いまやスマホは一人一台の時代、中には複数台持っている人も珍しくない。「スマホを落とすのは、財布を落とすよりもヤバい! スマホは自分の分身です」というのは、迷惑メール評論家のGO羽鳥さんだ。
日頃から、防犯の大切さを伝え続けている羽鳥さん。詐欺師の実態や手口を知るために、スマホを使って通話やメッセージでやりとりする機会も多いという。だからもちろん、スマホのセキュリティー対策にもぬかりがない。
そこで、大事なスマホを守るために〝気を付けること〟と〝今すぐできる対策〟を伺った。
なぜ、スマホが「自分の分身」なのか?
スマホが大事なもの、ということは共通認識だ。しかし「財布を落とすよりもヤバい」とは?
「スマホには、お金、住所、連絡先、考え、メールやメッセージ、写真やSNSなどプライベートな情報といった、自分の生活すべてが入っています。だから万が一、失くして悪用されると、自分を丸裸にされてしまう危険性があります。私は先日、ChatGPTにホロスコープ占いをしてもらったから、生年月日や生まれた場所、時間まで暴かれてしまいます。めっちゃ当たるんですよ、ChatGPTのホロスコープ占い(笑)」(以下、「」内すべてGO羽鳥さん)

スマホの場合はアプリに注意
物理的にスマホを落とし、悪用されてしまうことは怖い。だからこそ、肌身離さず持ち歩くことは基本のき。iPhoneの場合は「探す」、Androidの場合は「Googleのデバイスを探す」(または「スマートフォンを探す」機能をオンにしておくことも忘れずに対策しておきたい)。

しかしスマホの場合、電話やメール、SNS、LINEやショートメッセージなど、あらゆる手段で詐欺師は私たちに近づいてくる。中でも羽鳥さんの記憶に残るのは、2年ほど前に遭遇した野良アプリでの遠隔操作だ。
「当時、海外で闇バイトのようなものを募集している詐欺の潜入調査をしていました。すると詐欺師は、スマホにアプリを入れさせるんです。これはAppleやAndroidは認めていない野良アプリ。でも、ちゃんとインストールできます。そしてインストールすると、『このスマホの全ての権限をオーナーに委ねますか?』というメッセージが表示されて、闇雲に『はい』と選択すると、スマホを乗っ取られてしまうんです」

羽鳥さんによると、こうしたアプリによる犯罪は、スマホでよく見られるケースだという。また、日頃からアプリのインストール時には細心の注意が必要、とも。
「AndroidもAppleも、審査が通っていても危険なアプリがたくさんあって、公式のストアでダウンロードできてしまいます。
例えば、スマホの速度アップとかファイル整理とかをうたった詐欺アプリ。表向きは『ストレージがいっぱい! ファイルを整理します』などといっているけれど、結局は個人情報を抜き取るだけで、整理も何もしてくれません。こうした詐欺アプリの入口の多くは広告です。ふだんウェブサイトを見ていると広告が出てくると思いますが、そこでこちらの不安を煽るような文言を並べてインストールさせるんです。
私もアプリはダウンロードしますが、大手や有名なアプリ、評価の多いアプリしかインストールしません。新進気鋭の評価もあまりないアプリは避けたほうがいいでしょう」
パスキー(生体認証)は必ず使う
スマホを使ううえで、死守するべきものの一つがIDとパスワードだ。
「詐欺師たちが電話やメール、メッセージ、詐欺アプリなどで、何を盗み取りたいかといえば、IDとパスワード。プログラムをハッキングしたいのではなく、人間をハッキングしたいんです。だから、IDとパスワードは簡単に教えず、鉄壁のガードでやぶられないようにすることが重要です」
また、身近なところでは、肩越しに画面を覗き見るショルダーハッキングという手口もあるそうだ。
「例えば通勤電車で時間があるからと、銀行口座や証券会社などの重要ページをうっかり開いているとしたら、かなりヤバい。公の場は、スマホをいつどこから覗かれているかわかりません。出先で重要なIDやパスワードを打ち込むことは、控えたほうが安心です」
IDとパスワードの取り扱いには十分注意したうえで、今すぐできる対策が2つある。

1.パスワードは長く複雑にする
「以前もお話ししましたが、パスワードは限界まで長く、複雑にして、使い回しは絶対にやめましょう。大丈夫、Googleやアプリのパスワード管理サービスを使えば、覚えておく必要はありません。私は『1Password』というアプリを活用しています」
2.パスキーを使う
「顔認証や指紋認証などの生体認証(またはPINコード)を使ってスマホやアプリにログインするパスキーは、使わない手はありません。パスキーを設定していれば、万が一パスワードが漏洩した場合にも犯罪を未然に防ぐことができます」
盗難時のセキュリティ設定はONに
近年では、スマホ本体のセキュリティ対策も高まっているという。
その一つとして、必ず設定しておきたいものの一つがデバイスの保護だ。iPhoneなら「盗難デバイスの保護」、Androidの場合は「オフラインデバイスロック」など3つの機能が搭載されている。本体やメーカー側で用意された盗難対策は、できるかぎりやっておくことがセキュリティ向上につながる。

「iPhoneの『盗難デバイスの保護』の場合、OSのアップデートで標準装備されているはずですが、オンになっているか調べておきましょう。これは、自宅などふだんいる場所から離れた場所でパスコードが他人に知られても、顔認証や指紋認証を求めることで個人情報やAppleアカウントへの不正アクセスを防ぎます。
Androidの『オフライン デバイス ロック』は、有効にすると、インターネット接続が一定時間途切れるなど、端末がオフライン状態になったことを検知した場合に、自動的に画面をロックする機能です。ロックされるのは1日に最大2回までです」
これが設定されているかどうかで、万が一、スマホが盗難された場合も、悪用される可能性が軽減するだろう。
とはいえ紛失しないことが一番!
百戦錬磨……と思しき羽鳥さんだが、これだけ対策をしても、やはりスマホを盗難されてしまうことは怖いという。
「パスキーや長いパスワード、いろいろ設定しても、例えばAmazonのアプリはパスワードを入力した状態になっています。だからスマホを盗難されてしまったら、100%悪用されないとは言い切れない。だからそもそも、物理的に紛失しないことが一番大事。そして、安易に信じず、詐欺の危険性への知識と、疑ってかかる目も養いましょう」
取材・文/ニイミユカ 写真提供/ロケットニュース24
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