多くの人が「いつかは建てたい」と憧れる注文住宅。では、購入を検討する人のボリュームゾーンとなる年代は何歳代なのだろうか?また、「平屋希望率」や「多室ニーズ」は、年代別でどのような違い・傾向が見られるのか。
タウンライフ未来総合研究所(タウンライフ)はこのほど、2025年4月から2026年4月までに同社運営の注文住宅マッチングサービス「タウンライフ家づくり」へ寄せられた問い合わせ83,071件のうち、年齢が判明した68,728件を対象に、注文住宅検討者の年代別プロファイルを分析し発表した。以下に、主な調査結果を紹介する。
1. ボリュームゾーンは30代、平均は41歳
年代構成は30代が30.3%で最多、次いで20代以下23.4%、40代18.5%、50代15.6%、60代以上12.2%となった。20~30代で全体の過半(53.7%)を占め、注文住宅の検討は一次取得期にあたる若年層が中心である。平均年齢は41.0歳、中央値は38歳であった。
この「30代を中心とした若年層が主役」という構造は、公的統計の裏づけを持つ。国土交通省「住宅市場動向調査」では、初めて住宅を取得する一次取得者は、注文住宅を含むいずれの住宅種類でも「30歳代」が最も多いとされている。タウンライフの検討者データが30代を最多とすることは、この一次取得の実態と符合する。
2. 「土地探し」から「建て替え」へ ─ 年代で入れ替わる建築スタンス
建設予定地のステータスをみると、土地から探す層(未定・検討中)は20代以下87.1%から60代以上52.7%へと年代とともに低下し、逆に建て替え(現住所と同じ場所に建築)は3.6%から26.6%へと上昇した。
若年層は土地を持たずゼロから探す一方、年配層は既に土地・住宅を所有し建て替えで臨む。あわせて平屋希望率も20代以下20.4%から60代以上62.0%へ連続的に上昇し、50代で過半数を超える。土地を持つ層への移行と、平屋というワンフロア居住志向が、年代とともに並行して強まる。
この二つの変化は、住まいづくりの「前提」が年代で入れ替わることを意味する。若年層にとって注文住宅は「土地を探すところから始める、暮らしの立ち上げ」であり、年配層にとっては「既に所有する土地で、これからの暮らしに合わせて建て替える」営みである。同じ「注文住宅を建てたい」でも、出発点が根本的に異なる。
3. 多室ニーズは若年の子育て層に集中
子どもがいる世帯の割合は30代で81.6%とピークに達し、40代62.6%、50代30.3%、60代以上19.2%へと低下する。これに連動して4LDK以上の間取り希望も20代以下60.6%・30代58.0%から、50代36.4%・60代以上29.6%へと縮小した。部屋数を求める多室ニーズは子育て期の若年層に集中し、子育てを終えた年代はコンパクトな住まいへと関心を移す。年代は世帯のライフステージを映す鏡として、間取りの希望まで規定している。
平屋希望率が年配層で高まることと、多室ニーズが若年層に集中することは、同じコインの裏表である。子育てを終えた世帯は、多くの部屋を必要とせず、階段のないワンフロアで完結する平屋へと向かう。逆に子育て期の世帯は、子ども部屋を含む複数の居室を求め、二階建て・4LDK以上を選ぶ。ライフステージの進行が、住まいの「広さ」と「形」の希望を同時に動かしている。
4. 公的統計との照合 ─ 「検討段階」は「取得段階」より若い
タウンライフの検討者の平均年齢(41.0歳)は、実際に住宅ローンを組む段階の統計と比べると、やや若い。住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」によると、フラット35利用者の平均年齢は44.3歳で、前年度から1.5歳上昇し、近年は上昇傾向が続いている。
タウンライフの検討者データがこれより若く出るのは自然な結果である。住まいの検討を始めてから、土地を決め、プランを固め、ローンを実行するまでには相応の時間がかかるため、「検討段階」の年齢は「取得実行段階」の年齢より若くなる。タウンライフデータは、まさにこの検討の入口をとらえていると言える。
一方で、前述のとおり国土交通省「住宅市場動向調査」では一次取得者の中心は「30歳代」とされ、タウンライフの30代最多という構成と一致する。すなわち、タウンライフデータは「検討の入口は30代が中心で平均41歳、そこから数年をかけて取得実行(平均44歳前後)へと至る」という住宅取得のタイムラインの、最も早い段階を可視化していると位置づけられる。事業者にとっては、この「検討開始から取得までのリードタイム」を前提に、若い検討者と早期に接点を持つことの重要性を示す結果である。
考察 ─ 年代はライフステージを束ねる「上位変数」
本調査は、注文住宅の希望が年代という一つの軸に沿って連続的に変化することを示した。若年層は「土地を持たず・子育て中・多室志向」、年配層は「土地を持ち・子育て後・平屋志向」という対照的なプロファイルを描き、その間を各年代が滑らかに埋める。年代は世帯構成・土地保有・住まいの形を束ねる上位変数として機能しており、ターゲットの年代を押さえることで検討者像の多くを推定できる。
さらに、公的統計との照合から、タウンライフデータが住宅取得のタイムラインの「入口」をとらえていることが確認された。フラット35利用者の平均年齢(44.3歳)が上昇傾向にあることを踏まえれば、検討開始年齢も今後緩やかに上昇する可能性がある。
晩婚化や住宅価格の上昇が取得年齢を押し上げるなか、検討者の年代構成の変化を定点で追うことは、市場の先行指標としても意味を持つ。なお本結果は「希望」データであり、年代差は志向の傾向であって、年齢が特定の選択を必然的にもたらすことを示すものではない点に留意されたい。
業界へのインプリケーション
住宅事業者に対して、本調査は以下を示唆する。
1. 年代起点のセグメント設計: 20~30代には「土地探し+子育て仕様(多室)」、50代以降には「建て替え+平屋・コンパクト」と、年代に応じた提案テンプレートの整備が有効
2. 土地探し支援は若年層の要: 若年層の8~9割が土地から探す以上、土地情報の早期提供が接点の起点になる
3. セカンドライフ層への平屋提案: 50代以降で平屋希望が過半を超えるため、建て替え・住み替えを見据えた平屋商品の訴求余地が大きい
4. リードタイムを見据えた早期接点: 検討段階(平均41歳)と取得実行段階(フラット35平均44.3歳)には数年の開きがある。若い検討者と早期に関係を築き、取得実行まで伴走する体制が受注につながる
出典元:タウンライフ株式会社
構成/こじへい




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