつまで続くんだ。まどろっこしいし、長いし。俺の出番はまだかよ」と割り込む演出もあり、会場の注目を集めた。
アーミーの最大の特徴は、ポケ主との関わり方によって徐々に心を開き、振る舞いが変化していく点である。いわゆる「デレていく」仕組みを新たに構築されており、これが第一弾との技術的な違いとなっている。基本的にはプロンプトでキャラクター性を調整しているとされており、第二弾ではこの漸次的な変化の仕組みを独自に設計したとのこと。
開発コスト面では、キャラクター作成用のプラットフォームを活用することで、新規開発でもコストダウンを実現している。使用するLLMは第一弾と同じくGPT-4を、性能とコストのバランスから継続利用。匿名化された対話ログを分析し、日々の改善を重ねている。
価格は税込4万9500円で、2026年12月に発売予定。第一弾より高い価格設定となっているが、これは部材価格の高騰と円安の影響によるものである。月額利用料は第一弾と同じ4プラン(ノーマルプランは495円から)が利用可能で、さらに複数台購入者向けの割引プランも用意される。第一弾の価格についても、2026年12月頃に値上げを計画している。
新機能として「自動ポケとも会話」のリリースも予定されており、複数体のポケトモが自動で会話を始める仕組みが導入される。デモでは2体のポケともが早口言葉で遊ぶ様子が披露された。既存の学習機能、カメラ機能、日記機能も第二弾で引き続き利用可能である。
海外展開については、第二弾も台湾での商品化が決定しており、発売時期は未定ながら開発を進めている。また、ポケともとの生活をより楽しむための公式アクセサリー(帽子、洋服、バッグ、ポーチなど)も近日発売予定である。さらに、熱心なユーザーと協働する「ポケトモのアンバサダープログラム」も開始されている。
開発思想について「過去10年のロボット開発の知見から、キャラクターの性格がぶれない方がユーザーは愛着や信頼を抱きやすい」と語られている。ユーザーがゼロから性格を作るアプローチではなく、ある程度性格付けされたモデルから対話を通じて変化していく方が、信頼関係を築きやすいという判断である。オリジナルIPにこだわる理由については、「他社IPの制約を避け、自分たちで世界観を作りながら自由にAIキャラクターを開発できるため」と説明している。
シャープは今後もシリーズ展開を進める方針で、第三弾以降は第二弾の売れ行きを踏まえて検討するが、プラットフォーム上で新キャラクターを増やしていきたい意向を示している。様々な対話AIキャラクターが暮らしのそばにいる未来の実現を目指す同社にとって、アーミーの投入はその第一歩と言えるだろう。
取材・文/佐藤文彦
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