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かんたんに真似できる!研究でわかった「100歳まで生きる人」の共通点

2026.08.27

週1度以上の文化活動を行う高齢者は3歳若い

高齢者の健康にとって食生活や運動が重要であることは間違いないのだが、最近の研究では文化活動への参加もまた若さを保つうえでポジティブな影響を及ぼしていることが示唆されている。

東京科学大学の研究チームが今年7月に「Journal of Epidemiology & Community Health」で発表した研究では、イギリスの高齢者縦断研究のデータの分析を通じて、映画館や美術館、劇場に数カ月に1度以上通う人の平均生理的年齢(physiological age)は66.9歳であったのに対し、参加頻度の低い人の平均生理的年齢は69.9歳であり、約3年の差があることが報告されている。つまり週1度以上の文化活動を行う高齢者は3歳若いのである。

データはイングランド全土の50歳以上の成人を対象とした長期追跡調査に基づいており、分析対象は1899人で、複数回の調査にわたる合計4207件の観測データが含まれている。サンプルのほぼ半数にあたる46.9%が男性で、残りが女性であった。

対象となった参加者は、映画館、美術館やギャラリー、劇場、コンサート、オペラ公演にどのくらいの頻度で行ったかを、「まったくない」から「月に2回以上」までの5段階の尺度で回答した。そしてこれらの回答は0から15までの文化活動スコアにまとめられた。

生理的年齢を測定するために、看護師は血圧、肺機能、コレステロール値、握力、歩行速度など、心血管系、呼吸器系、血液系、代謝系、筋骨格系を網羅する10の身体指標に関するデータを収集した。

月1回以上文化活動に参加している高齢者は生理学的な年齢が3歳若いというのは興味深いが、当研究は観察研究であるため美術館やコンサートに行くことが直接的に老化を遅らせることを証明することはできず、そもそも健康な人は文化的なイベントに出かけやすいことを色濃く反映している可能性もある。

それでも研究チームは文化活動への参加は公衆衛生の取り組みによって促進できる改善可能な行動であると指摘している。

映画館や美術館によく行く人は開放性が高い

そもそも映画館や美術館によく行く人は、心理学の性格特性において「開放性(経験への開放性)」が高いことが大きな特徴であることがこれまでの研究でも示されている。開放性の高い人物は新しい体験、美しいもの、知的な刺激を好む傾向があるのだ。

伊・フィレンツェ大学の研究チームが2025年11月に「PLOS One」で発表した研究では、標準的性格特性分類である「ビッグファイブ」で測定される性格特性の中で、開放性は人々の文化的行動の有効な予測因子となっており、開放性のスコアが高い者は美術館を訪れたり、自由な知的活動に従事したりする可能性が高いことが報告されている。

実験を通じて好奇心と経験への開放性が高い参加者は芸術鑑賞において個人的な充実感、満足度、今後の展覧会への関心が有意に高く、内容への関与もより深く、感情的に大きなインパクトがあったと評価する傾向があり、気を散らすことなく作品とアーティストのメッセージに集中する能力も高かったことが報告されている。

開放性の高い者は芸術が提供する複雑で感情的に豊かな刺激を求めて鑑賞する可能性が高く、芸術に対する受け身の姿勢に甘んずることなく、美的体験をさらに深めるべく能動的に関与しているということだ。

“ブルーゾーン”の高齢者は趣味や知的活動の時間が長い

そしてまさにこの開放性こそが健康的な老後を占う鍵となるファクターであることが新たな研究で報告されている。100歳を超えるスーパーエイジャーの多くが開放性の高い性格特性であったのだ。

伊・カリアリ大学の心理学者、マリア・キアラ・ファスタメ氏が率いる研究チームが今年7月に「International Journal of Applied Positive Psychology」で発表した研究では、性格特性と生活習慣が健康的な老後に貢献しているかどうかを解明するために、長寿で健康的な高齢者の多い地域を対象に調査を行っている。

2000年代初頭、科学者たちは、住民が長寿であるだけでなく、健康で質の高い生活を送っている地域を特定し、それらの地域を“ブルーゾーン”と名づけた。ブルーゾーンにはイタリアのサルデーニャ島中東部、日本の沖縄、ギリシャのイカリア島、コスタリカのニコヤ島などが含まれる。

研究チームはサルデーニャ島のブルーゾーンとその近隣の農村地域に住む71歳から101歳までの地域在住の成人125人を追跡調査した結果、ブルーゾーンに住む人々は経験への開放性において有意に高いスコアを示したことが明らかになった。

開放性の高い高齢者は好奇心旺盛で、新しい活動に積極的に挑戦し、他者の感情を理解し共有する能力である感情的能力も高かった。彼らの日常生活にもこうした考え方が反映されており、平均して彼らは読書や園芸といった趣味や知的に刺激的な活動に週11.3時間を費やしていたのに対し、近隣の農村地域に住む高齢者は6.8時間だった。

開放性が高いと対処能力も高い

また開放性の高さは対処能力の高さにも関係していた。

調査結果によると、ブルーゾーンの住民はより効果的な対処法で日々の問題に対処しており、このストレス管理能力は、全体的な健康状態の向上にもつながっていた。

研究チームは今回の研究結果が、ブルーゾーンの住民は自身の限界をよりよく認識し、得意な活動に集中し、対処スキルを用いて損失を管理する能力が高いことを示唆する「補償を伴う選択的最適化理論(Selective Optimization with Compensation:SOC)」モデルを裏付けるものであると指摘している。

つまり開放性の高い高齢者はより高いレベルの好奇心と学習意欲を示し、新しいアイデアに知的に取り組み、未経験の分野に挑戦しようとする意欲が高いのである。

高い開放性による変化への適応力を発揮し、前向きな姿勢を維持することで、加齢に伴う日々の課題を乗り越え、心身の健康をより良く保つことができるようだ。

「これらの研究結果は、適応的な性格特性と対処能力の組み合わせがより活動的なライフスタイルを促進することを示唆しており、成功的な加齢のメカニズムに関する洞察を提供する」(研究論文より)

もちろん長寿には食事と運動も重要ではあるが、好奇心旺盛で知的好奇心が強ければ自ずから健康的な食事を選び、身体活動が増えていても不思議ではない。また人との繋がりを維持したり、学び続けたりする可能性も高くなる。そして生活の質をさらに高めるためにも高齢者におかれては美術館、映画館、公園、観光施設等での高齢者割引を有効に活用したいものである。

※研究論文(Journal of Epidemiology & Community Health)
https://jech.bmj.com/content/early/2026/07/02/jech-2025-225753

※研究論文(PLOS One)
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0332321

※研究論文(International Journal of Applied Positive Psychology)
https://link.springer.com/article/10.1007/s41042-026-00313-w

文/仲田しんじ

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北海道生まれ東京育ち。学業ドロップアウト後、小説家を志しつつ広告代理店営業マン、任期制陸上自衛官、家電販売員などを経て経て出版業界へ。アスキーなどで編集者として勤務した後、フリーライターとして活動。科学から心理学まで幅広いテーマを執筆。ネット上の研究論文を読むのが趣味。大型自動二輪免許を持っている。 X: @nakata66shinji

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